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第9回ものづくりワールド名古屋

 

メカニカル・テック配信ニュース

不二越、小型ロボットシリーズのラインナップを拡充

3年 1ヶ月 ago
不二越、小型ロボットシリーズのラインナップを拡充kat 2021年3月19日(金曜日) in

 不二越は、自動化ニーズがますます高まる電機・電子、一般産業機械分野をターゲットに、スカラロボット「EC06」とコンパクトロボット「MZ12H」を市場投入する。いずれも3月から発売を開始、2021年度の販売目標はEC06が2000台/年で、MZ12Hが3000台/年。EC06は、軽量コンパクトボディの「MZシリーズ」と共通のシリーズの制御装置を使用し、ロボットの組み合わせが容易で、同社ユーザーの利便性を向上する。

 同社では今後も、小型ロボットをはじめ、シリーズ・ラインナップを拡充し、また、ロボットを組み込んだ多様なシステム・アプリケーションを構築して、ユーザーのあらゆるFA化ニーズに応えていく。

 世界的な少子高齢化、労働人口の減少や人件費の高騰を背景として、ものづくりの現場では、人手不足の解消や生産性向上などを目的にロボットによる自動化ニーズが拡大しており、特に電機・電子や一般産業機械分野では、小型ロボットの導入が本格化している。

 不二越では、2013年の世界高速・軽量コンパクトロボット「MZ07」の発売を皮切りに、小型ロボット市場へ本格参入。以降、「MZシリーズ」のラインナップ拡充に加え、ウィングスライサー型ロボット「EZシリーズ」や、協働ロボット「CZ10」を開発し、全世界で小型ロボット市場の深耕に取り組んできた。

 今回、IoT化や5G対応に向けロボット導入が本格化してきている電機・電子分野の市場を狙って投入したEC06の特徴は、以下のとおり。

・最大可搬質量6kg、定格可搬質量(最大速度で出力可能な可搬質量の限度)3kgで、500mm・600mm・700mmの最大リーチが異なる3機種をラインナップ。ユーザーのものづくりの現場に最適な機種の選択が可能

・軽量化と高剛性を両立した設計で、クラストップレベルの高速・高精度動作(位置繰返し精度±0.02mm)を実現し、ユーザーの生産性向上に貢献

・先端軸の中空構造により、ロボット本体から各種ツールまでの配線・配管の引き回しを簡略化、周辺装置との干渉リスクを低減し、信頼性が向上

・ティーチペンダントに代わり、PCを制御装置に接続して操作が可能なほか、PCのシミュレーションソフトを用いて、各種動作を正確に設定できる

EC06

 

 また、人手に頼っていた作業のロボットへの置き換え需要が拡大してきている一般産業機械分野の市場を狙い投入したMZ12Hの特徴は以下のとおり。

・MZ12の特徴を保持しつつ独自の中空手首構造を新たに採用、ロボット本体から各種ツールまでの配線・配管の引き回しを簡略化。周辺装置との干渉リスクを低減し、高い信頼性を実現

・同一クラスではトップレベルの作業領域とパワフルな手首トルクで、大型ワーク・ハンドに対応し、バリとり、ピッキング、部品の組立・搬送など幅広い用途で使用可能。また、防塵防滴(IP67 相当)・防錆機能を標準装備し、粉塵、水滴が飛散する環境にも対応

・軽量化と高剛性を両立した設計で、クラストップレベルの高速・高精度動作(位置繰返し精度±0.04mm)を実現し、ユーザーの生産性向上に貢献

MZ12H
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パテント・リザルト、自動車部品の特許資産規模ランキング2020発表

3年 2ヶ月 ago
パテント・リザルト、自動車部品の特許資産規模ランキング2020発表admin 2021年2月4日(木曜日) in

 パテント・リザルトはこのほど、独自に分類した「自動車部品」業界の企業を対象に、各社が保有する特許資産を質と量の両面から総合評価した「自動車部品業界 特許資産規模ランキング」をまとめた。2019年4月1日から2020年3月末までの1年間に登録された特許を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を用いた評価を行い、企業ごとに総合得点を集計した。その結果、1位がデンソー、2位が日立オートモーティブシステムズ、3位が住友電装となった。

 1位デンソーの注目度の高い特許には「排ガス浄化性能の低下及びコート層のはく離を抑制することが可能な排ガス浄化触媒」や「窓曇りを晴らすために必要な電力量を少なくできる防曇装置」が挙げられる。

 2位日立オートモーティブシステムズは「回転電機の固定子及びそれを用いた回転電機」や「外周側への張り出しを抑制し、筐体内部の通気性および防水性を得ることが可能な電子制御装置」などが注目度の高い特許として挙げられる。

 3位住友電装の注目度の高い特許には「電圧検知線を過電流から保護できる電池配線モジュール」(オートネットワーク技術研究所、 住友電気工業、 住友電工プリントサーキット、 トヨタ自動車との共同保有)や「集中型の電源供給アーキテクチャに適した態様の通信を行うことが可能な車載通信システム」(オートネットワーク技術研究所、 住友電気工業との共同保有)が挙げられる。

 4位の矢崎総業は「シールド部材として要求される機能の実現と製造および使用の容易さを両立可能なシールドパイプ、及びシールドパイプ付き電線」、5位のオートネットワーク技術研究所は「生産性に優れるリアクトル」(住友電装、住友電気工業との共同保有)などが注目度の高い特許として挙げられる。

自動車部品 特許資産規模ランキング2020 上位10社

 

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パテント・リザルト、自動車メーカーの特許資産規模ランキング2020発表

3年 2ヶ月 ago
パテント・リザルト、自動車メーカーの特許資産規模ランキング2020発表admin 2021年2月4日(木曜日) in

 パテント・リザルトはこのほど、独自に分類した「自動車メーカー」業界の企業を対象に、各社が保有する特許資産を質と量の両面から総合評価した「自動車メーカー業界 特許資産規模ランキング」をまとめた。2019年4月1日から2020年3月末までの1年間に登録された特許を対象に、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を用いた評価を行い、企業ごとに総合得点を集計した。その結果、1位がトヨタ自動車、2位が本田技研工業、3位がマツダとなった。

 1位トヨタ自動車の注目度の高い特許には「電圧検知線を過電流から保護することができる電池配線モジュール」や「酸化剤ガスを運転条件に応じて変更しつつ、サージングを発生させないようターボコンプレッサの流路面積を変更する燃料電池システム」が挙げられる。

 2位本田技研工業は「運転者の意図に沿った走行支援を行える走行制御装置」や「内燃機関の排気浄化システム」などが注目度の高い特許として挙げられる。

 3位マツダの注目度の高い特許には「燃費の向上と摩擦板の耐久性維持を両立した、変速機のブレーキ装置」や「シフトレバーの1回の操作でもって所望の減速度をすみやかに得られるようにする方法」が挙げられる。

 4位の日産自動車は「自動車を高温環境で使用する場合においても該パネル材の剛性を保持することが可能な自動車の荷室用のパネル材」、5位のSUBARUは「アイドリングストップ制御を実行する車両に搭載されるパージシステムの故障診断装置」などが注目度の高い特許として挙げられる。

自動車メーカー 特許資産規模ランキング2020 上位10社

 

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日本電産、トラクションモータシステムが累計販売台数10万台を達成

