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SEMICON Japan 2024

 

丸紅情報システムズ、量産対応高硬度DLCコーティングの受託サービスを開始

プリント配線板用ドリルへのULFコート実施例プリント配線板用ドリルへのULFコート実施例 丸紅情報システムズ(MSYS、 http://www.marubeni-sys.com/de/coat/ )は5月23日から、プリント配線基板(PCB)用超硬ドリルのトップメーカーのユニオンツールが開発したダイヤモンドライクカーボン(DLC)「ULF(ウルフ)コート」の受託販売を開始する。受託サービスは、ユーザーから預かった超硬、鉄系金属を素材とする部品を、ユニオンツールが開発・所有する成膜装置でULFコートを処理するもの。ULFコートは、ユニオンツールの自社製品向けですでに累計約1000万本の量産実績を持っており、ビッカース硬さ6500Hvの高硬度な水素フリーDLCコーティングを大量生産部品に対応できることが強み。MSYSでは自動車や機械、精密機器、金型などの製造業向けに、耐久性や耐摩耗性、耐腐食性、生体親和性の向上、摩擦抵抗の低減などの品質向上を実現するDLCコーティングを提案していく。

 プリント基板(PCB)用材料の穴あけ加工の比較では、コーティングしていないドリルでは約4000穴の穴あけ加工で達した折損寿命が、ULFコートで処理したドリルでは約20000穴に延び、耐久性が約5倍に向上した。複数の条件で検証した結果、2.5~10倍以上に耐久性が向上することが確認されている。

 自動車のエンジン部品へのULFコートは、耐久性の向上のほか、摩擦抵抗の低減による燃費の向上が期待でき、金型の場合は離型性や耐摩耗性の向上効果が得られる。また、摺動部品など機械部品では、耐摩耗向上や低摩擦化、接触する他の部品への攻撃性低減などに効果がある。

 ULFコートは水素を含有しない高硬度DLCで、100℃以下の低温でコーティング処理できるため、コーティングする母材の変形や変質を抑えることができる。また、価格も2~3割程度、安価に提供できるという。

 同DLC技術は、本年1月12日に超硬工具協会より『PCB工具用DLC皮膜「ULF」の開発』で技術功績賞を受賞するなど、技術力が評価されているほか、ユニオンツールではULFコートに関する特許もすでに取得している。

 ユニオンツールでは2010年1月から工具メーカー向けにULFコートを提供していたが、さらなる事業の拡大をめざし、自動車部品メーカーや機械部品メーカーなどにCAD・CAMシステム、検証・検査システム、三次元造形装置等の販売実績を持つMSYSと営業活動に関する業務提携を行うことになった。

 またMSYSでは、自動車部品関連、機械部品関連、金型関連、切削工具、その他部品などに、販売開始から3年間で約15億円の受注を目指す。

①ULFコート無し:加工開始約2m付近のアルミ板加工面。 スリットバリの発生が確認できる。①ULFコート無し:加工開始約2m付近のアルミ板加工面。 スリットバリの発生が確認できる。②ULFコート有り:加工開始約10m付近のアルミ板加工面。5倍長く加工してもほとんどバリが見られない。 ②ULFコート有り:加工開始約10m付近のアルミ板加工面。5倍長く加工してもほとんどバリが見られない。 ③ULFコート無し:約2m加工後のエンドミルの表面。切れ刃溶着が発生している。③ULFコート無し:約2m加工後のエンドミルの表面。切れ刃溶着が発生している。④ULFコート有り:約10m加工後のエンドミルの表面。切れ刃溶着がなく、傷等も見られない。④ULFコート有り:約10m加工後のエンドミルの表面。切れ刃溶着がなく、傷等も見られない。