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第9回ものづくりワールド名古屋

 

メカニカル・テック配信ニュース

ダイセル・エボニック、高機能プラスチック展に出展

4年 4ヶ月 ago
ダイセル・エボニック、高機能プラスチック展に出展kat 2019年12月12日(木曜日) in

 ダイセル・エボニック(https://www.daicel-evonik.com/)は、12月4日~6日に開催された「高機能プラスチック展」に出展、PEEK樹脂「ベスタキープ」やポリアミド(PA)12樹脂「ベスタミド」「ダイアミド」、ポリイミド(PI)パウダー「P84NT」や複合化技術などの新技術・新素材を紹介した。

 今回は特に、金属製、ゴム製ホースと比べ軽量ながら、優れた耐加水分解性と強靭な機械特性を有する、ポリアミドベースの冷却配管用樹脂チューブ「MLT 8000シリーズ」を紹介。押出成形加工のほか、市場で要求が高まっていたブロー成形加工にも対応できることを示した。

冷却配管用樹脂チューブ「MLT 8000シリーズ」

 

 また、高温・高負荷条件下で用いられる摺動部品に最適なPIパウダー「P84NT DF(Direct Forming)グレード」を紹介。DFは粉末冶金法に類似した成形法で、大量の小さな部品を効率よく迅速に成形できる。簡単形状であれば最速で毎分40個の成形が可能という。無潤滑下、高負荷条件下でポリアセタール(POM)樹脂やPEEK樹脂よりも優れた摺動性を示し、さらにUHTグレードや黒煙添加グレードでは、より摺動面の温度が上がりにくく、高負荷での使用が可能になる。

「P84NT DFグレード」

 

 会期中の6日には、同社テクニカルセンター 所長 六田充輝氏による「異種材料の接着・接合技術とマルチマテリアル化 ― その接着・接合機構と効果 ―」と題する製品・技術セミナーが開催。定員50名を大幅に超過する参加のもと、マルチマテリアル化において中核技術である各種接着・接合について、その機構と分析例、アプリケーションにおけるマルチマテリアル化の効果について解説がなされた。

製品・技術セミナーのようす

 

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ダイセル・エボニックのPEEK樹脂が熱可塑性UDテープに採用

4年 4ヶ月 ago
ダイセル・エボニックのPEEK樹脂が熱可塑性UDテープに採用kat 2019年11月28日(木曜日) in

 ダイセル・エボニックのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂「ベスタキープⓇ」が、丸八の熱可塑性単方向(UD)テープに採用された。丸八の優れた厚み調整技術により繊維を均一に配列させることで1~2割強度が上昇するとともに、射出成形に比べてコンポジット化により弾性率を約10%アップさせ、薄肉化・軽量化を実現している。

 PEEK樹脂ベスタキープⓇをマトリックス樹脂として採用したこの熱可塑性UDテープは、レーザー積層技術を使用しており、高圧、高熱の環境で、耐薬品性を要求される深海での掘削用パイプへの採用を目指す。

 また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の日独プロジェクト「国際研究開発/コファンド/日本―ドイツ研究開発協力事業」では、超高強度のパイプ加工方法の確立を目指した研究開発が進められており、この熱可塑性UDテープは様々な用途への展開が期待されている。

ベスタキープを採用した丸八製UDテープ

 

PEEK 樹脂 ベスタキープ


 

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NTN、再生可能エネルギーとITによる減災・見守りシステム構築へ

4年 5ヶ月 ago
NTN、再生可能エネルギーとITによる減災・見守りシステム構築へkat 2019年11月21日(木曜日) in

 NTNは11月7日、大阪大学の吹田キャンパスで、ITを活用した防災や見守りに関する共同研究の一環として、拠点間長距離無線伝送実験を実施した。

 同社は、2017年より大阪大学と全国自治会活動支援ネットおよび企業によるITを活用した防災や見守りに関する共同研究に参画している。これまでに、風力や太陽光で発電する独立電源装置「NTNグリーンパワーステーション」を、実験機として同大学吹田キャンパスに3基設置し、実験や内部検証などを行ってきた。

 今回は、大阪大学吹田キャンパスの人間科学研究科棟周辺を被災地、近隣の吹田市立津雲台小学校を救援本部と想定し、仮想の被害状況について長距離無線を使って送受信を行った。

 実験ではアプリを通じて、人間科学研究科棟前の独立電源装置から被災人数や怪我人の有無などの被災状況を発信し、キャンパス内の同装置2基、人間科学研究科棟、工学研究科棟のアンテナを経由して、キャンパスから約2.5㎞離れた救援本部へメッセージを送信した。

 また、カメラ映像による被災状況の確認や被災地と救援本部とのメッセージの送受信も実施した。これまでキャンパス内の通信実験は行ってきたが、長距離間の無線伝送を実施したのは初めて。

 本年9月、台風15号により千葉県を中心に大規模被害が発生し、広域かつ長期間にわたって停電や通信遮断が起こったため、被災状況の把握や救援活動が困難な事態となった。

 本共同研究で取り組む再生可能エネルギーを活用した通信システムの構築は、こうした事態の解決策となるもので、NTNでは、災害時だけでなく、平常時には監視カメラなどを搭載することで地域の子どもの見守りなどの機能としても活用されることを想定している。

 NTNでは今後も本共同研究を通じて防災・減災、そして地域の見守りに役立つシステムの構築を進めることで、地域社会の安全・安心に貢献していく考えだ。

 

想定被災地(大阪大学吹田キャンパス)の独立電源装置より被災状況を発信

 

 

想定救援本部(吹田市立津雲台小学校)でメッセージ送受信、監視カメラ映像確認

 

 

拠点間長距離無線伝送実験 イメージ図

 

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東京モーターショー2019が開催、未来のモビリティに対応する機械要素技術が披露

4年 5ヶ月 ago
東京モーターショー2019が開催、未来のモビリティに対応する機械要素技術が披露kat 2019年11月12日(火曜日) in

 「第46回東京モーターショー2019」(主催:日本自動車工業会(JAMA))が10月24日~11月4日、東京都江東区の東京ビッグサイト(青海・西・南展示棟)、MEGA WEB、ヴィーナスフォート、シンボルプロムナード公園などで開催された。今回は「OPEN FUTURE」をテーマに、192の企業・団体が参加、業界を超えてオールインダストリーで「クルマ・バイクのワクワクドキドキ」から「未来の暮らし」、「未来の街」にまで領域を広げ、130万900人が未来のモビリティ社会を体感した。

 
クルマが主役の展示から、人が主役の展示へ

 トヨタブースでは、従来の市販予定車やコンセプトカー中心の展示から、人を中心とした未来のモビリティ社会を体感できるテーマパークに大きくモデルチェンジした。プレスデーの10月23日に同社ブースで挨拶に立ったJAMA会長でトヨタ自動車社長の豊田章男氏は、「今回の“参加・体感型ブース”は、来場者に楽しんでもらい、未来のモビリティにおいてもFUN TO DRIVEを大切にしたいという気持ちを伝えるコンセプトとした。トヨタ生産方式の“自働化”と“Just in time方式”に共通するのは、人を中心に置く考え。だからこそ、人が中心に居続ける未来をトヨタは描いている。クルマの自動化が進めば進むほど、大量の情報を判断し瞬時に処理できる人間の力が試されることになると考えている」と語った。

 

自動運転システム搭載のEV「e-Palette」を背に、「ブースのコンセプトはHuman Connected。トヨタは人間の力を信じている」と語る豊田章男氏

 

充電・電力活用システム含め、電気自動車(EV)・プラグインハイブリッドEV(PHEV)が提案

 初の量産電気自動車(EV)でe-SKYACTIVEを搭載したマツダの「MX-30」や、ツインモーター4輪制御を採用した日産自動車のクロスオーバーコンセプトのEV、発電機にガスタービンエンジンを用いる三菱自動車のPHEV「MI-TECH CONCEPT」、など電動車両が披露される中、今回は「日産リーフ」に電気を蓄え、走る以外にも電気を活用する「ニッサンエナジーシェア」を表現したモデルルームの展示や、太陽光パネルやV2H機器などで構成するシステムをパッケージ化し、EVやPHEVの購入と併せて販売・設置・アフターメンテナンスを提供する三菱自動車の「電動DRIVE HOUSE」などが提案された。販売の伸び悩むEVとインフラ整備の遅れる充電設備に関して、自動車メーカー自らが電気を「つくる」「ためる」「使う」ためのより付加価値の高いシステムとして、EVと電力相互供給システムというトータルソリューションを示した形だ。

 

日産自動車「ニッサンエナジーシェア」を表現したモデルルーム

 

燃料電池車(FCV)の市場投入が本格化

 トヨタ自動車は、メインブースには市販予定車を1台も置かなかったものの、2020年に発売予定の燃料電池車(FCV)第2世代の「MIRAI Concept」をMEGA WEB で展示した。MIRAI Conceptでは新型FCスタックによって航続距離を従来比約30%増の約850kmに延長している。

 

トヨタ自動車「MIRAI Concept」

 