3年 2ヶ月 ago
日本電産、トラクションモータシステムが累計販売台数10万台を達成kat 2021年1月27日(水曜日) in

 日本電産が開発・製造・販売するトラクションモータシステム「E-Axle」がグローバルでの累計販売台数10万台を達成した。

トラクションモータシステム「E-Axle」のラインナップ

 

 同社のE-Axleシリーズはモータ、インバータ、ギヤを一体化し、ユニットシステムとすることで小型化・軽量化を実現したことが大きな特徴。2019年4月から、Tier1サプライヤーとして世界で初めて量産を開始した150kWモデル「Ni150Ex」のほか、「Ni200Ex」、「Ni100Ex」、「Ni70Ex」、「Ni50Ex」の計5機種を開発しており、この世界トップクラスの製品ラインナップにより同社の「E-Axle」は50kW~400kWまで対応(E-Axleは前後に搭載可能で、Ni200Exを前後2ヵ所に搭載した場合、合計出力は400kWとなる)、世界の車両セグメントの 98%をカバーできる見込みとなっている。

 同社では 2030 年までに EV 用トラクションモータ市場(トラクションモータ単体とトラクションモータシステムを含めた市場)で世界シェア 40~45%の獲得を目標としており、E-Axle をそのけん引役と位置付けている。

 欧州や中国をはじめ、世界各国がガソリン車の新車販売を2025~2040年にかけて禁止する方針を打ち出している中、同社では、「今後も世界No.1の総合モーターメーカーとして培った軽薄短小技術、高効率化技術、制御技術を駆使した製品を開発し、自動車の進化およびCO2削減に貢献する革新的ソリューションを圧倒的なスピードで提案していきたい」とコメントしている。

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ファナック、高可搬質量・ロングリーチのスカラロボットを開発

3年 2ヶ月 ago
ファナック、高可搬質量・ロングリーチのスカラロボットを開発kat 2021年1月27日(水曜日) in

 ファナックは、可搬質量20kg、リーチ1100mmのスカラロボット「SR-20iA」を開発、昨年12月から販売を開始した。

スカラロボット「SR-20iA」

 

 開発したスカラロボットは、従来モデルに対し可搬質量、リーチともに一回り大きく、重量物を広いエリアで取り扱うことが可能になる。これにより、スカラロボットのラインナップが拡充され、ユーザーの自動化ニーズに、より幅広く対応が可能となった。

 開発品では、防水・防塵オプションや、耐薬品性に優れた塗装オプションを用意している。
 

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日本金型工業会東部支部、令和3年新年懇親会を開催

3年 3ヶ月 ago
日本金型工業会東部支部、令和3年新年懇親会を開催admin 2021年1月20日(水曜日) in

 日本金型工業会東部支部( https://www.jdmia.or.jp )は1月15日、Web会議方式により「令和3年新年懇親会」を開催した。

 冒頭、挨拶に立った鈴木教義支部長(鈴木 代表取締役社長)は、「昨今の経済を取り巻く環境を鑑みるに、この先1年間、非常に読みづらい年になると思う。しかし、皆さんと情報を共有しながら東部支部の在り方を考えていきたい。今年も従来とは違い、昨年のようにWebを活用して進めさせていただきたい。また、これまでできなかったことがWebを活かしてできるようになったこともある。事務局や経産省など多方面と協力をしながら会員の皆様にメリットが感じてもらえる東部支部の運営をしていきたいと思っている。今、世界を見渡しても中国やアメリカの動きで経済環境が左右されやすい。私どもの金型においても、これからの在り方が大きく変わるところではないかと思う。今だからこそフレキシブルな考え方や行動をする時ではないか。また、今こそ変わるチャンスでもあると思う。是非、当工業会を利用しながら変われるチャンスを見出していただければ幸いだ」と述べた。

挨拶する鈴木支部長

 続いて経済産業省素形材産業室長 谷 浩氏が来賓を代表して挨拶。引き続き、同工業会 小出 悟会長(小出製作所 代表取締役社長)が「先に挨拶を述べた御二方も述べたとおり、まだまだコロナによる経済的影響が出ると仰っていたが、私もまさにそうではないかと思う。まさに世の中がガラッと一変する時を生きているため、ここでしっかりと工業会の考え方をまとめた指針を出せればと良い思っている。また、今年はデジタル庁が創設される年である。デジタル化が進展するとハッキングなどのリスクに対する準備が必要だ。そうした時に当工業会として昨年の11月に技術等情報漏えい防止措置認証制度における認証機関になれたことも弾みになるのではないか。今年も会員の皆様とともにさまざまなことにチャレンジしていければと思う」と挨拶を述べた。最後に、同工業会東部支部 正木優吉副支部長(正木製型 代表取締役)が閉会挨拶を行った。

挨拶する小出会長

 

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日本半導体製造装置協会、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表、2022年に初の3兆円超えへ

3年 3ヶ月 ago
日本半導体製造装置協会、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表、2022年に初の3兆円超えへkat 2021年1月18日(月曜日) in

 日本半導体製造装置協会(SEAJ、会長:牛田一雄ニコン会長)は1月14日、2020年~2022年の半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の需要予測をオンラインで発表した。

 開会の挨拶に立った牛田会長は、「2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を背景に、民生電子機器や車載機器の需要が落ち込む一方で、データトラフィック量の急増によりデータセンター需要が力強く、また5G通信の世界的な普及に向けた投資も順調に進んでいる。半導体投資を牽引してきたPCやスマホに加えて、IoTやデータセンター、AI、5G通信技術を加えた重層的な広がりは、この一年で大きく加速された。新しい生活スタイル、新しい産業スタイルが急速に進展、アフターコロナの時代にはニューノーマルとして定着し、さらなる発展が見込まれている。この大きな変化を支えるのが半導体でありFPD。それらの製造装置がもたらす明るい未来を確かなものにしていきたい」と力強く語った。
 

挨拶する牛田SEAJ会長

 

 SEAJ半導体調査統計専門委員会(メンバー13社)およびFPD調査統計専門委員会(メンバー7社)による需要予測と、SEAJ理事・監事会社20社による市場規模動向調査結果を総合的に議論・判断し、SEAJの総意としてまとめたもの。

 半導体を消費するアプリケーションとして、スマートフォンに代表されるコンシューマー製品や車載、産業機器では、元々大幅な減少が見込まれていた。米中摩擦の影響もあり、中国のスマートフォン最大手は減産幅が大きかったが、これを好機と見た2番手以下の企業が増産を行った結果、全体としての影響は当初の見込みよりも軽減されている。2021年は各社の新端末も出揃い、カバーエリアも広がるため、先進国を中心に5G通信の浸透率は急速に高まってゆくと予想される。

 企業活動におけるテレワークの利用は、COVID-19感染拡大期における一過性の現象とはならずに完全定着し、進化を続けている。巣ごもり需要の増大によって動画を含むデータトラフィック量は爆発的に増加しており、データセンター関連需要は今後も大きな伸びが予想される。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)への取組みの巧拙は、企業にとっては将来の競争力にも影響し、人々の行動様式だけでなく働き方にも変革が求められている。カーボンニュートラルへの世界的な再脚光は、電気自動車へのシフトを加速させ、将来の自動運転Level4/5実用化とも相まって、大きな技術革新が期待されている。

