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SEMICON Japan 2024

 

パーカー熱処理工業など、第10回表面改質技術研究会を開催

 パーカー熱処理工業( http://www.pnk.co.jp )主催、日本パーカライジング( http://www.parker.co.jp/ )共催、パーカーS・N工業( http://www.parker-sn.co.jp/ )・日本カニゼン( http://www.kanigen.co.jp/ )協賛の「第10回表面改質技術研究会」が10月5日、東京・丸の内の日本工業倶楽部で開催、約250名が参加した。今回は、パーカー熱処理工業が重点的に取り組んでいる真空浸炭と窒化が中心のテーマとして行われた。

挨拶する古庄社長挨拶する古庄社長 当日は、パーカー熱処理工業の古庄史郎社長が参加者に向けて、「昨年の東日本大震災による原発事故以降、熱を事業の源とする企業にとっては大変厳しく苦しい期間が続いている。現在は、そのような国内状況も加味されて海外での事業が非常に多くなっており、国内事業は大変厳しい状況だ。そんな中で、第10回目となる当研究会が開催できたのも皆様のご支援あってのものと、感謝したい。研究会を始めてからの10年間で当社・パーカーグループとしては中国、インドネシア、ベトナム、メキシコで新たに工場をオープンし、すでに操業しているものも合わせると8カ国・13工場で事業を展開している。しかし、マザー機能は当然日本である。その技術の発信の一端を担う当研究会が、ご来場くださった皆様のお役に立てれば幸いである」と挨拶を述べた後、講師陣の紹介を行い、以下のとおり講演が行われた。

 「化合物層制御を可能とするガス窒化、ガス軟窒化処理の雰囲気制御技術開発」平岡泰氏(パーカー熱処理工業)・・・同社が行うガス窒化、ガス軟窒化の雰囲気制御技術の概要を解説。ポテンシャル制御による自動化のメリットとして化合物層厚さ・組成などの幅広い窒化層制御の高精度化が可能になることなどを挙げた。また、今後必要な技術開発として、実用鋼の状態図や化合物層厚さ・相分布の予測、使用環境に応じた最適な特性の提案などを掲げた。

 「AT/CVTにおける熱処理技術の現状と課題」井上信彦氏(ジヤトコ)・・・同社のAT/CVTにおける真空浸炭炉による熱処理について解説。処理においては、市場が新興国中心に移り変わるとともに、生産拠点が移動する地産地消が基本になるとした上で、処理時間の短縮や熱処理品質の向上、操業性の向上の理由から真空浸炭炉の採用が拡大している現状を語った。また、真空浸炭の品質を決める条件としては、表面の炭素濃度、内部への拡散速度、供給される炭素量のコントロールの三条件が重要であるとし、海外に生産が移っているものの、国内マザー工場などで検証、技術の高度化を行うことが現地の競争力を左右する、とした。

 「シミュレーションによる窒化部品の組織・変形・残留応力の予測」有本享三氏(アリモテック)・・・窒化に関する過去の理論的研究を集大成することで実現した窒化シミュレーションについて、化合物層の進展、窒化物の析出、変形、残留応力などの予測が可能であること、多成分の拡散解析機能を追加することで多様な窒化プロセスに適用範囲を拡大できることなどを紹介した。また、各種モデルと特性データの高精度化により、さらに厳密なシミュレーションが可能になる、とした。

 講演後は、会場から三者の発表に対する質問を受ける形でパネルディスカッションが行われ、座長をパーカー熱処理工業・渡邊陽一技術研究所所長が務め、活発な議論が行われた。
 
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