 また、メルセデス・ベンツでは、世界初の燃料電池PHV「GLC F-CELL」を披露した。水素を燃料に使い発電、その電力でモーターを駆動するFCVであると同時に、発電した電力を大容量バッテリーに蓄電できる。蓄電した電力のみでもモーターが駆動できるため、水素がなくとも、蓄電した電力さえあれば走行可能。専用の充電プラグを介しての蓄電も可能にしている。

 

メルセデス・ベンツ「GLC F-CELL」

 

自動運転システム、レベル4への技術革新進む

 トヨタは、電動化、コネクティッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EVと位置付ける「e-Palette」や、会話型のAIエージェントとレベル4(高度運転自動化)相当の自動運転技術を搭載するコンセプトカー「LQ」を展示した。

 

トヨタ自動車「LQ」

 

 「e-Palette」は東京2020オリンピック・パラリンピック専用車両として使われる予定で、高精度3Dマップなどを活用しながら、レベル4での最高速度時速19kmの低速自動運転を可能にしている。将来的には、ネット通販と連携した自動配送や移動店舗、オンデマンドバスや移動オフィスとしての利用を想定し、2023年の市場投入を目指している。「LQ」についても、2020年には公道で自動運転の体験イベントも行う計画がある。

 そのほか、スズキのモバイルルーム自動運転車「HANARE(ハナレ)」が披露されるなど、今回の展示では、レベル4に向けた日本の自動運転技術の進捗度がアピールされた。

エンジンの低フリクション化も進展

 トヨタ自動車は、2020年2月発売予定の「ヴィッツ」改め「YARiS」をヴィーナスフォートで展示した。

 今後トヨタの先進国向けコンパクトカーのベースとなるTNGAプラットフォーム(GA-B)を初採用したほか、エンジン、ハイブリッドシステム、トランスミッション、サスペンションなど、すべてをゼロベースから作り上げた。軽量で高剛性、低重心のボディに加え、新開発「直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジン」に対しDirect Shift-CVTと新世代ハイブリッドシステム、6速マニュアル、また改良を加えた1.0Lエンジンに対し小型軽量化したCVTと、4種類のパワートレーンを用意し、軽快で上質な乗り心地と、スムースでダイレクトな加速を実現した。

 直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジンは、ロングストロークやバルブ挟角拡大などの高速燃焼技術を採用し、低燃費と高出力を両立。直列3気筒1.0Lエンジンは、高タンブル流や高EGR(排気再循環)率、フリクション低減などの改良により、軽快な走りと低燃費を両立。低フリクション化では、本年10月に発行されたJASOの規格GLV-1に組み込まれた超低粘度規格0W-8に適合するエンジンオイルも採用されるという。

 

トヨタ自動車「YARiS」

 

エンジンの低燃費化に対応するベアリング&モーション技術

 CO2排出量削減からますます要求の強まるエンジンの低燃費化に対して、大同メタル工業は、エンジンの機械損失低減に貢献するエンジンベアリングの低フリクション技術として、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を施した耐摩耗性向上コーティングによってアイドルストップ仕様エンジン用軸受として採用されている「DLA02」を紹介した。

 さらに最近では、耐摩耗・耐焼付き性コーティングを施したエンジンベアリング「DLA06」が開発され、軸受表面に固体潤滑剤を分散させた樹脂層を若干やわらかくすることで異物混入時の耐摩耗性を高める異物埋収性を付与したほか、低粘度化の進むエンジンオイルの使用条件下で発生しやすい温度上昇を抑制、焼付きを防ぐことをアピールした。

大同メタル工業「DLA02ほか」

 

 また、日本ピストンリングでは、自動車エンジン用シリンダボアにマイクロテクスチャ(ディンプル)を施すことで低摩擦化を実現する「ディンプルライナ」を展示。省燃費化に寄与できることなどから、世界で初めてトラック用ディーゼルエンジンに採用されている。また、摺動時にシリンダとの摩擦を減らすことで低燃費につながるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜のピストンリングを紹介した。

 

日本ピストンリング「DLCピストンリングとディンプルライナ」

 

 リケンではまた、大型ディーゼルエンジン向けに耐摩耗性と低摩擦特性を付与する厚膜DLC被覆のピストンリングを、レース用二輪車の高回転化に有利なフィンガーフォロワーに対し、摺動抵抗低減を目的にDLCを施した製品を展示した。

 

リケン「厚膜DLCリングやDLCフィンガーフォロワー」

 

電動化・自動運転に貢献するベアリング技術

 ジェイテクトは、ハイブリッド車(HEV・PHEV)や電動車(EV・FCV)の変速機などで主に使用される「クリープ摩耗抑制玉軸受」を展示した。クリープが発生すると、軸受とハウジングが擦れ合うことでその双方が摩耗して軸の芯ずれや傾きを引き起こし、結果、ギヤのかみ合い不良による変速機の機能低下や異音などの不具合が発生する恐れがある。従来は、クリープによる不具合を避けるため、軸受の外輪を厚くしたり、固体潤滑皮膜を使用したりといった策が取られてきたが、どちらもサイズ・重量やコスト面での課題があり、最適な製品の開発が必要だった。開発品では、外輪の外径中央部に円周方向の溝を作ることで、「ひずみクリープ」によるハウジング摩耗の抑制に貢献する技術に加え、外輪全体に特殊皮膜を施すことで、「連れ回りクリープ」によるハウジング摩耗に対しても効果のある軸受の開発に成功した。

 

ジェイテクト「クリープ摩耗抑制玉軸受」


 日本ピストンリングは、「3D形状圧粉コアを用いたアキシャルギャップ型モータ」を展示。アキシャル構造・3D形状圧粉コア採用により、小型・低速・高トルク駆動を実現。インホイールモータのため、機械損失の低減やギア音の削減に貢献するほか、エアギャップの可変に対応しており、高速や高トルクなど、モータ特性を用途に合わせて変更できる。小型EVなどへの適用を提案していく。
 

日本ピストンリング「3D形状圧粉コアを用いたアキシャルギャップ型モータ」


 日本精工は、ブリヂストン、東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本研究室、ローム、東洋電機製造と共同で開発した、道路からインホイールモータ(IWM)に直接給電できる「第3世代走行中ワイヤレス給電IWM」を展示した。これは、EV)に必要な受電から駆動までのすべての機能をタイヤの内側に配置することで、走行中ワイヤレス給電性能、モータ性能、車両への搭載性を大幅に改善することを可能にするもの。今後、2022年までにタイヤを含めた車両での評価を行い、2025年に実証実験フェーズへの移行を目指す。

 

日本精工「第3世代走行中ワイヤレス給電IWM」

 

FCVの水素環境下で円滑に稼動するベアリング&モーション技術

 ジェイテクトは、燃料電池自動車の動力源となる高圧水素が貯蔵されているタンクに装着され、高圧水素を封止/供給する役割を担う「高圧水素供給バルブ」や、バルブから供給された高圧水素を下流のスタックで使用可能な圧力まで減圧する「減圧弁」を納入しているが、同社ではこのほど、水素環境中における材料および潤滑剤の評価を可能とする「水素環境用軸受評価試験機」を開発、FCVなどの水素環境でも安心して使用できる軸受を開発することを可能にしている。

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フェローテック、パワー半導体用基板の技術を深化、適用展開へ

4年 5ヶ月 ago
フェローテック、パワー半導体用基板の技術を深化、適用展開へkat 2019年11月11日(月曜日) in

 フェローテックホールディングス(https://www.ferrotec.co.jp/)傘下のフェローテック(http://www.ferrotec.jp/)のコア技術としては、1980年の創業以来のビジネスである磁石に反応する液体「磁性流体」や、電流によって発熱・吸熱を制御できる「サーモモジュール」、セラミックス基板に銅回路板を共晶反応によって接合した放熱絶縁基板「パワー半導体」用の基板がある。同社では近年、「オートモーティブ プロジェクト」を立ち上げ自動車分野を強化しているが、こうした中で、パワー半導体用基板の技術深化や適用展開が加速してきている。

 ここでは、同社DCB営業部長の大島久和氏に、パワー半導体用基板の技術と適用展開について話を聞いた。

 

パワー半導体用基板の特徴とアプリケーション

パワー半導体用DCB基板と優位性

 パワー半導体用基板では、放熱性・絶縁性・耐久性が高いアルミナセラミックス基板に銅製(Copper)の回路と放熱板を直接接合(Direct Bonding)させた構造のDCB(Direct Copper Bonding)基板を自社開発し、1995年から中国・上海工場で生産を開始している。これは、当社主力製品のサーモモジュールを応用した製品だが、2005年からは、中国のパワーモジュールメーカーの要請でDCB単独での外販を開始した。2012年には日系メーカーから要望があり、輸出を開始している。

 こうした長年の技術的ノウハウの蓄積によって、DCB製造および回路形成で特徴的な技術を保有していると自負している。1995年から生産を始めた中国・上海工場に加えて、2018年7月には中国・江蘇省に東台工場を新設して生産を拡充、現在パワー半導体用DCB基板は月産60万枚のマスターカード(1枚190mm×138mm)の生産体制を構築、独ロジャース社に続く、世界第2位のシェアを持つ。コスト競争力と納期に強みがあることから、QCT(Quality, Cost, Time)の面でグローバルのユーザーに貢献できるものと考えている。
 