 WSTSの昨年12月の発表によると、2020年の世界半導体市場成長率は5.1%増と見込まれる。2019年の価格下落により落ち込んだメモリーは2020年12.2%増、2021年13.3%増と成長軌道に回帰する。2021年は半導体全体で8.4%増となり、2018年の最高記録を更新する見込みとなっている。

 設備投資については、2019年から続くロジック・ファウンドリーの積極投資が2020年もそのまま高水準で継続され、市場の地域としては中国の存在感が高まった。2021年はデータセンター需要のさらなる増加に向けて、NANDフラッシュ・DRAMともにメモリー投資が復調する見通し。
短期的には米中摩擦による様々な規制の発動、大手ロジックメーカーの微細化後倒しといった不透明感は残るが、中長期的な成長見通しは変わらないと見る。

 半導体製造装置について2020年度の日本製装置販売高は、COVID-19拡大の影響により民生電子機器や車載関連の生産は落ち込んだが、データトラフィック量の急増によりデータセンター需要は力強く、5G通信の世界的な普及に向けた投資も順調に進んでいるため、前年度比12.4%増の2兆3300億円と予測した。2021年度もファウンドリーの投資水準は維持され、さらにメモリーの投資復活が上乗せされるため、7.3%増の2兆5000億円、2022年度は5.2%増の2兆6300億円と予測した。

 FPD産業は、COVID-19感染拡大の影響でPC・タブレット・モニターに使われるITパネルが品薄となり稼働率が急上昇。パネル価格も上昇し、大手パネルメーカーの営業利益率は、2020年1Q(1~3月)を底に回復傾向となっている。元々は韓国を中心に、既存のTV用LCDラインを停止し、新技術を用いたパネルへライン転換する計画であったが、後倒しとなっている。

 FPD製造装置の日本製装置販売高については、海外渡航制限の長期化により装置の現地立上げ調整が困難となった影響を精査し、2020年度は11.7%減の4200億円を予測した。2021年度はG10.5液晶ディスプレイ(LCD)投資の一巡を考慮して4.8%減の4000億円、2022年度は新技術を盛り込んだ投資の復活を期待し7.5%増の4300億円と予測した。

 2022年度の日本製装置販売高はつまり、半導体製造装置が2兆6300億円、FPD製造装置が4300億円で、全体で6.3%増の3兆600億円と予測。3兆円超えはSEAJが統計を開始して以来初となる。

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フェローテックマテリアルテクノロジーズ、サーモモジュール事業が5G用途・DNA増幅用途などで拡大

3年 3ヶ月 ago
フェローテックマテリアルテクノロジーズ、サーモモジュール事業が5G用途・DNA増幅用途などで拡大kat 2021年1月13日(水曜日) in

 フェローテックホールディングス(https://www.ferrotec.co.jp/)傘下のフェローテックマテリアルテクノロジーズ(https://ft-mt.co.jp/)の進める「サーモモジュール(ペルチェ素子)」ビジネスが、5G通信用途やDNA増幅用途などを中心に拡大してきている。ここでは、フェローテックマテリアルテクノロジーズ 営業本部 電子応用製品部門 TE営業グループ長の大屋匡史氏に、サーモモジュールの近年の動向や、拡大している用途、今後のビジネス展開などについて話を聞いた。

大屋 匡史 氏

 

サーモモジュールの近年の動向

 サーモモジュール(ペルチェ素子)は、対象物を温めたり冷やしたりする半導体冷熱素子のことで、N型とP型という異なる性質を持った半導体素子を組み合わせたモジュールに、直流の電気を流すと熱が移動し、一方の面が吸熱(冷却)し、反対の面が放熱(加熱)するというペルチェ効果を応用したもの。電源の極性を逆にすると、吸熱と放熱を簡単に切り替えることができる。


 サーモモジュールのこうした特性を活かし、自動車、半導体製造装置、光通信、医療バイオなど、温度調整デバイスとして用途が拡大してきており、フェローテックマテリアルテクノロジーズの市場占有率は36%とトップシェアを有する。
 

サーモモジュールの用途別構成比率 ※パワー基板を除く

 

 もともと産業用途向けの採用がメインだったサーモモジュールが2005年ころに某電機メーカーのイオン発生器に業界で初めて採用されたことでサーモモジュールの認知が広がり、近年ではインパクトのあるアプリケーションとして民生品での採用が拡大した。多くの家電製品でイオン発生機能が付いたものが人気商品となっているが、イオンを発生させるためにサーモモジュールを利用している。サーモモジュールによって、空気中の水分を冷やして結露させる仕組み。浄水式では水道水に含まれるカビや雑菌の発生源となる成分が放出されるのに対して、サーモモジュール式イオン発生器では冷却によって意図的に水滴を作ることで、有害成分のない、きれいなイオンを省電力に発生させるというメリットがある。

 
 

空気清浄機での適用イメージ


 こうしたアプリケーションを契機に民生品でのサーモモジュールの適用が拡大、同様にイオンを発生させる用途としては、ヘアドライヤーなどにも搭載されている。直流電圧を印加することによって特定の部位を冷やしたり温めたりできる電子部品は唯一ペルチェ素子だけであり、民生品での適用拡大は、ペルチェ素子の軽量・コンパクト・省エネといった製品価値が認められたことによるものと考えている。

 

拡大しているサーモモジュールの用途

 サーモモジュールの市場としては、顕微鏡では見ることができない病原体の有無を検査するPCR(Polymerase Chain Reaction)法のDNA増幅用途といったバイオ向けや、5Gの通信機器用途が拡大してきている。

DNA増幅用途

 PCR法では、DNAの2本鎖とDNA合成酵素が特定の温度の熱サイクルで熱変性、アニーリング、伸長の三つの反応を起こすことを利用して、DNAの目的の部分を2n倍に増幅する。精密な温度制御による正確な温度サイクルnが正しい検査につながるほか、温度サイクルのスピードを上げることで検査の効率を上げることにつながる。ペルチェ素子を組み込んだサイクル温度コントローラーによって、温度制御が精密で迅速になり、検査のスケールアップが可能になっている。ペルチェ素子はPCR検査装置の小型化・卓上化を可能にしているほか、最近では、検体容器1個を一つのペルチェ素子で加熱冷却する方式で、複数個の検体容器をPCR検査装置に搭載してパラレルに高効率に検査を行うことを可能にしている。

 

PCR検査装置

 

5G通信用途

 第5世代(5G)移動通信システム向けの光通信用デバイスは高速伝送速度を実現し、移動通信システムの高速大容量化に貢献する一方で、光通信用デバイスに内蔵される半導体レーザーは温度によって波長が変化するため、波長の変化に伴う動画の乱れや通信の遅延などを防ぐべく一定温度に保つ必要があり、ペルチェ素子による高精度な温度制御が不可欠となっている。


 現在、5G通信機器向けにサーモモジュールの需要が急速に拡大してきているところで、特に中国では5G用通信基地局設置数が2020年に65万ヵ所、2021年に77万ヵ所、2022年に93万ヵ所と増える見通しとなっており、2000年のITバブル以来の非常に大きなサーモモジュールの市場として、さらなる成長が期待されている。

 

5G通信用途でのサーモモジュールの適用イメージ

 

