パーカー熱処理工業はこのほど、ドイツOptimol Instruments Prüftechnik社が開発した振動摩擦摩耗試験機「SRV®5」について、ブロックオンリング式摩擦摩耗試験(潤滑下でのブロックオンリング摩擦・摩耗特性評価方法ASTM G77に準拠)用の試験モジュールのラインナップを追加し、その1号機の販売を成約した。ブロックオンリング試験モジュールについてはOptimol社でも開発構想を進めていたが、このほど日本市場での要求があり本開発に至ったもの。
SRV®5は、オシレーション(揺動)試験およびローテーション(回転)試験と、オシレーション・ローテーション両方の動きを模擬でき実部品で評価できる「Combi-Drive」によって、各種の工業用潤滑油やグリース、自動車部品、ベアリングなどの試験評価に活用されている。ドイツをはじめとする欧州、日本、中国などにおいて、潤滑剤や自動車向けトライボロジー試験機のデファクトスタンダードとなっている。
パーカー熱処理工業では、今回日本市場を皮切りにブロックオンリング試験モジュールを搭載できるSRV®5をラインナップし納入実績を得たことで、デファクトスタンダード試験機としてのSRV®試験機の多目的性をアピールしつつ、さらなる拡販に努めていきたい考えだ。
本ブロックオンリング試験モジュールでは、試験片リングが水平方向に取り付けられ、リング上に試験片ブロックが押し付けられる(試験片リングおよび試験片ブロックはASTM G77準拠)。試験片ブロック用の上部試験片ホルダーは、最大荷重1000N(オプションで2500Nまで付与可能)のロードセルを備えたスプリング機構付き荷重軸に取り付けられる。
潤滑下で試験を実施する場合、試験片リング下部表面から6.4mm上までチャンバー(潤滑剤容器)内に潤滑剤を充填する。負荷荷重や回転数といった試験条件が入力されると、試験片ブロック用の上部試験片ホルダーに所定の荷重が付与されリングに押し付けられた状態でリングの回転が開始し、SRV®5のソフトウェアOCA DeskTop上に回転速度、摩擦力などが出力・記録される。摩擦係数も演算できる。
第1世代~最新の第5世代(SRV®5)の装置を自身のトライボロジー研究に供している東京理科大学の佐々木信也教授は、今回SRV®5向けに追加されたブロックオンリング試験モジュールについて、「SRV®は微小振動摩擦摩耗試験機のデファクトスタンダードではあるものの、研究開発の現場などで予算申請する際には、単機能の装置よりも多機能の装置という方が通りやすいとも聞く。こうしたブロックオンリング試験モジュールのようなオプションが用意されていることは、導入を検討する側からすると、稟議に際しての説明がしやすくなるメリットもあるのではないか。一方で、ブロックオンリング式トライボロジー試験の標準機であるFALEX社のLFW-1試験機は、改良により摩擦係数の測定も可能になってはいるものの、基本構造からの問題も残されている。SRV®試験機は、もともと摩擦係数を高精度に計測することに注力されているので、十分な装置剛性を持つSRV®5の新しいモジュールは、ブロックオンリング試験における摩擦の正確な試験・評価に寄与できるだろう」と語っている。