パーカー熱処理工業(https://pnk.co.jp/)はこのほど、ドイツOptimol Instruments Prüftechnik社が開発した振動摩擦摩耗試験機「SRV®」の国内での100台目の納入を達成した。100台目の納入先は、東京理科大学・佐々木信也教授の研究室。ドイツをはじめとする欧州、日本、中国などにおいて、潤滑剤や自動車向けトライボロジー試験機のデファクトスタンダードとなっている。今回佐々木研究室に納入されたのはその最新機種となるSRV®5で、「アプリケーション指向の試験機」としてユーザーの実部品を実使用に近い環境で試験でき、正確で再現性の高い試験結果が得られるもの。
SRV®5は、オシレーション(揺動)セットアップおよびローテーション(回転)セットアップと、オシレーション・ローテーション両方の動きを模擬でき実部品で評価できる「Combi-Drive」によって、各種の工業用潤滑油やグリース、自動車部品、ベアリングなどの試験評価に活用されている。また、新しい評価法としては、ギヤ油の評価におけるFZG試験、グリースの評価におけるFE8試験など、試験時間が長くコストのかかる各種試験法の試験時間を短縮し開発コストを削減できる「スクリーニング試験」としての有用性も評価されている。
今回SRV®5の導入を決めた佐々木教授は、「SRV®ラウンドロビン試験報告会」や「SRV®ユーザーズミーティング」を主催する「トライボロジー特性のデファクト標準に関する研究会」の主査を務め、第1世代の装置から自身のトライボロジー研究に供している、SRV®ヘビーユーザーの一人。
佐々木教授は、導入したSRV®5への期待や感慨、抱負を以下のように語っている。「摩擦摩耗試験の難しさは、様々な要因によって摩擦係数や摩耗量の値が影響を受ける点にある。すなわち、摩擦条件(摩擦材料、潤滑剤、荷重、速度など)が同じであっても、評価試験機が違えば単純に測定値の大小で優劣を判定することはできない。そのため、トライボロジー分野においては、デファクトスタンダート機がその評価において非常に大きな役割を担っている。SRV®試験機は、国際的なデファクト試験機としての地位を確立し、摩擦材料や潤滑剤のスクリーニング評価にはなくてはならない装置といっても過言ではない。当研究室では、初期よりSRV®試験機を用いることで信頼性の高いデータの発信に努めてきたが、この度、新たに計測系を中心に最新技術が搭載されたSRV®5を導入することにより、これまで以上に質が高く、汎用性の高い成果の発信を推進することとした。図らずも今回の装置が国内に導入された通算100台目のSRV®試験機ということで、Optimol社やパーカー熱処理工業との長年の付き合いも思い出され、喜びもひとしお。今後も国際ラウンドロビンテストへの参加、国内ラウンドロビンテストの実施などを通し、トライボロジー特性評価方法の向上に貢献していきたいと思っている」。