RMT社を完全子会社化

 フェローテックホールディングスはこのほど、サーモモジュールの超小型化(150μm以下)、多段化の技術力や高品質のビスマス・テルル(Bi2Te3)材料開発力を持つロシアのRMT社を完全子会社化した。超小型化、多段化によって新しい用途への適用が見込まれている。

 ペルチェ素子は局所冷却に使われるが、超小型化することで、さらにピンポイントに効果的に適用できる。例えば監視カメラの画像処理デバイスは、熱によって生じるノイズを視界内の対象物を画像化する信号のレベルよりも下げるために必要で、-20℃以下といった極低温まで冷却するにはサーモモジュールの超小型化と多段化が必要になり、RMT社の技術力が活かされると見ている。

 4K・8Kといった高画質ディスプレイや顔認証システムなどでも、高精細・低ノイズに寄与する超小型・多段のサーモモジュールの適用が有効と思われる。

 また、民生用途として、サーモモジュールは場所や環境に応じて冷房・暖房を切り替えることができることから、肌着やジャケットに温度調節用途としての採用が進行しているが、超小型で軽量のサーモモジュールをラインナップに加えることで、今後のウェアラブル用途での需要拡大に応えられるものと考えている。

 

温冷調整が可能なジャケット(試作品)

 

今後の展開

 サーモモジュールは自動車分野においては温調シートで豊富な実績を持つが、フェローテックマテリアルテクノロジーズでは2018年にオートモーティブプロジェクトを立ち上げ、車載用カップホルダーや、バッテリーおよびキャビンの温調システム(図7)、車載カメラのCMOSイメージセンサ用クーラーといった、新しい用途の開拓に注力している。

 そうした新しい用途への対応では、ペルチェ素子のさらなる高性能化や効率向上が課題となっており、素子の材料特性を高める必要性があることから、フェローテックマテリアルテクノロジーズでは、ロシア・モスクワ工場や中国・上海工場、さらには新たに傘下に入ったロシアRMT社を中心に、素材開発を強化していく考えだ。

 また、自動車部品など、製品バラつきをなくし、大量に迅速に良品を生産できるよう、工場の生産プロセスの一層の自動化や品質管理システムの増強を進めていく。
 サーモモジュールは大空間の温度調整には不適だが、局所的な温度制御では、コンプレッサーなどの外部装置を必要とせず小型・軽量で、低消費電力、低コストに効力を発揮し、環境面でもノンフロンで作動しCO2排出量低減に寄与する。フェローテックマテリアルテクノロジーズでは、こうしたサーモモジュールの長所をアピールしながら、EV、HVなどの自動車用途やウェハ大口径化対応の半導体製造装置、ウェアラブル機器等の民生品向けなど、各種の新たな用途への提案・展開を進めていく考えだ。
 
 

バッテリーおよびキャビンの温調システムのモックアップ

 

●フェローテックホールディングスの事業をさらに知るには

 

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日精樹脂工業、低床化を実現したハイブリッド式竪型射出成形機に大型タイプをラインナップ

3年 4ヶ月 ago
日精樹脂工業、低床化を実現したハイブリッド式竪型射出成形機に大型タイプをラインナップkat 2020年12月18日(金曜日) in

 日精樹脂工業は、業界トップクラスの低床化を実現したハイブリッド式竪型射出成形機「TWX-RⅢ」型に、新たに型締力2942kN(300t)の大型クラス「TWX300RⅢ36V」を追加、受注を開始している。

ハイブリッド式竪型射出成形機「TWX300RⅢ36V」

 

 TWXシリーズは、自動車や電子部品など幅広い分野におけるインサート成形向けで業界トップクラスの販売実績を誇るハイブリッド式竪型成形機。中・大型クラスをカバーする新シリーズで、新複合式型締機構を搭載し、機械全体の低床化を図った。今回開発した「TWX300RⅢ36V」の市場投入により、すでに2019年4月に受注を開始した同2110kN(220t)タイプの「TWX220RⅢ25V」と併せて2機種のラインナップとなった。

 本シリーズの最大の特徴は、機構のコンパクト化を図るため、これまで高速型締から高圧型締まで一つの型締シリンダで行っていた型締動作を、早送りシリンダと高圧型締シリンダ、ハーフナット機構からなる複合型締機構によって行う点で、これにより2110kNタイプで見ると、金型取付け面高さを従来機比で約30%低床化、シリーズ統一の1000mmとし、金型取付けなどの段取替え作業やワークインサート・製品取出しの作業性が大幅に向上しているほか、自動化の取回しやメンテナンスも容易になっている。

 さらに、機械全体の高さも従来機比で約10%低くしており、成形工場の設置スペース(高さ方向)の融通性が向上するとともに、工場新設の場合、天井高さを抑えられることから設備コストを下げることができる。

 そのほか、以下のような特徴を持つ。

① 均一な型締力を伝達できる直圧式型締機構を搭載。温度変化の影響を受けにくく常に設定値どおりの安定した型締力を伝達できるほか、金型に優しい適正(低)型締力設定が容易で、シンプル・クリーンな機構は長期にわたり機械精度を維持。型閉中の異物検知のための低圧金型保護性能も優れており、インサートワークずれ等による金型の破損を防止する

②新複合型締機構により、作動油量を従来機よりも52%削減しており、省資源、コスト削減につながる

③ベッド構造の最適化により自動機のフレキシブルなレイアウトが可能で、取出機や多関節・双腕ロボットなど、個々の成形品や成形工程に適した自動化システムに柔軟に対応できる。また、金型取付け面の3ステージ化も容易に対応可能な設計としており、多様な生産形態に適応する

④3本タイバーシャフトによるワイドなターンテーブル、ワイドなデイライト仕様としており、成形品の大型化(EV・HEV用自動車部品におけるモジュール化等)や取数の拡大に対応する

⑤回転盤やエジェクタ動作はサーボモータ駆動とし、サイクル短縮を図るとともに、スムーズな機械動作と回転停止精度を実現、これによりインサート成形時のワークのズレなどを防止できる

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不二越、製品紹介特設Webサイト「NACHI TECHNOLOGY PARK」を公開、オンラインセミナーも実施

3年 5ヶ月 ago
不二越、製品紹介特設Webサイト「NACHI TECHNOLOGY PARK」を公開、オンラインセミナーも実施kat 2020年11月18日(水曜日) in

 不二越は、11月16日~27日に初めてのオンライン開催となる「JIMTOF2020 Online(第30回 日本国際工作機械見本市)」での出展に合わせて、11月11日から、工具・工作機械・ロボット・特殊鋼・ベアリング・油圧機器・コーティング・洗浄装置・カーハイドロリクスという同社製品を紹介する特設Webサイト「NACHI TECHNOLOGY PARK」(https://www.nachi-technologypark.jp/)を開設した。

NACHI TECHNOLOGY PARK

 

 特に、11月16日~27日のJIMTOF2020 Online 会期中には毎日、工具・工作機械・ロボット・特殊鋼の4事業から、8テーマでオンラインセミナー(要事前予約)を実施する。

 オンラインセミナーの事業ごとのテーマは以下のとおり。

1.工具:アクアREVOミル/ドリルシリーズ、Hyper Zタップシリーズ

2.工作機械:歯車の高精度化に応える最新加工技術(歯車スカイビング加工技術と複合加工機)、精密仕上加工機(研削盤・フイルムラップ加工機)