パワー半導体用基板

 

主なアプリケーション

 パワー半導体は絶縁・導電の特性を活かして電力の供給・制御に用いられることから、大きな電力を扱う用途で使われることが多いため発生する熱量も大きくなる。そこで基板には高い放熱性に加え、回路以外の部分には高い絶縁性が求められることから、当社のDCB基板が活躍している。
用途としてはまず、白物家電、特にエアコンのインバータ向けが多い。次いで、産業用機械向けでは、ロボット、NC(数値制御)加工機械、サーボ、インバータなどに使われている。さらに自動車のエンジンやモータ、パワーステアリング、ヘッドランプなどの制御装置の基板として採用されているほか、自然エネルギー(風力発電・太陽光発電など)関連装置のモータ制御用インバータとして用いられている。
 

パワー半導体の主なアプリケーション

 

新分野への展開:オートモーティブプロジェクト

 パワー半導体用DCB基板は、内燃機関車からHEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)といった電動化、さらには先進運転支援システム(ADAS)の搭載などを背景に、需要の増加するモータ制御用インバータ回路の基板として引き合いが増えてきている。

 特に2018年1月からは、「オートモーティブ プロジェクト」を立ち上げたことで、自動車用温度調節シート向けで多くの採用実績を持つ「サーモモジュール」、車載スピーカーで実績のある「磁性流体」、さらにはモータ制御用インバータ向けに実績のある「パワー半導体用基板」と横断的な製品技術による、自動車市場の攻略に取り組んでおり、パワー半導体用基板の車載向け需要も本年から急速に伸びている。現在は評価ステージの段階で、新しいユーザーからの強度や耐熱、耐電圧などに関する信頼性評価の依頼が増えてきている。
 

自動車におけるコア技術製品の主なアプリケーション

 

高信頼性AMB基板の投入

 2020年3月期~2022年3月期の新中期経営計画では、半導体マテリアル、ウェーハ、パワー半導体、洗浄の四つを戦略製品として大幅売上増加を目指している。その観点から、2019年初めから、実績のあるDCBパワー半導体用基板に加えて、窒化ケイ素や窒化アルミニウムを基板とした、より信頼性の高いAMB(Active Metal Brazing:活性ロウ付け法)方式の技術を開発、新工場に量産設備を導入してサンプル出荷を開始している。

 AMBは窒化ケイ素基板と銅回路板の接合に活性金属であるチタンを使用したロウ付けを行う方式で、銀フリーのロウ材を使用することにより、銀の拡散によるエレクトロマイグレーションを避けることができるほか、従来のスクリーン印刷法とは異なりフィルム材を使用することによってロウ材の層を薄く均一に仕上げられるため、他社製品に比べて高信頼性・長寿命を確保できる。

 特に窒化ケイ素基板を用いたAMBは、そうした高信頼性に加えて、車載のパワーデバイスとして用いられるSiCと熱膨張係数の点で相性が良いといったことから、車載向けでの引き合いが増えてきている。上述のとおり信頼性評価のサイクル試験を実施している。自動車メーカーからは、-55~300℃といった温度変化を1000~2000サイクル実施しても、銅パターンのはく離やセラミックス基板のクラックが発生しないといった、強度の向上や寿命の延長を要求されており、当社では設備や工程の改善、技術の確立を急いでいるところだ。

 

今後の展開

 戦略製品の一つであるパワー半導体については、工作機械向けや自動車向けなどでも需要の増加が見込まれるなど、2025年までに30%超の成長、3兆円超の市場が予想されている。これに対し当社でも、2018年の東台新工場の立ち上げによる生産キャパシティ増加に伴う、大幅増収を見込んでいる。

 ラインナップとして追加するAMB基板に関しては、2020年3月までに月産5万枚のマスターカード(1枚190mm×138mm)の生産体制を構築する計画としている。AMB基板では先行して日本の企業数社が手掛けており当社は後発となるものの、マスターカードの形態で生産している企業は少ないため、DCB基板と同様にQCTの点でユーザーに貢献できると考えている。アルミナセラミックスを用いたDCB基板の需要拡大に加えて窒化ケイ素を主とするAMB基板の車載向けなどの新規需要を見込んで、2022年3月には売上70億円と大幅増収を目指したい。

パワー半導体用基板の売上予測

 

 本年12月11日~13日に開催される「SEMICON JAPAN2019」の当社ブース(東京ビッグサイト 南1ホール ブースNo. 7113)では、ここで紹介したパワー半導体用基板のほか、磁性流体を用いた真空シール、サーモモジュール、ファインセラミックスおよびマシナブルセラミックス、CVD-SiC製品など半導体製造プロセスを支える製品技術を広く紹介する。ぜひ会場に足を運んでいただき、これら技術に触れていただきたい。
 

「SEMICON JAPAN2018」での展示のようす

 

■フェローテックのパワー半導体用基板をよく知るには

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2020年4/20~24開催のハノーバーメッセに「ジャパンパビリオン」の設置が決定

4年 7ヶ月 ago
2020年4/20~24開催のハノーバーメッセに「ジャパンパビリオン」の設置が決定kat 2019年8月27日(火曜日) in

 最新の産業技術・製品が一堂に会す世界最大のB to B専門展示会「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ(主催:ドイツメッセ株式会社))」が2020年4月20日~24日に、ドイツ・ハノーバー国際見本市会場で開催される。出展者数は6,500 社(2019 年実績)、来場者数は215,000 人(2019 年実績)の規模での開催が見込まれる。

本年ハノーバーメッセ開催時のドイツ・ハノーバー国際見本市会場

 インダストリー4.0を打ち出し、製造技術のデジタル化を進めるドイツが誇る同展は、製造業のための最新の技術・ソリューションが一堂に会する場で世界中の製造業関係者が来場するが、2018年、2019年開催に続いて次回も、日本政府が掲げるConnected Industries (コネクティッド インダストリーズ)とその関連技術、製品、ソリューション、最新事例を世界に発信する場として、日本能率協会(JMA)ドイツメッセ日本代表部、ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)が共同で、「Japan Pavilion For Connected Industries(ジャパン パビリオン フォー コネクティッド インダストリーズ)」を同展に設置する。

 同パビリオンの設置場所は、ハノーバーメッセの人気エリアである「Digital Factory」から次回より名称変更される「Digital Ecosystem」になる予定。次回はまた、日本電機工業会、Industrial Value Chain Initiative(インダストリアル バリューチェーン イニシアティブ)と展示エリアを隣接、一体化させ150m2規模になる予定で、広大な「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」の中で、より大きな展示エリアとなり、同パビリオンのプレゼンスの向上を図る。

 主催の日本能率協会では、同パビリオンの構築に当たり、日本のConnected Industries (コネクティッド インダストリーズ)の世界への発信と普及に賛同し参加する企業と、支援する企業を併せて募集している。

ジャパンパビリオン参加募集概要

参加規模:150 m2(予定):日本電機工業会、Industrial Value Chain Initiative の展示エリアの合計

参加号館:HANNOVER MESSE 2020 Digital Ecosystems(ホール14、15、16、17)のいずれかを予定)

参加対象:Connected Industries や製造業向けの IT、IoT に関連した日本国内外における事例(ユースケースなどの紹介)・技術・サービス・商品

参加料金:600,000 円(不課税)

募集社数:最大 6 社(先着順)

申込期限:2019 年 11 月 29 日(金)

仕様: 背面パネル付展示台・社名板・一定の電気代と工事費・一定の展示物廃棄と清掃(デザインは主催者により統一デザイン)

付加サービス:パビリオン内共有エリアでの紹介スライド投影、2020年3月開催予定の東京都内でのジャパンパビリオン記者発表会でのショートプレゼンテーション

賛同・支援するサポーター募集概要

サポーター料金:180,000 円(不課税)
※パビリオン内にロゴやカタログを掲出

申込期限:2020年 1 月 31 日(金)

問合先

(一社)日本能率協会 ドイツメッセ日本代表部
担当:竹生(たけお)、小坂(こさか)
〒105-8522 東京都港区芝公園3-1-22
TEL: 03-3434-6447
E-Mail: DMS@jma.or.jp
URL: https://www.jma.or.jp/dms/

2019年ハノーバーメッセでのジャパンパビリオン:中央が支援企業のカタログ・ロゴ掲出のようす

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フェローテック、磁性流体とサーモモジュールなどコア技術・製品を活用し自動車分野を攻略

4年 8ヶ月 ago
フェローテック、磁性流体とサーモモジュールなどコア技術・製品を活用し自動車分野を攻略kat 2019年8月19日(月曜日) in

 フェローテックホールディングス( http://www.ferrotec.co.jp/ )傘下のフェローテック( http://www.ferrotec.jp/ )のコア技術としては、磁石に反応する液体「磁性流体」や、電流によって発熱・吸熱を制御できる「サーモモジュール」、アルミナセラミックス基板に銅版を直接接合、銅回路を形成したパワー半体DCB(Direct Copper Bonding)基板があり、パワー半体DCB基板では今後は、窒化ケイ素や窒化アルミニウムなどの材質でも量産化を目指している。

