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SEMICON Japan 2024

 

本当によくわかる窒化・浸炭・プラズマCVD―高機能表面改質法の基礎と応用―

 本書では、熱処理、表面改質技術のなかで最も重要で応用範囲の広い窒化、浸炭、ハードコーティングの処理プロセスと装置についての基礎、応用および最新技術について解説している。

 「窒化」に関しては、窒化の基礎、窒化+酸化複合処理などの各種複合処理、低温でのオーステナイト系ステンレス鋼の窒化などについて記述されているほか、量産性の高いガス窒化・軟窒化処理において窒化ポテンシャルを制御することがますます重要になってきていることから、窒化ポテンシャル制御に関して、窒化センサ、制御システム、装置および処理特性について詳細に記述されている。特に、日本独自に開発された国産の熱伝導式水素センサの原理、仕様、その窒化センサシステム搭載の装置により窒化ポテンシャル制御できるガス窒化・軟窒化処理の具体的な実用例についても紹介している。

 「浸炭」に関しては、浸炭の基礎、ガス浸炭におけるカーボンポテンシャル制御理論、浸炭速度に関係する炭素移行係数、環境対応高性能ガス浸炭、真空浸炭・浸炭窒化と雰囲気制御などについて、特に日本独自に開発された減圧下で作動する熱伝導式水素センサを含む雰囲気制御システム搭載の装置により、品質保証できる真空浸炭・浸炭窒化技術について詳細に述べられている。また、ガス浸炭において粒界酸化が従来の半分以下にまで低減でき、CO2ガス排出量を大幅に削減できる環境対応高性能ガス浸炭方法と装置についても記述されている。

 「ハードコーティング」に関しては、TRD法、CVD法およびPVD法などの各種硬質皮膜被覆法の特徴と応用、DLC膜の成膜法と応用、プラズマCVD法による各種硬質皮膜の特性と応用について述べられている。各種硬質皮膜被覆法のなかで、CVD法やPVD法はそのほとんどが欧米で開発量産化されたものであるが、日本独自で開発量産化された技術としては、TRD法がある。この技術は別名TDプロセスとも呼ばれ、現在でも国内外において広く応用されている。また、量産型プラズマCVD装置も日本独自に開発され、その装置による各種硬質皮膜は主に各種金型に広く応用されている。このプラズマCVD法は、1つの装置で1回の工程で真空を破らずに拡散硬化層+硬質皮膜という複合処理ができるという特徴を生かし、低温で密着性、つき回り性、緻密性および離型性に優れた各種硬質皮膜を被覆できるので、その装置、膜特性、応用について詳細に述べられている。

 なお、著者の河田一喜氏は名古屋大学で工学博士号を取得しているほか、技術士(金属部門)、特級金属熱処理技能士、1級金属材料試験技能士の資格を持つ。また、東京工業大学・製造中核人材育成講座「金属熱処理スーパーマイスタープログラム」で講義を担当しているほか、埼玉県首席技能検定委員(職種:「金属熱処理」、「金属材料試験」)などを務めている。河田氏は先ごろ、オリエンタルエンヂニアリング社長に就任している。

A5判、336頁、定価3,570円(税込)、日刊工業新聞社刊。

ISBNコード
978-452606851