3.ロボット:ロボットIoTソリューション(NR:Connect)、小型ロボットMZシリーズ

4.特殊鋼:新しいマルテンサイト系ステンレス鋼(高強度高耐食EXEO-CR20)

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オークマ、高能率・高精度 5 面加工門形マシニングセンタの販売を開始

3年 5ヶ月 ago
オークマ、高能率・高精度 5 面加工門形マシニングセンタの販売を開始kat 2020年11月18日(水曜日) in

 オークマは、高能率・高精度 5 面加工門形マシニングセンタ「MCR-BⅤ(エム・シー・アール・ビー・ファイブ)」を開発し、販売を開始した。門形マシニングセンタシリーズフラッグシップモデルMCR-Bシリーズの加工能力、精度安定性をさらに向上し、加工と計測の融合を実現可能とした。また、100 種類以上の主軸ヘッドが使用可能で、多様な複雑大物部品も一台で完遂できる。半導体製造装置、エネルギー関連、航空宇宙分野など幅広い産業機械における大物部品加工を最適化し、高い生産性を提供できる。

 半導体製造装置、風力や太陽光、ガス発電などの低炭素エネルギー市場が世界中で急拡大している中、大型の部品を扱う産業機械分野が拡がることで、より広範囲な加工物や多様な加工工程を高精度、高効率で加工できる多目的な大型加工機が求められている。また、大型部品加工において必要とされる高度な品質を維持してきた経験やノウハウの伝承が課題となっており、熟練技能者に依存することなく機械が自律的に品質を維持できる高精度、高機
能な大型加工機のニーズが高まっている。

 今回開発したMCR-BⅤでは、独自の知能化技術を用いることにより、熟練者の技能が必要だった大型加工機の精度維持を誰でも簡単に高いレベルで実現できる。大物部品加工分野における多様な加工物を対象に、荒加工から仕上げ加工、複雑な多面加工に加え、計測までを1台でこなす高度な工程集約能力によって、一気に完成品にまで仕上げることを可能にした。

 機械が自律的に高精度を安定維持、加工から計測までを機上で可能にした数々の知能化技術を標準適用した。「3D キャリブレーション」の適用では、加工後にそのまま機上で段取り替えすることなく三次元測定機並みの計測が可能となり、全軸(X、Y、Z、W)へのアブソスケールの適用では、機械の全ストロークを絶対位置で検出し、ボールねじの熱変位を排除した高精度な位置決めを実現する。

3D キャリブレーション

 

 また、高出力43kW(10 分)/37kW(連続)ビルトインモータ主軸(トルク:1,406 N・m(10 分定格)/ 981N・m(連続定格)、最高回転速度:6000min-1)と交換可能な各種主軸ヘッドにより、高能率、高品位な加工と工程集約を実現したほか、X軸ストローク拡張と早送り速度アップ(X軸 30m/min:従来機比2倍、Y軸32m/min :従来機比1.6倍)を実現した。

高出力ビルトインモータ主軸

 

 さらに、スラッジレスタンク(特別仕様)により切削液タンク内のスラッジ堆積を大幅に抑制、切削液の廃棄量を激減させるとともに切削液タンク内の清掃負担も大幅に軽減するなど、環境に配慮し、作業者の負担を軽減する優れたメンテナンス性を実現している。

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安川電機、新型パレタイジングロボット4機種を販売開始

3年 5ヶ月 ago
安川電機、新型パレタイジングロボット4機種を販売開始kat 2020年11月18日(水曜日) in

 安川電機は10月13日に、新型パレタイジング用途ロボット「MOTOMAN-PL」シリーズのラインナップとして「MOTOMAN-PL190」(可搬質量190kg、最大リーチ3159mm)、「MOTOMAN-PL320」(可搬質量320kg、最大リーチ3159mm)、「MOTOMAN-PL500」(可搬質量500kg、最大リーチ3159mm)、「MOTOMAN-PL800」(可搬質量800kg、最大リーチ3159mm)の4機種を販売開始した。ロボットコントローラ「YRC1000」に対応し、省エネ性能、メンテナンス性を向上した。食品・薬品・化粧品製品などの箱積み、建材・石材など重量物の積載用途に最適。

MOTOMAN-PL320

 

 近年深刻化しつつある労働力不足に加え、コロナ禍における自動化・省力化ニーズの加速により、様々な業種においてロボットを活用した自動化による生産性向上や製造コスト削減が強く求められている。特に物流業界や食品・医薬品・化粧品などの業種では、製品単体の箱詰めや箱積みといった工程で人手作業が多く残っており、その効率化や自動化は急務となっている。こうしたニーズに応えるため、同社のパレタイジングロボットは、小型包装等の小物用途から建材などの大物用途まで幅広く対応した機種をラインナップしている。

今回開発した4機種は、使いやすさを追求したロボットコントローラYRC1000に対応させたことで、ロボットのパフォーマンスを最大限に引き出すとともに、電源回生機能による省エネ性能の向上や省配線によるメンテンス性の向上を実現、最適なパレタイズシステムの構築に貢献する。

 さらに、MOTOMAN-PL190、320の2機種については、使い勝手をさらに追求し、従来のMOTOMAN-MPLシリーズと比べ、よりスリムな形状にするとともに可搬質量を向上させた。

最終出荷状態の荷姿は、重量物でありながらダンボールのように傷つきやすいものや米袋のように変形しやすいものが多く、柔らかな把持を求められると同時に強い力が必要となるため、エア駆動・吸着の利用も多く、その配管は太くなる。開発品では、これら大容量の配管をアーム内に収められるようアーム先端の手首軸に大口径の中空構造を採用し、周辺機器やロボットアームとの干渉をなくした。また、高さ方向に広い動作範囲を有しており、各種パレットサイズに最適な積上げ作業が可能なため、ユーザーの設備環境に柔軟に対応する。

また、ロボットコントローラYRC1000(中型・大型機種用)には、モータ減速時に発生するエネルギーを有効活用する電源回生機能が標準搭載されており、ロボット消費電力量の約30%を削減することが可能で、ユーザーの生産現場での省エネに貢献する。

※1 ロボット動作条件やお客さまの生産現場での稼働状況によって、省エネ効果は異なります。

ロボットとコントローラ間の接続をケーブル1本で行えるため、セットアップの際の配線時間を大幅に短縮するとともに、配線の少ないすっきりとした設備を実現する。

 マニピュレータ内部の通信線の断線や各軸サーボモータのエンコーダ異常が発生した際には、プログラミングペンダント上に異常アラーム(該当ロボット軸の通信エラー)が表示され、異常箇所を特定しやすくなったほか、通信線の断線時の仮復旧や異常箇所特定のための仮配線を行えるマルチポートが各部位に標準搭載されており、仮復旧・仮配線にかかる時間が短縮できるなど、メンテナンス性にも非常に優れる。

 パレタイズ専用アプリケーションソフト「MotoPal」により、コンベヤやステーション位置、製品のサイズ、積み付けパターン等を設定するだけで、ロボットの動作プログラムを自動生成することができる。

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富士通、ファナック、NTT Com、製造業のDXを実現するクラウドサービスで新会社を設立

3年 5ヶ月 ago
富士通、ファナック、NTT Com、製造業のDXを実現するクラウドサービスで新会社を設立kat 2020年11月18日(水曜日) in

 富士通、ファナック、NTTコミュニケ―ションズ(NTT Com)の3社は、工作機械業界をはじめとした製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する場をクラウドサービスとして提供する新会社「DUCNET(ディーユーシーネット)」を本年11月に設立する。