 フェローテックではこうしたコア技術・製品を活用し自動車分野の攻略を進めている。

サーモモジュールによるバッテリークーリング・ヒーティングのイメージ

磁性流体

 会社の発祥は1960年代の米国NASAスペース計画の際に「磁性流体」を開発したことに遡る。「宇宙の無重力の状態で、宇宙船内の液体燃料を運ぶにはどうしたらいいか?」その課題解決を目的に磁性流体は開発された。

 磁性流体は、流体でありながら外部磁場によって磁性を帯び、磁石に吸い寄せられる機能性材料。基本成分は、磁性微粒子、界面活性剤、キャリアとなるベース液(ベースオイル)で、直径約10nmの極小の酸化鉄粒子が、凝集を防ぐ界面活性剤で被膜され、安定的に分散したコロイド状の液体となっている。

 当初目的としたアプリケーションでの採用には至らなかったものの、その後、半導体の真空プロセスにおいて密閉空間を保持する「真空シール」に活用され、半導体の性能向上につながるコンタミネーションコントロールを実現している。「真空シール」は現在、フェローテックの代表的な製品の一つとなっている。
 

 

サーモモジュール

 サーモモジュール(ペルチェ素子)は、対象物を温めたり冷やしたりする半導体冷熱素子のことで、N型とP型という異なる性質を持った半導体素子を組み合わせたモジュールに、直流の電気を流すと熱が移動し、一方の面が吸熱(冷却)し、反対の面が放熱(加熱)するというペルチェ効果を応用したもの。電源の極性を逆にすると、吸熱と放熱を簡単に切り替えることができる。

 こうした特性を活かして、自動車用シートから半導体製造装置、通信、医療バイオ、民生品など、温度調整デバイスとして用途が拡大し続けている。通信では5Gインフラ向けで、バイオではDNA増幅用となどで期待が高まっている。

 

 

コア技術・製品を活用した自動車分野の攻略

 EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、ADAS(自動運転システム)など変化が目覚ましい自動車業界を攻略する3本の矢として、フェローテックではサーモモジュール、磁性流体、パワー半導体用DCB基板というコア技術・製品の提案を進めている。

 サーモモジュールでは、バッテリークーリング・ヒーティング、CMOSイメージセンサークーリングなど、温調用途で導入が期待される。

 磁性流体は、振動制御用新磁性流体「MCF(Magnetic Compound Fluid:磁気混合流体)」を使ったアクティブサスペンション、高精度直流センサなどでの適用が見込まれる。

 パワー半導体用DCB基板は、ヘッドランプやルームランプ、HEVモーター制御を行うボディーやパワートレイン向けに導入を見込む。

 フェローテックでは2018年1月に全社横断型の「オートモーティブプロジェクト」を組織。中国、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、アメリカ、ドイツとグローバルな組織編制とし、今後は人材育成など教育体制も強化しつつ、自動車分野の攻略を強力に進めていく。

コア技術・製品が幅広い車載部品に対応

■フェローテックの自動車関連事業をさらに知るには

 

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イグス、最長21mのケーブル・ホースを巻き取るスプリング式システムを開発

4年 9ヶ月 ago
イグス、最長21mのケーブル・ホースを巻き取るスプリング式システムを開発kat 2019年7月9日(火曜日) in

 イグスは、高価なスリップリングなしに、様々な用途環境で動力、媒体、光ファイバーケーブルなどをまとめてガイドできる省スペースなシステム「eスプール」を提供しているが、このほど、最長21mという長い距離で利用できる「スプリング式eスプール」を標準製品として開発した。

スプリング式eスプール

 開発されたコンパクトなスプリング式eスプールは、舞台技術や石油プラットフォーム、プロセスクレーンなど、地上の高所や地中深く狭い場所でもケーブルを確実に引き出すことができる。一般的なケーブルドラムに代わるソリューションで、以下の二つの特徴を持つ。

 eスプールは電力だけでなく、データや圧縮空気、液体等あらゆる媒体を一つにまとめて伝送できる。狭い場所で様々なケーブルを一つのシステムにまとめて途切れなく接続可能にするだけでなく、ケーブル交換や追加も随時可能としている。

 eスプールはまた、ケーブルの絡まりを防ぐため、二種類のシステムを一つにまとめているため、高価なスリップリングを不要としている。ガイドローラーを装備した標準型エナジーチェーンが、内蔵された巻戻しスプリングで長さや引張力を常に最適に調整し、ツイスターバンドが回転動作を確保。特殊構造により、あらゆる方向への動作が可能となっている。

 今回開発された新型eスプールは、スプリング式で最長14mの標準型eスプールと、オフショアやオペラハウスなどの大型プロジェクトで使われるモータドライブ式長距離型のeスプールパワーの中間で欠けていた領域をカバー。これまでよりも高い収納力を持つ大型のツイスターバンドが装備されているほか、今まで以上に高い積載量や引出し長さを実現するために安定感の高い閉鎖型のボディや巻き戻し防止のための強化型底面プレートも装備している。より強い力に対応できるよう、ばね力を調整するために最適化されたメカニズムも採用。新型eスプールでは、高負荷対応のばねを2個搭載したスプリング式の標準品と、特注品としてモータ駆動バージョンを用意している。

kat

ジェイテクトとトヨタオートモールクリエイト、ショッピングセンターでパワーアシストスーツの実証実験を開始

4年 9ヶ月 ago
ジェイテクトとトヨタオートモールクリエイト、ショッピングセンターでパワーアシストスーツの実証実験を開始kat 2019年7月9日(火曜日) in

 ジェイテクトは7月8日、トヨタオートモールクリエイトと共同で、トヨタオートモールクリエイトが運営するカラフルタウン岐阜で、パワーアシストスーツ「J-PAS LUMBUS®」の商業施設での導入を目指した実証実験を開始した。

®」" align="center" width="400" height="600" />パワーアシストスーツ「J-PAS LUMBUS®」

 8月5日までの実施期間で、カラフルタウン岐阜の自動車販売店、カー用品店、食品スーパー、書店、家具店などで、店舗スタッフの商品棚の積み下ろし、自動車部品などの交換作業などのパワーアシストスーツ適用による作業支援を通じて、使い勝手や機能性などの評価を行うとともに、商業施設導入に向けた諸課題の洗い出しを行う。

 カラフルタウン岐阜ではモビリティやロボティクス、AIやVRといった最新テクノロジーを活用した各種実証実験やイベントを継続的に展開する「カラタン未来Lab」を継続的に実施しており、今回の共同実証実験は、その第6弾として実施する。

 ショッピングセンターでは、棚卸や商品陳列などといった重量物を持ち上げる作業が日常的に発生し、カラフルタウン岐阜ではトヨタ・ダイハツ車の販売店やカー用品店が出店しており、タイヤの陳列や交換など、一般的なショッピングセンターよりも重量物を扱う作業が多い。

 このような負荷の大きい作業において、性別や体格差を問わず業務が行えるように作業負担を軽減することはショッピングセンターおよび出店テナントにとっては大きな課題だった。

 ジェイテクトでは2018年夏より工場や物流現場の作業支援を主な目的としたパワーアシストスーツ「J-PAS®」の販売を開始。2019年春には、多様なニーズに応える中出力タイプの「J-PAS LUMBUS®」の販売を開始。ショッピングセンターのバックヤードの作業支援においては「J-PAS LUMBUS®」が最適と考え、トヨタオートモールクリエイトと共同で実証実験を行うことになったもの。

 同社では各店舗での実証実験終了後にアンケートを実施。使い勝手や機能性などの評価や、ショッピングセンターで導入するにあたっての追加要望などを取りまとめ、今後の商品開発に反映するとともに、再度実証実験を行うなどの活動を進めていく予定だ。

kat

やわらかい物質”と計測・評価の技術情報誌「月刊Soft Matter」7月号「特集:ソフトマターの計測・評価技術」が7/5に発行

4年 9ヶ月 ago
やわらかい物質”と計測・評価の技術情報誌「月刊Soft Matter」7月号「特集:ソフトマターの計測・評価技術」が7/5に発行admin 2019年7月3日(水曜日) in

 “やわらかい物質”と計測・評価の技術情報誌「月刊Soft Matter」の第16号となる2019年7月号が7月5日に小社より発行される。

 今号の特集では、ソフトマターの計測・評価手法について概説するとともに、東京理科大学 トライボロジーセンターに設置されているソフトマター研究に適用できる計測・評価機器と適用分野、ソフトマターの研究対象である肌や化粧品の分光測色計と2次元色彩輝度計による定量的な計測・評価手法などについて紹介する。

ソフトマターの計測・評価技術

◇トライボロジーセンターに見るソフトマターの計測・評価機器・・・東京理科大学 トライボロジーセンター センター長 佐々木 信也 氏に聞く
◇分光測色計および2次元色彩輝度計による肌・化粧品の定量的評価・・・編集部
◇ソフトマターの計測・評価手法と評価事例・・・編集部