 代表者には田中隆之氏(現 富士通株式会社 COLMINA事業本部 戦略企画統括部 シニアディレクター)が就任。資本金は2億5000万円で富士通40%、ファナックが30%、NTT Comが30%を出資する。

 インダストリー4.0やSociety5.0といった潮流に加え、新型コロナウイルス感染拡大によって不確実性が増大する状況において、製造業各社はグローバルでの競争力やレジリエンスの強化が急務となっており、デジタル技術を活用した社内業務効率化や、新たな価値の創出・顧客サービスの向上、モノからコトへの展開の実現が求められている。

 これに向け、3社は製造業のDXを実現するサービスプラットフォーム「デジタルユーティリティクラウド」構想を2019年9月に発表し、共同事業体としての事業運営開始に向けた準備をしてきた。

 新会社DUCNETは本年11月に事業を開始し、2021年4月からクラウドサービスの提供を開始する予定。今後、DUCNETは「デジタルユーティリティクラウド」を利用する各企業のさらなるものづくり力の強化に貢献することを目指していく。さらに、機械メーカーや機械ユーザー、商社、ITベンダーなどの参加各社が、サービス提供者でありサービス利用者になれるエコシステムの実現を目指す。

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フェローテックマテリアルテクノロジーズ、石英製品、シリコンパーツでユーザーニーズを先取り

3年 5ヶ月 ago
フェローテックマテリアルテクノロジーズ、石英製品、シリコンパーツでユーザーニーズを先取りkat 2020年11月10日(火曜日) in

 石英製品やシリコンパーツはともに半導体の製造工程に欠かせない製品で、フェローテックホールディングスの2022年3月期までの中期戦略製品に位置付けられている。

 石英製品は半導体製造の際の高温作業に耐え、半導体を活性ガスとの化学変化から守る高純度のシリカガラス製品で、シリコンパーツは、高純度なポリシリコン材料で構成され微細化高温プロセス向けや真空エッチング装置向けなどで採用されている。

 ここでは、石英製品およびシリコンパーツの技術や特徴、半導体製造装置での各種ニーズとそれらに対応する技術や取組み、今後の展開について、フェローテックホールディングス傘下のフェローテックマテリアルテクノロジーズ 営業本部 アカウント営業部門 第2グループ長 大谷 淳司 氏と営業本部 アカウント営業部門 第1グループ長 石月 寿宏 氏 に話を聞いた。

 

◆製品の特徴と適用例 石英製品の特徴と適用例

大谷 半導体製造プロセスでは高熱処理や化学処理が頻繁に行われる。高純度(純度:99.99%)を誇る石英ガラスは、熱に強く、薬品に侵されにくいという特性があることから、半導体製造工程での高温作業に耐え、活性ガスとの化学変化を起こさない石英製品が活躍している。

 石英製品は火加工品と機械加工品(切削加工品)に大別され、エッチング装置の部品、CVD(化学気相成長)拡散炉中のウェハボート(図1)や炉心管、洗浄槽などの治具、消耗品として用いられる。配線の微細化や高純度化の進む半導体製造プロセスにおいて重要な役割を担っている。

 石英製品は中国杭州工場および東台工場で量産を手掛け、国内では2019年に山形工場を設立、少量~中量の試作評価・製造の拠点として稼働している。いずれも技術レベル・品質レベルともに同等の製品を提供できるため、ワールドワイドに展開している。
石英製品は世界市場1300億円のうち市場シェア15%を獲得、生産体制も拡充し業界2~3位の位置にある。
 

大谷 氏

 

図1 石英製品:ウェハボート

 

シリコンパーツの特徴と適用

石月 シリコンパーツでは、シリコン同士を接合する独自技術「SiFusion」に強みがある。シリコンウェハと同じ熱膨張係数・熱伝導率を有する高純度ポリシリコン材料で構成されるSiFusion製品(図2)は、拡散炉・CVD炉・酸化炉などの微細化高温プロセス向けシリコンボートに採用されている。

 シリコンパーツのもう一つの主要な用途としては、真空エッチング装置向けパーツがある。他社がシリコンインゴットを購入してパーツを生産するのに対して、当社は単結晶インゴット引上げ技術・炉を保有しており、川上から川下までの一貫生産を実現している。中国銀川工場でインゴット引上げを、中国杭州第二工場で加工を手掛けており、低コストで高純度のシリコンパーツは、日本の半導体製造装置メーカーのOEM製品となっているほか、米国の半導体製造装置メーカーでも検討が進んでいる。SiFusionの世界市場10億円のうち市場シェア90%(シリコンパーツの世界市場400億円のうち市場シェア5%)を獲得、今なお市場開拓が進展している。

石月 氏 

 

図2 シリコンパーツ:インジェクター

 

◆半導体製造プロセスにおけるニーズと取組み 石英製品における取組み

大谷 半導体製造プロセスにおける微細化の進展とともに、石英製品においても加工精度の公差が±0.1mm、さらには±0.01mmと厳しさを増してきている。特に人が組立てを行う火加工品(図3)では、火炎による熱変形もあって対応が難しく、熱変形の解析なども踏まえつつ組立て用治具の工夫・改良などを実施して対応している。ますます進む高精度化の要求に対して、できる工程から自動化を進めるべく検討を始めている。

 一方、新設した山形工場は主に炉メーカーなど日本の顧客を対象に開発品を手掛けている。開発品は短納期対応が要求されるため、拠点新設で技術者同行による打ち合わせの強化や開発品の短納期化が可能になっている。石英製品は前処理工程で使われることが多く、直近で新規設備投資の需要が見込まれることからも、石英製品の試作評価の迅速化に引き続き努めたい。
 

図3 火加工のようす

 

シリコンパーツにおける取組み


石月 3D-NANDフラッシュメモリーの製作ではエッチングとCVDを何回も繰り返して、積層して電極を形成していくが、3D-NANDフラッシュメモリーの需要増加に伴いエッチング装置の需要が急伸している。一方で微細化の進展からは、チャンバー内のコンタミネーション、特にメタルコンタミをなくしたいとのニーズがあり、従来の酸化アルミニウムや酸化イットリウム等を部材としたパーツから、当社の高純度なシリコンパーツへの切り替えが進んできている。

 また、ウェハの大口径化に伴いシリコンパーツの大口径化への需要が高まってきているが、これに対しても大型単結晶インゴット引上げ炉(図4参照)を保有していることから、550mmまでの大口径化に対応できる。

 さらに、省エネ化を目的とするパワーデバイスの増加などや、ウェハ表面層の結晶欠陥を低減したいとの要求から、炉の高温化が進んでいる。これに対してSiFusionポリシリコンボートは炉の高温化に耐えつつ、パーティクルと結晶欠陥スリップの低減に寄与できる。

 シリコンパーツの生産面においては石英製品と同様に、加工精度向上への要求に対応して、装置間の搬送の自動化や三次元測定の自動化などの取組みを進めている。
 

図4 単結晶インゴット引上げ炉

 

◆今後の展開

大谷 前述のとおり火加工品は人の手に頼るところが大きいことから、上級の職人(職能により7段階に分類)を増やす取組みを強化するとともに、職人による技術の継承を進め、技術力の平準化を図っていく。一方で、徐々にではあるが、高精度品を同等の品質で加工し組み立てる自動化システムを構築していきたい。

石月 顧客のニーズを汲み取って商品の企画・開発を行い、提供していく「マーケットイン」の取組みを引き続き重視していく。顧客である製造装置メーカーの半導体製造プロセスでの装置採用認定(POR:Process of Record)獲得につながるよう、試作品の短納期対応を進め、装置メーカーの開発アウトプットの短縮に貢献したい。

大谷 当社は本年7月、フェローテックセラミックスとアドマップ、さらにはフェローテックが合併し、石英製品、シリコンパーツだけでなく、セラミックス製品、SiCパーツ(CVD-SiC)、真空シールなど半導体製造プロセスに不可欠な製品群を1社で供給できる体制となった。部門間での情報共有を強化しつつ、シナジー効果を高めていきたい。現時点では、それぞれの部門で同じユーザーに製品を提案、供給している例が多いため、営業各員がすべての製品を提案できるよう製品知識を深めつつ情報共有を徹底して、顧客の開発期間短縮といったメリットの拡大につなげていきたい。
 

■フェローテックホールディングスの半導体製造関連事業

 

◆フェローテックマテリアルテクノロジーズの石英製品

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トヨタと日野、北米で燃料電池大型トラックを共同開発

3年 6ヶ月 ago
トヨタと日野、北米で燃料電池大型トラックを共同開発kat 2020年10月8日(木曜日) in

 トヨタ自動車の北米事業体であるToyota Motor North America(TMNA)と、日野自動車の米国販売子会社の日野モータース セールス U.S.A.(米国日野販売)、生産子会社の日野モータース マニュファクチュアリング U.S.A(米国日野製造)は、大型電動トラックへの関心の高まりを受け、北米向けに、燃料電池(FC)で走行する大型トラックの共同開発を実施する。

 日野が北米で投入している新型HINO XLシリーズのシャシーをベースに、トヨタの燃料電池技術を組み合わせ、CO2を排出せずに走行する高性能大型トラックを開発する。2021年の前半に試作車両を開発し、評価を進めていく計画。本取組みは、本年3月に発表した日本国内向け燃料電池大型トラックの共同開発をさらに発展させるもの。

共同で開発するFC大型トラックのイメージ

 TMNA R&Dのシニア・エグゼクティブ・エンジニアである横尾将士氏は「燃料電池を搭載したHINO XLシリーズは、顧客と地域社会の双方にメリットをもたらす。静粛性、スムースな走り、そしてパワフルな走行性能を実現した上で、走行時に排出するのは水だけ。トヨタが20年以上にわたって開発してきた燃料電池技術と、日野の大型トラックに関する知見を組み合わせることで、革新的で競争力のある製品を生み出すことができるだろう」と話している。

 また、米国日野販売のカスタマー・エクスペリエンス担当シニア・バイス・プレジデントであるグレン・エリス(Glenn Ellis)氏は「日野の強みであるパワートレーンをさらに発展させ、トヨタの持つ燃料電池技術を活用することで、商用車としての実用性に加え、優れた航続距離と環境性能を持つゼロ・エミッション車を短期間で顧客に提供することが可能となる。日野は、イノベーション創出に向けた顧客中心の開発思想や、製品の耐久性・信頼性へのこだわりなど、トヨタと多くの価値観を共有している。今回の協業成果をゲームチェンジャーとするべく、取り組んでいく」と語っている。

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JR東日本、日立、トヨタ、燃料電池-蓄電池ハイブリッド試験車両を開発

3年 6ヶ月 ago
JR東日本、日立、トヨタ、燃料電池-蓄電池ハイブリッド試験車両を開発kat 2020年10月8日(木曜日) in

 東日本旅客鉄道(JR東日本)、日立製作所、トヨタ自動車は、鉄道の環境優位性のさらなる向上とサスティナブルな社会の実現を目的に、水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した試験車両「HYBARI」(ひばり/HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation)を連携して開発することで合意した。燃料電池装置の開発はトヨタが、ハイブリッド駆動システムの開発は日立が担当する。

「変革を起こす水素燃料電池と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車両」
をイメージして名称が決定された試験車両「HYBARI」

 

 実証試験は2022年3月頃に開始する予定で、試験区間は鶴見線、南武線尻手支線、南武線(尻手~武蔵中原)。実証試験の実施にあたっては神奈川県、横浜市、川崎市の協力を得て、環境整備を進めていく予定だ。

 世界がサスティナブルな社会の実現を目指す中、大量輸送機関である鉄道にも、よりクリーンなエネルギーで走行する次世代の鉄道車両が期待されている。これに対し3社では、水素をエネルギー源とする革新的な鉄道車両を開発していくことで、地球温暖化防止やエネルギーの多様化などによる脱炭素社会の実現に貢献していく考え。

 JR東日本は鉄道車両の設計・製造の技術を、日立はJR東日本と共同で開発した鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術を有し、トヨタは燃料電池自動車 MIRAIや燃料電池バス SORAの開発で培った燃料電池の技術を持つ。

 3社が持つ鉄道技術と自動車技術を融合し、自動車で実用化されている燃料電池を鉄道へ応用することで、自動車より大きな鉄道車両を駆動させるための高出力な制御を目指したハイブリッド車両(燃料電池)試験車両を実現していく。

試験車両主要諸元

 

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THK、吉忠マネキンと共同開発の「ディスプレイロボット」の受注を開始

3年 6ヶ月 ago
THK、吉忠マネキンと共同開発の「ディスプレイロボット」の受注を開始kat 2020年10月8日(木曜日) in

 THKと吉忠マネキンは、自律移動が可能な次世代型ディスプレイショーケース「ディスプレイロボット」を共同で開発した。本年10 月から受注を開始している。見る、動く、展示するの三つの機能を搭載した自律移動のできる次世代ロボットで、主に商業空間での利用が見込まれている。

ディスプレイロボット

 

 従来、人が近づかなければ訴求効果が得られなかった据え付け固定型ディスプレイの難点を、独自に培ったロボット技術SEED Solutionsを駆使することで解消した。その場を動かず陳列・展示だけを目的とした店舗什器というディスプレイの概念を覆し、自律移動が可能なロボットへと転換させました。これにより、ロボットに内蔵されたディスプレイが広範囲にわたって人の目を惹きつけ、訴求効果を格段に高めることが期待されている。

 ロボットの外観デザインは、ショーウィンドウの装飾デザイン等で業界屈指の実績を誇る吉忠マネキンが手掛けた。商業施設をはじめ、ホテルや空港など、多くの人が行き交う場所でも注目を集める。

 特長は以下のとおり。

・ディスプレイロボットの自律移動装置は、THKのサービスロボット向けプラットフォームSEED-Moverを採用。基本動作は、前進・後退・横移動・斜め移動・旋回の5パターン。目的地へのルート設定は簡単で、走行上の障害物を避けつつ、リアルタイムで軌道修正を行いながら移動

・3Dホログラム映像を通して商品をPRするだけでなく商品自体をディスプレイロボット内に入れて展示することも可能なほか、接客スタッフの不在時にもディスプレイを通して顧客に商品情報を提示できる