連載

Cover Story・・・小角X線散乱法を用いたソフトマター構造解析技術
ソフトマターの豆知識 第14回 アメとガム・・・山形大学 古川 英光

Newsトピックス

第68回高分子学会年次大会が開催
日本滑り軸受標準化協議会、第29回総会を開催
自動車技術会、人とくるまのテクノロジー展2019を開催
第4回[名古屋]機械要素技術展が開催

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やわらかい物質”と計測・評価の技術情報誌「月刊Soft Matter」6月号「特集:ビューティ・ヘルスケア分野におけるソフトマターの適用と評価」が6/5に発行

4年 10ヶ月 ago
やわらかい物質”と計測・評価の技術情報誌「月刊Soft Matter」6月号「特集:ビューティ・ヘルスケア分野におけるソフトマターの適用と評価」が6/5に発行admin 2019年6月6日(木曜日) in

 “やわらかい物質”と計測・評価の技術情報誌「月刊Soft Matter」の第15号となる2019年6月号が6月5日に小社より発行された。

 今号の特集では「ビューティ・ヘルスケア分野におけるソフトマターの適用と評価」として、従来は官能評価に頼っていたクレンジングオイルの使用感に関して心理計測と機械計測によるハイブリッド客観計測法の構築への取組みから、これまでマクロスケールの観察を中心に行われてきたシャンプーやボディーソープ、化粧品など泡沫について起泡力、安定性、排液などをとらえるためのパルス中性子飛行時間型中性子小角散乱による観察の提案、さらには、やはり官能検査など主幹評価に頼っているブラシやパフなど化粧用具に関して表面摩擦測定機を用いて計測した力学特性値と官能検査の関連などについて紹介する。

ビューティ・ヘルスケア分野におけるソフトマターの適用と評価

◇クレンジングの客観評価:心理計測と力学計測・・・ファンケル 渡部 敬二郎、横浜国立大学 中野 健
◇研究提案 パルス中性子飛行時間型中性子小角散乱による泡沫の観察・・・ 茨城大学 小泉 智
◇化粧用具の使用感評価技術の開発・・・京都市産業技術研究所 小田 明佳

連載

Cover Story・・・分光干渉法を用いた最新の計測技術とソフトマターへの適用
ソフトマターの豆知識 第13回 摩擦を低くするソフトマター・・・山形大学 古川 英光

Newsトピックス

高分子材料のトライボロジー研究会が開催
TTRFと大豊工業、自動車のトライボロジーで第4回国際シンポジウムを開催
不二WPC、食品関連分野の課題解決・環境負荷低減で新会社を設立

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イグス、静音・迅速収納のケーブル保護管の標準サイズをラインナップ

4年 10ヶ月 ago
イグス、静音・迅速収納のケーブル保護管の標準サイズをラインナップkat 2019年6月5日(水曜日) in

 イグスは、これまでマイクロサイズのみ利用可能だった静音で迅速な収納が可能なケーブル保護管「エナジーチェーンE2.1シリーズ」のラインアップに、新しく小型~中型の標準サイズを加える。

エナジーチェーンE2.1シリーズ標準サイズ

 より広い内部空間、簡単なケーブル収納と組付け、長寿命、2パーツ構成といった特徴を備えたE2.1シリーズは、15年以上にわたり採用されている既存の「エナジーチェーンE2/000シリーズ」の後継モデル。E2.1シリーズは、専用オープナーまたはドライバーを使って、わずか2秒/mで開くことができる。内周側または外周側(どちらか一方を選択)から開閉できるため、非常に素早くケーブルが収納でき、工作機械、木工機械、金属加工機械など産業機械全般での使用に適している。

 内高さは10mm、15mm、26mmに加えて、38mm、48mmも選択可能になる。ラインナップ追加により、2019年末頃までに850種を超えるエナジーチェーンあるいはエナジーチューブから、用途に最適なソリューションを選択できるようになる予定。

 新しいE2.1の設計上の特徴として、チェーンリンクのストップドッグが備える、丸みを帯びたブレーキが挙げられる。これによりエナジーチェーンの動きは非常に静かになり、振動とノイズの抑制を実現。画期的なブレーキ設計により、騒音は既存タイプに比べ最大10dB低減できる。E2.1シリーズの動作音は、広さ2,750㎡のイグス試験施設の防音室において速度2m/秒でテストされ、他社のケーブル保護管に比べて最大で15dB低減されていることが実証されている。

 E2.1シリーズの内部空間は、同じ外寸のE2/000シリーズと比べてスペースが広くなっている。ホースとケーブルの耐用年数を最大化するため、イグスはエナジーチェーンの内部設計に適したエッジの丸いスリムなセパレータも完備。内部仕切りの組込みは、スリム構造のセパレータを使うことによって前シリーズに比べ最大で50%迅速化するため、ハーネス処理も一段と迅速化できる。横置きサイド型向けには、カスタム仕様に適したノッチ付きセパレータも用意。ノッチ付きセパレータは、クロスバーのピッチの細いグリッドにかみ合い、確実に固定される。適合する耐屈曲性チェーンフレックスケーブルとコネクタを装備すれば、E2.1は世界中のあらゆる機械エンジニアにとってすぐに使える電力供給システムとなる。E2.1シリーズのほかに、同じ設計で密閉型の「エナジーチューブR2.1シリーズ」も利用できる。

 E2.1シリーズにはまた、QRコードも付いており、機械設計者はエナジーチェーンに直接プリントされたQRコードをスマートフォンやタブレット端末でスキャンするだけで、エナジーチェーンの製品情報や組立て説明、交換パーツに関する情報を入手できる。

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エボニック、高機能ポリアミド事業を再編

4年 11ヶ月 ago
エボニック、高機能ポリアミド事業を再編kat 2019年5月16日(木曜日) in

 エボニックは、自動車、オイル・ガス、3Dプリンティング、光学系アプリケーションなどの成長市場向けの高機能材料に注力し、新しいポリアミド12(PA12)製造施設の建設を開始すると同時に、マール・ケミカルパークでの透明ポリアミドの生産増強を進めているが、再編プロセスの一環として、エボニックは、ドイツのヴィッテンで製造しているポリフタルアミド(PPA)ビジネスから完全に撤退する。

 同社ハイパフォーマンスポリマーズ事業部の責任者であるラルフ・デュッセル氏は、「ポリアミド事業の再編により、軽量構造、3Dプリンティング、複合材料など成長が確実な市場における魅力的な用途のスペシャルティ マテリアルに生産・技術の強みを集中させていく。このことが継続的な成長のための確固たる基盤となるだろう。顧客の要求に応えるために、今回の再編によって高度なソリューションの開発へとより一層注力していく」と語っている。

 エボニックはドイツでの約4億ユーロの投資により、PA12に対する総合的な生産能力を50%以上増加させる。増設されるポリマーおよびその前駆体の製造設備は、ノルトライン=ヴェストファーレン州のマール・ケミカルパークに建設され、既存のポリアミド12製造プラントを補完する。この複合施設は2021年前半に稼動する予定。

 同社では同時に、マールにおける透明ポリアミドの生産も拡大する。この生産拡大は、2020年第1四半期に完了する予定で、これらの増強により、高機能材料の総合的な生産能力は倍増する。

 また、ポリアミド事業の再編成に伴い、2020年第1四半期末までにヴィッテンで製造しているPPAの製造・販売を中止する計画で、PPAプラントからマールに従業員を移し、新PA12工場にリソースを配分する予定。

 同社グラニュールズ&コンパウンズの責任者であるヨルダネス・サボポウロス氏は、「高機能ポリマーに焦点を当てたマーケティングにより、社内シナジーの活用として、経験豊かなヴィッテンの従業員にマールの新しいポリアミド12製造施設を職場として提供し、長年にわたるポリマーの重合とコンパウンドの経験を活かしていくことができる」と述べている。

 エボニックは現在、ヴィッテンで300人近くを雇用、約16ヘクタールの有機化合物生産用の複数の設備を運営している。塗料、コーティング、接着剤産業向け原料の主要生産拠点の一つとなっており、2018年にはヴィッテンにおいて特殊共重合ポリエステルの新しいプラントが稼働した。

 Terra(テラ)シリーズのバイオベースポリマーは、エボニックの事業ポートフォリオに留まり、再編された高機能ポリマー事業を補完する。

 エボニックは、高機能プラスチックの開発・製造に50年以上の経験を有しており、広範囲の製品ポートフォリオによって、あらゆる産業用途のためのソリューション提供を可能にしている。

マール・ケミカルパーク: エボニック、ポリアミド関連の高機能ポリマー事業再編

kat

フェローテック、ペルチェ素子・磁性流体の自動車分野での応用を加速

4年 11ヶ月 ago
フェローテック、ペルチェ素子・磁性流体の自動車分野での応用を加速kat 2019年5月16日(木曜日) in

 フェローテックホールディングス( http://www.ferrotec.co.jp/ )傘下のフェローテック( http://www.ferrotec.jp/ )は2018年1月に「オートモーティブプロジェクト」を立ち上げた。すでに自動車用温度調節シート向けで多くの採用実績を持つ「サーモモジュール(ペルチェ素子)」、さらには同社創業の技術であり、車載スピーカーで実績のある「磁性流体」などを中心に、自動車市場の攻略に取り組んでいる。オートモーティブプロジェクトでは、グローバルでの自動車分野でのニーズを収集、燃費向上につながる自動車の軽量化や、電動化、自動運転化などに取り組む自動車業界に対し、サーモモジュールや磁性流体の新しい適用を提案している。

 ここでは、同社TE営業部長 八田 貴幸氏、FF営業部 部長 廣田 泰丈 氏、オートモーティブプロジェクト 課長 二ノ瀬 悟 氏に、本年1月16日~18日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「第11回オートモーティブワールド」で披露した、ペルチェ素子および磁性流体の自動車分野での応用技術を中心に、同社の自動車分野での取組みについて話を聞いた。

左から廣田 氏、二ノ瀬 氏、八田 氏

自動車分野でのペルチェ素子の適用とメリット

 ペルチェ素子(サーモモジュール)は、対象物を温めたり冷やしたりする半導体冷熱素子のことで、N型とP型という異なる性質を持った半導体素子を組み合わせたモジュールに、直流の電気を流すと熱が移動し、一方の面が吸熱(冷却)し、反対の面が放熱(加熱)するというペルチェ効果を応用したもの。電源の極性を逆にすると、吸熱と放熱を簡単に切り替えることができる。

 ペルチェ素子のこうした特性を活かし自動車分野では温調シートで多数の実績を持つが、今回の展示会では温調シート以外の適用を拡大すべく、以下のような提案と適用によるメリットを打ち出した。

ペルチェ素子の新提案とメリットについて語る八田 氏

◆車載用カップホルダー
 フェローテックのペルチェ素子を用いた車載用カップホルダーはすでに、同社のペルチェ素子を利用した自動車用温度調節シートを自動車OEMに納入している業者を通じて、海外の自動車OEMで採用実績がある。

 ドリンクを冷えたままに、あるいは温かいままに保つカップホルダーを車載する車両では、HVACユニット (Heating Ventilation Air Conditioning unit:暖房・換気・空調ユニット)が採用されるケースが多い。つまりエアコンの風を利用して冷却・加熱がなされているのだが、この方式は冷却・加熱効率が悪く、また電力消費もばかにならない。これに対してペルチェ素子は小型・軽量・省電力のシステムで、カップホルダーへの加熱・冷却の切り替えはモード切り替えスイッチによって直流電流の極性を反転するだけで行え、冷却・加熱機能を0.1℃単位で設定することができる。

 このペルチェ素子を利用した省電力で積極的に温度制御が可能なカップホルダーに対し、国内の自動車OEMも関心を示していることから、同社ではプロトタイプを製作・提出し、OEMで評価してもらう予定だ。まずはHVAC方式を採用している車両を対象に、ペルチェ式カップホルダーの採用を促していく考えだ。

ペルチェ式カップホルダー

◆バッテリーの温度コントロール
 電気自動車(EV)のバッテリーとなるリチウムイオン電池は温度にセンシティブで、高温の場合、常温に比べ内部抵抗が上がり劣化が促進しやすく、低温の場合パフォーマンスが低下して、航続距離に影響を及ぼす。例えば急速充電を繰り返すとバッテリーの過熱劣化が起こり、それを防ぐフェールセーフ機能によって充電速度を低下させる制御が入る。それを防ぐにはバッテリーの発熱をコントロールする必要があるが、ラジエーターを用いた水冷などの自然冷却では細やかな温度制御ができない。

 これに対しペルチェ素子は微妙な温度制御が可能で、バッテリーを最適な温度に保つことが可能なため充分な充電が可能になる。さらにEVでは重量の増加も電力消費の増大、航続距離の低下につながることから、軽量の温調システムとしてもペルチェ素子が貢献できると見ている。

◆キャビンの温度コントロール
 これまでの抵抗式ヒーターはジュール効果によって発生する熱エネルギー(ジュール熱)を利用したもので、発熱効率(COP)が80~90%程度にとどまっている。

 これに対しペルチェ素子ヒートポンプによる熱移動を利用したヒーターでは、放熱される熱量がジュール熱と、大気の熱量(環境温度が0℃以下の場合でも大気から熱を吸収)との総和となるため、COP100%超を実現できる。つまり、抵抗式ヒーターに比べて小さな電気で大きな加熱ができ、EV用バッテリーの電力消費を大きく削減でき、EVの航続距離延長に寄与することが可能となる。

 ペルチェ素子を用いた自動車車室内の暖房および冷房(キャビンヒーターおよびキャビンクーラー)は軽量・コンパクトで済むため、冷暖房のない超小型EVなどで快適な車室空間を実現できるとして、OEMでの検討が進んでいる。

バッテリーおよびキャビンの温度コントロールのモックアップ

◆ADAS向けCMOSイメージセンサ用クーラー
 先進運転支援システム(ADAS)では、全周囲の距離や画像認識を行い、死角を少なくして安全性を確保するために、1台当たり20個程度のカメラが搭載されると予測され、その機能を担うCMOSイメージセンサ (相補性金属酸化膜半導体を用いた固体撮像素子)の市場拡大が見込まれている。

 このセンサは熱に敏感で、熱によって引き起こされるダークショットノイズ(暗電流)は、発熱量とともに増大して画像の精細さを欠く結果となる。これに対して車載カメラのCMOSイメージセンサに冷却用ペルチェ素子を装着することで高精細な画像を得ることを可能にしている。OEMでの具体的な検討が始まってきている。

CMOSイメージセンサ用クーラー

自動車での磁性流体の適用とメリット

 磁性流体は、流体でありながら外部磁場によって磁性を帯び、磁石に吸い寄せられる機能性材料で、磁性微粒子、界面活性剤、キャリアとなるベース液(潤滑油)からなる。直径約10nmの極小の酸化鉄粒子が、凝集を防ぐ界面活性剤で被膜され、安定的に分散したコロイド状の液体となっている。

 自動車分野ではすでに磁性流体の放熱効果やダンピング効果などによる高音質化や小型化などからスピーカーに採用されているが、今回の展示会でフェローテックは、以下のような新提案を行った。

磁性流体の新提案と現状について語る廣田 氏

◆振動制御用磁性流体
 欧米においては、足回りの振動を抑制する「アクティブダンパー」に磁気粘性流体(MRF)が採用された実績があるが、粒子が均一に分散せずに沈殿してしまう、磁気応答性が良くないといった課題がある。これに対し同社では、磁気応答性や印加磁場によるせん断力(粘性)変化、分散性、潤滑・摩耗特性などで優位性のある「MCF(Magnetic Compound Fluid:磁気混合流体)」を開発し、アクティブダンパーへの応用を提案している。

 新開発のMCFは、磁性流体よりも大きい磁性粒子を主成分とすることで、印加磁場によって磁性粒子の配列を制御し、アクティブダンパーや様々な振動吸収に適用できる。市場にあるMRFはおしなべて粒子が均一に分散せず沈殿してしまう。これに対し、新開発のMCFは分散性が良好で1ヵ月以上経過しても沈殿することがない。

 自動車には足回りの振動やエンジン回りの振動のほか、あらゆる振動系が組み込まれている。たとえば車室内における振動・騒音などを解消できれば、ドライバーの快適性を実現できる。同社ではMCFの優れた分散性と耐摩耗性能で差別化を図り、採用を促していく考えだ。

MCFを封入したアクティブダンパーのデモ機

MCFの優位性の例:良好な分散性

◆磁性流体コンポジット材料
 直径約10nmの磁性流体をベースとして、高い周波数領域でも磁気応答性が優れ磁気ヒステリシスが極めてゼロに近い磁性コア材料「Hzero®コンポジット」は、各種樹脂材料に磁性流体を均一に分散させて練り込むことで、ゴムやゲル、スポンジ材料、接着剤のような液体といった形で提供できる。たとえばゴム状にしたものでは静音性を高めるのに効果があると見られる。新開発のMCFを分散させたHzero®コンポジットであれば、制振ダンパーとしても利用できる。自動車部品メーカーや先進開発のOEMなどが興味を示している。

◆感温性磁性流体を用いた熱輸送システム
 EVではバッテリーなど発熱を伴う機器の冷却が重要だが、ループ循環系の熱輸送システムを構築するには一般的に流体を循環させるためのポンプなど機械的駆動力が必要となり、バッテリーを消費させることになる。

 これに対しフェローテックでは、温度に反応して磁化が大きく変化する「感温性磁性流体」を用いたループ状の流路を持つ熱輸送システムを提案している。感温性磁性流体を用いた熱輸送システムでは、流路の高温側と低温側の間に磁石を設置。ペルチェ素子で加熱された磁性流体は温度上昇に伴い磁化の大きさが減少し磁石にあまり反応しないが、低温側の磁性流体では磁化の大きさが上昇し、磁石に強く引き寄せられる。これによって低温側から高温側へと、感温度磁性流体の流れ(駆動力)が発生し、この流れにより熱を輸送できる。