・人に代わって集客や接客が可能なため、インバウンド需要の取り込みや世界的に注目を集めるビックイベントに向けて、商業施設、ホテル、空港等の場で新形態の接客スタイルを創り出す施策として期待できる。一方、人手不足が課題のサービス業においては接客業務の自動化を進展させるツールとしての適用も可能で、省人化が求められる幅広いシーンで活用できる

・IoT技術を駆使した販促支援機能を強化するという利点も備えている。例えばロボット本体にBluetooth®機器を追加搭載し、スマートフォンと連動させて実店舗等からプッシュ通知を行うことで、より広範囲の情報発信が可能となり、さらにスマートフォンからECサイトや店舗への誘導もスムーズかつ効果的に行うことができる

 

ディスプレイロボットが創り出す新形態の接客スタイル

 

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THK、電子部品組立用ピック&プレースロボットの受注を開始

3年 7ヶ月 ago
THK、電子部品組立用ピック&プレースロボットの受注を開始kat 2020年9月16日(水曜日) in

 THKは、電子部品組立用ピック&プレースロボット「PPR」の受注を開始した。

電子部品組立用ピック&プレースロボット「PPR」

 

 PPRは、電子部品を構成する微細なワークを吸着し、ベースへの移載や組立を素早く正確に行うためのロボット。昇降、回転の基本的動作に加え、ワークに掛かる力を測定する力センサをはじめとした各種センサ、電磁弁、制御モジュールといった、ピック&プレースに必要な要素がオールインワンとなっている。

 電子部品組立工程の生産スピード向上とワークダメージ低減を両立できる世界初の工程最適型ロボットとして特許出願中という。

 部品の微細化が進む中で多くの電子部品メーカーが抱える課題は、移載時のワークダメージ低減とサイクルタイムの短縮だが、PPRはそれらの課題を解決し生産性の向上に寄与するほか、力、流量、圧力、温度などの様々なセンサ情報を専用ソフトで可視化することで、トラブル発生時の迅速な原因追及を可能にし、品質の安定化につなげる。

 PPRでは、ワークにかかる荷重を検知してフィードバックする独自の「力(ちから)センシング技術」により、これまで困難であったワーク接触時の微小な力を検出することが可能なほか、フィードバック制御により、高速動作とワークダメージ低減を両立できる。力(ちから)センサの分解能は0.01Nで、接触停止機能を使用した時、ワークへの衝撃を0.3N以下に抑制できる。

 また、モータ、センサ、空圧機器の統合制御によって上位装置との通信回数を削減し、PLCを中心とする制御で起こりやすい工程間のタイムロスを抑えることで、サイクルタイムを短縮できる。

 さらに、力、流量、圧力、温度などの様々なセンサ情報を可視化し、トラブル発生時の原因追及を可能にする。

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THK、自律移動搬送ロボットの受注を開始

3年 7ヶ月 ago
THK、自律移動搬送ロボットの受注を開始kat 2020年9月8日(火曜日) in

 THKは、内蔵カメラで目印となるサインポストを認識しながら自律移動する搬送ロボット「SIGNAS」の受注を開始した。多くの製造・物流現場で用いられているAGV(無人搬送車)のようなルートテープを必要とせず、独自の自律移動制御システムを搭載することで新しい誘導方式を実現した。価格は標準セット200万円~。

自律移動搬送ロボット「SIGNAS」


 昨今の労働現場では人手不足が深刻化しつつある一方で、単純作業の省人化や現場スタッフの生産性向上が求められている。SIGNASは、従来は人が行っていた搬送作業を自働化するだけでなく、人との協調作業によって生産性の向上を図るほか、特別なプログラミング知識がなくても経路設定やルート変更が可能なため、ロボット操作に不慣れな現場スタッフでも簡単に安心して扱うことができる。

 独自の自律移動制御システムで設定は簡単に行える。ロボットに内蔵されたステレオカメラで設置されたサインポスト(目印)との距離・方位を計測、経路に沿って走行動作(発進/カーブ/スピンターン/停止)を制御する。経路の設定はサインポストを設置するだけで、煩雑なプログラミング知識は不要なほか、経路の変更もサインポストを移動させるだけで可能で、ルートテープレスのためレイアウト変更工事の手間もかからない。

自律移動制御システム

 

 また、SIGNAS」は、積載タイプと牽引タイプの2つのラインナップで展開。建築現場での資材運搬や工場内の物流を担う一般的なAGV(無人搬送車)では使用場所や用途が限られるのに対し、例えば段差やスロープのある場所、屋外と屋内を行き来するエリアなどでも運用が可能。使用環境やスペース、運搬物などの条件に合わせて、幅広い用途に適用できる。

積載タイプ(左)と牽引タイプ(右)

 

 さらに、走行上で障害物を検知するLRF(レーザレンジファインダ)とバンパーセンサを搭載し、進行方向に遮蔽物があれば、安全に停止する。

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ジェイテクト、羽田空港地域における自動運転の実証実験を実施

3年 7ヶ月 ago
ジェイテクト、羽田空港地域における自動運転の実証実験を実施kat 2020年9月8日(火曜日) in

 ジェイテクトは内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」の東京臨海部実証実験へ参画しているが、本年6月8日~7月16日の期間に羽田空港地域における自動運転の実証実験を実施した。

 本実証実験で得られた成果を基に、技術をさらにブラッシュアップし、次世代型公共交通システムの実現へ寄与することで、高齢者や交通制約者などのモビリティ確保やドライバー不足の改善・コスト低減等の社会的課題の解決に貢献していく。

実験車両

 

 羽田空港第3ターミナルビルと羽田空港跡地第1ゾーンを結ぶ公道の実環境下において、磁気マーカ、ITS無線路側機を活用した公共車両優先システム(PTPS:Public Transportation Priority Systems)および信号情報提供、高精度3次元地図等を利用した実証実験を本年6月5日にスタート。

 公共交通機関であるバスの定時性の向上、磁気マーカを活用した自動運転の実現、緩やかな加減速やバス停への正着制御などによる全ての人に優しく快適な運転自動化レベル4相当の次世代型公共交通システム等の実現を目指す。

 今回の羽田空港地域における実証実験では、テストコース等における限られた条件での実験と異なり、実交通環境下の走行データを多く取得できた。

 また、ジェイテクトの操舵アクチュエータは、油圧パワーステアリングシステムの特性を加味した制御最適化の機能も有している。

 実験車両は、搭載された自動運転制御装置により、ルート上に埋設された磁気マーカやGNSS測位を活用して自車位置を把握し、事前に設定された走行軌跡と照らし合わせてアクセル、ブレーキ、操舵操作を実施し、既定のルートを周回した。

制御イメージ

 

仮設バス停への正着制御

 

 実験車両(日野ブルーリボンシティ)を使用し、羽田空港ターミナルビルに設置された仮設バス停を発着点として、Haneda Innovation Cityを経由する周回コース(約4km)の公道区間において自動運転走行を実施。実験期間中、発進、最大60km/hの走行、右左折、車線変更、正着制御による停車といった一連の走行パターンを繰り返し行い、磁気マーカやGNSSといった異なる測位方式による走行データも取得することができた。

 今後は、実験データの解析を通して、技術、精度、社会的受容性に係る課題解決に向けた取組みをさらに促進し、関係機関と協調しながら、実用化と普及の加速を図っていく。

kat
Checked
54 分 50 秒 ago
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