 つまり、機械的な動力なしに流体の自己循環が可能となる。採用には時間がかかると見込まれるが、自動車メーカーに訴求して部品メーカーでの適用を促していく考えだ。

感温性磁性流体を用いた熱輸送システムのデモ機

今後の展開

 フェローテックでは、上述したような技術の市場参入の難易度などを勘案して、短期(1~4年)、中期(2~6年)、長期(4~8年)の計画をもって提案を進めていく。

オートモーティブプロジェクトの短期~長期計画について語る二ノ瀬氏

 いずれも自動車分野で近い将来問題となる諸課題へのソリューションだと考えられるが、早い時期に提供が可能な技術から、時間をかけて実用的なものに仕上げていく必要がある技術までを、それぞれ時系列でプロットしている。

 短期的には実績のあるシートの温調としてのペルチェ素子やスピーカー向け磁性流体のビジネスを拡大するとともに、海外で実績のあるカップホルダーや、CMOSイメージセンサ用クーラーなど、技術としてイメージがしやすく検討が始まっている案件に向けて、ペルチェ素子をいかに作るかを考えていく。

 中期的には、超常磁性を有する固体材料Hzero®を磁性コアとした「高精度直流測定センサ」やヘッドアップディスプレイ(HUD)向けペルチェ素子などを、長期的にはキャビンやバッテリーの温調向けのペルチェ素子や、MCFを用いたダンパー、感温性磁性流体を用いた熱輸送システムなどを、その時々のユーザーニーズをとらえながら技術をブラッシュアップして、実用化していく意向だ。

 自動車分野では前述の技術課題のほか量産キャパシティーやコストなどへの対応が求められるが、フェローテックではペルチェ素子および磁性流体のNo.1サプライヤーとして量産やコストへの対応が可能と自負する。同社では今後の需要に対応できる体制を強化しつつ、一点集中ではなく、全方位にリソースを最適配分しつつ、各種技術課題を解決するための最適なソリューションを提供していく考えだ。

■フェローテックの製品をさらに知るには
http://www.ferrotec.jp/

■フェローテックホールディングスをさらに知るには
http://www.ferrotec.co.jp/

kat

協和界面科学、接触角や表面・界面張力など受託測定サービスを開始

4年 11ヶ月 ago
協和界面科学、接触角や表面・界面張力など受託測定サービスを開始コダマ 2019年5月9日(木曜日) in

 協和界面科学( https://www.face-kyowa.co.jp/ )は、自社が製造・販売する測定機器を用いて接触角、表面・界面張力、摩擦・摩耗解析、粘着・皮膜はく離解析、ゼータ電位、防曇性評価などの受託測定サービスを開始した。クレームの原因調査や測定データの提示を求められたりした場合など、一時的に各種測定結果の必要性が生じたケースに対応する。

 受託測定サービスは、同社の専任測定員が測定から報告まで対応。素材評価のための判定指標となる信頼性の高いデータを提供する。主な測定項目は以下のとおり。
・静的/動的/接触角(ぬれ性、撥液性、洗浄評価、表面自由エネルギー解析など)
・静的/動的表面・界面張力(浸透性、乳化性、溶けやすさ、ぬれやすさ、泡立ちなど)
・ラメラ長(泡沫安定性、塗膜のピックアップ性、液切れ性、ワキ性評価など)
・粉体ぬれ(粉体のぬれ性、粉体の表面処理・表面粗さによるぬれ性、粉体浸透速度による湿潤性評価など)
・静/動摩擦 摩耗解析(摩擦摩耗、潤滑性、ベタつき、滑り性など)
・引張試験(粘着、角度依存、軽はく離、高速はく離など)
・ゼータ電位(粒度分布,分散安定,凝集,沈降性など)
・防曇性評価(くもり度合,透け具合,結露など)

  また、受託測定サービスの詳細はこちらから確認できる。

 

コダマ

ジェイテクトと産総研、 スマートファクトリー連携研究ラボを設立

5年 ago
ジェイテクトと産総研、 スマートファクトリー連携研究ラボを設立kat 2019年4月25日(木曜日) in

 ジェイテクトは、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、2019 年 6 月に、産総研 つくばセンター 東事業所(茨城県つくば市)内に冠ラボ「ジェイテクト-産総研 スマートファクトリー連携研究ラボ」を設立する。

須藤誠一 ジェイテクト会長(写真左)と中鉢良治 産総研理事長(右)

 産総研では、企業のニーズにより特化した研究開発を実施する目的でそのパートナー企業の名前を冠した連携研究ラボ(冠ラボ)を産総研内に設置する取組みを進めている。今回のジェイテクトの冠ラボは12番目となる。ジェイテクトからは研究者・研究資金を、産総研は研究者・研究設備・知的財産などの研究資源を提供し、ジェイテクトからの出向研究者10名程度と産総研からの研究者10名程度が、共同で研究開発に取り組む。

 研究テーマは「加工機 ・生産 ラインのスマート化 (知能化 、自律化 )およびその要素技術の研究開発」とし、サイバー・フィジカル・システム(CPS)による加工機の自律化技術の研究開発、生産ラインの自律的最適化を可能とするサイバー・フィジカル・プロダクション・システム(CPPS)の研究開発、さらに関連要素技術の融合により、次世代スマートファクトリーの実現を目指す。

 連携研究ラボ長はジェイテクト 研究開発本部 加工技術研究部の岩井英樹氏が、連携研究副ラボ長は産総研 製造技術研究部門の芦田 極氏が務める。

 地球環境への配慮、少子高齢化に伴う労働人口の減少など工場を取り巻く環境が変化する中で、もののインターネット化(IoT)やAI などの革新技術を利用した工場機器の知能化・自律化やビッグデータを高度に活用した効率的なスマートファクトリーの実現が求められている。

 こうした中、ジェイテクトの保有する生産技術ノウハウやユーザーへのIoE 技術の提供実績に基づく豊富なデータ、ノウハウに、産総研の高度なセンシング/データ・アナリティクス、モデルベース設計に関わる製造研究技術を融合することにより、知能化・自律化や高度なシステムインテグレーションの技術開発を加速し、先進的なスマートファクトリー・ソリューションの早期実現を図る。

 両者では今後、「加工機・生産ラインのスマート化(知能化、自律化)およびその要素技術の研究開発」を実施し、3~5 年後に実用化する予定。

 IoTによって実空間(フィジカル空間)上にあるものの情報が、コンピューター上(サイバー空間)に蓄積できるようになる。蓄積された情報をサイバー空間上で処理し、その結果をフィジカル空間上の問題解決や価値創出に利用しようとする概念およびその実装をサイバー・フィジカル・システム(CPS)という。両者では3年程度で、CPS による加工状態の見える化と加工条件の自律最適化を実現する工作機械の開発にめどをつける。

 さらに5年をめどに、CPS を備えた各工程をつなぎ、問題の可視化、分析、フィードバックを繰り返すことで不良と異常を削減するCPPS (CPSによる問題解決や価値創出を、工場での製造工程に適用する仕組み)の構築を目指す。

加工機のCPS とCPPS 生産ライン(イメージ)


加工機のCPS とCPPS 生産ライン(イメージ)

 須藤誠一 ジェイテクト会長は、「すでに当社では、オープンイノベーションで国内外の大学や研究機関の知見を活用しているが、数年前から中鉢良治 産総研理事長と話を進め、ステアリングや工作機械、軸受・駆動部品で培ってきた加工技術や生産技術を有する当社と、センシングやデータ・アナリティクス、モデルベース設計など高度な製造技術を保有する産総研が連携し、将来を見据えた先進的な生産ライン・加工システム、関連要素技術の共同研究開発に取り組むことを決めた。加工機・生産ラインの知能化、自律化を進め、さらに前工程、後工程を含めて連携させながら、次世代スマートファクトリーへと進化させていくためのCPS、CPPSの技術をともに開発していきたい」と語った。

kat

ジェイテクト、ステアリング事業でソフトウェア開発の体制を強化

5年 ago
ジェイテクト、ステアリング事業でソフトウェア開発の体制を強化kat 2019年4月21日(日曜日) in

 ジェイテクトは、自動運転対応などに向けた電動パワーステアリング(EPS)の電子関連部品の開発強化を目的に、本年4月に組織を改正した。新規性のある開発アイテムの増加などにより、ソフトウェア開発の一層の増員を計画している。

 同社のこれまでの自動車部品のソフトウェア開発拠点である花園事業場 技術開発センター(愛知県岡崎市)に加え、東刈谷事業場(愛知県刈谷市)でのソフトウェア開発の開始を本年夏から予定している。

 自動運転化対応、ステアバイワイヤなどの新規システムに対応するため、機能安全設計、冗長設計、サイバーセキュリティ対応など、EPSの技術ニーズはより高度化し、ユーザーにそのニーズは多様化してきている。

 これを受けてジェイテクトでは本年4月、EPSのソフトウェア開発組織の見直しを行い、モデルベース開発、AUTOSAR対応などに基づくEPS固有の組み込みソフトウェアを開発する新規部署を増設した。ソフトウェアのシステム要求から単体設計・評価、システム評価に至るまでのV字プロセスを一気通貫で集約して開発を実施する。

 また2019年度以降100名規模の増員を計画しており、開発拠点の拡張が必要となり、花園事業場に加え、本年夏からは東刈谷事業場を新たなソフトウェア開発拠点とすることを計画している。

 今回の拠点拡張により、自動運転対応技術開発、MCU内製化などを進め、一層の商品力強化を推進していく。加えて各職場の働く環境の改善を進め、社員のモチベーション向上と生産性を高め、創造性を高める職場づくりと働き方改革を推進していく。

 EPSのソフトウェア開発の人員は、2019年以降100名規模の増員を予定しており、花園事業場、東刈谷事業場、グループ会社のジェイテクトIT開発センター秋田、それぞれの拠点でユーザーのニーズに応えるソフトウェア開発を行っていく。

 また、欧州、中国、インドなどの海外の開発拠点のグローバルマネージメントや新会社J-QuAD DYINAMICSとの連携により、自動運転社会に対応するステアリングシステムを開発していく。

kat

やわらか3D共創コンソーシアム、1周年記念シンポジウムを開催

5年 ago
やわらか3D共創コンソーシアム、1周年記念シンポジウムを開催コダマ 2019年4月12日(金曜日) in

 やわらか3D共創コンソーシアム(会長:古川英光 山形大学教授)は4月5日、東京都港区のキャンパス・イノベーションセンター東京で、同コンソーシアム設立1周年を記念してシンポジウムを開催した。

 冒頭、ビデオレターで開会挨拶を行った山形大学 小山清人学長は「この1年で古川教授のアイディアに対して大変多くの企業が賛同し、参画していただいている。多くの企業が3Dプリンターのプロジェクトに興味を持っていただいていることは、山形大学にとっても非常にありがたいことだと思っている。山形大学としても3Dプリンター関連の研究を支援してく所存である。また、国からも評価されておりJST(科学技術振興機構)などを通して支援していただいている。さらに、一般の方々にも関心が高い。コンソーシアムがより良い成果を上げて一般の社会に実装していただけるように希望している。また、世界に抜きん出た研究成果を期待している」と述べた。
ビデオレターで挨拶をする小山氏

 続いて、来賓挨拶として日立製作所 研究開発グループ 技師長の佐々木直哉氏(元SIP革新的設計生産技術担当 プログラムディレクター)が「2014年に内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)が開始して、その1テーマとして古川先生のデザイナブルゲルが採択され、様々な成果を出してきた。SIPは従来の国のプロジェクトと違い、実用化・事業化が求められる。厳しい審査の中、最終的には12テーマが採択され、3Dゲルプリンターという代表的な成果として上がってきた。SIPの特徴は国プロの枠を超えて様々な企業と交流・連携をしていくことにある。これから国のプロジェクトのやり方も変わっていくと思っているが、基本的にはプロトタイピングを色々な方に使っていただいて成果を出していくのが大事なのではないかと考えている。その代表的な例として、やわらか3D共創コンソーシアムが始まったと理解していただきたい。コンソーシアムが基本的な技術のつながりだけでなく、ものづくりや製品につながるような活動を期待している」と来賓挨拶を述べた後、以下のとおり講演が行われた。
来賓挨拶をする佐々木氏

・「やわらか3Dで目指すシンギュラリティ」古川英光氏(山形大学 教授)…同コンソーシアムの設立からこれまでを振り返り、マジョット・ヘディ氏のデザインによるロゴマーク策定の経緯や昨年4月に開催されたキックオフシンポジウムについて、古川氏の発案で7月5日~6日に山形で行われた「第1回合同部会~15年後の3Dプリンティングビジネスを共創しよう~」と題したワークショップについて紹介した。また、造形したものから動く物体をつくるという概念の4Dをロボットやセンサーに活用する流れにあることを受けて、2018年8月に米沢で開催した「第1回4Dマテリアル&システム国際会議(4DMS)」で同コンソーシアムのメンバーが発表したことを報告、3Dや4Dといった概念の学術研究が盛り上がりを見せていると解説した。さらに、同コンソーシアムの取組みとして昨年11月に行われた「やわらかものづくり研究会」を紹介、インダストリー4.0の変遷や3Dチョコレートのつくり方、3D技術による歯科医療の変化などについての発表があったことを報告した。今後のコンソーシアムの活動としては、「食品、医療、ゲル、モビリティ、ロボットの五つの部会活動の中に、自身が所属する山形大学 ソフト&ウェットマター工学研究室が取り組んでいる様々なプロジェクトを連携させてオープンイノベーションを進めていきたい」と展望を語った。
講演をする古川氏

・「青の錬金術師」塚本雅裕氏(大阪大学 教授)…ジェットエンジンのタービンブレードや切削工具、鉄鋼ロールなどの金属製品に対して耐摩耗、耐食・防錆、耐衝撃、硬度向上などの表面特性を付与する技術として、高品質・高機能・高密度および低熱影響で実現するレーザーコーティング技術について紹介した。同技術は、ヘッド中心から原料粉末を噴射し、そこに複数のレーザー光を照射することで溶融凝固して皮膜を形成するプロセス。講演では、中心から噴射する原料紛体を複数のレーザー光で加熱し、被膜を加工することで溶融池を作らずに被膜をつくることができると解説。溶融池を作らないため、母材への熱影響が少なく皮膜の希釈率も低くすることができ、皮膜が薄く高品質な膜を形成することができるという。このプロセスで使用するマルチレーザーの加工ヘッドをヤマザキマザックの工作機械に提供し、2016年に製品化されたという。また、中小企業向けに小型の加工装置を開発し、ドリル刃先やギヤなどの微細部分の補修を高精度に行えることなどを紹介した。
講演をする塚本氏

 講演終了後は古川氏をファシリテーターとして、佐々木氏、塚本氏、田中浩也氏(慶應義塾大学区SFC 研究所 所長/環境情報学部 教授)、榊 良祐氏(dentsu/OPENMEALS founder)、中谷光男氏(MAKErs SENSE 代表)、川上 勝氏(山形大学大学院理工学研究科 機械システム工学専攻 プロジェクト准教授)をパネリストに「やわらか3Dで〝もの〟シンギュラリティを起こすには」をテーマにパネルディスカッションが開催された。
パネルディスカッションのもよう
参加者一同

コダマ

第1回ソフトロボット創世シンポジウムが開催

5年 1ヶ月 ago
第1回ソフトロボット創世シンポジウムが開催kat 2019年3月20日(水曜日) in

 「第1回ソフトロボット創世シンポジウム」が3月20日、東京都千代田区のTKPガーデンシティPREMIUM神保町で開催された。同シンポジウムは、科研費新学術領域「ソフトロボット学」と山形大学OPERA「ソフトマターロボティクスコンソーシアム」の合同企画によるもの。

開催のもよう

 当日はまず、開会の挨拶に立った山形大学OPERA領域統括代理の高橋辰宏氏が「ソフトマターロボティクスコンソーシアムの活動とロボット学の活動とは、オーバーラップする部分としない部分があり、相補的な関係にあると思う。本日参加された各位のアイデア・ひらめきも反映しつつ新しい概念・新しい領域をつくっていければと思う」と述べた。

高橋辰宏氏

 続いて、来賓挨拶に立った科学技術振興機構(JST)調査役の伊藤哲也氏が「ソフトマターロボティクスコンソーシアムのこれまでの研究成果を今後活動が本格化するソフトロボット学の先生方に活用いただくとともに、前者もまた後者の研究成果を活用するといった、双方の良い相乗効果に期待したい」と語った。

伊藤哲也氏

 その後、以下のとおり講演がなされた。

・基調講演「ソフトロボット学がめざすもの」鈴森康一氏(東京工業大学)…生体システムのもつ「やわらかさ」に注目して生体システムの価値観に基づいた自律する人工物を創造する新学術領域「ソフトロボット学」の概要について説明。「いい加減」を許容・活用し、「好い加減(E-kagen)」に仕事を行えるE-kagen科学技術という新しい価値観を体現するソフトロボット学について、自身の研究事例をまじえて紹介。今後、学術展開としてはソフト人工物学会の創成やE-kagen科学技術の確立・発展などを目指し、社会展開としては赤子をやさしく抱擁するロボットといった介護・人間共存、さらには人にぶつかっても車のボディーが変形して人を包み込んで怪我させることがないといったソフト人工物の開発につなげたいとの構想を掲げた。

鈴森康一氏

・研究発表①「やわらかいロボット」新山龍馬氏(東京大学)…やわらかさと硬さを持たせた筋骨格ロボットや昆虫規範ロボットといった研究から、生物に迫り生物を超える新学術領域「ロボット学」への取組み、高分子フィルムで創るパウチモータなど印刷できるロボットの研究などを紹介した。

・研究発表②「Physical reservoir computing for soft machines」中嶋浩平氏(東京大学)…制御系なしに複雑なダイナミクスを設計・操作できるReservoir Computingについて説明。非線形、メモリーが利点となるReservoir Computingのソフトロボティクスへの活用研究について紹介した。

・研究発表③「超柔軟素材を用いた分岐・伸展トーラス機構を基軸とするロボット駆動体の設計と具現化」多田隈建二郎氏(東北大学)…ロボットが3Dゲルプリンターにより形状記憶機能を持つ構造を自由に成形するコア技術に基づき、自由位置で自由な方向に分岐・分裂が可能な膨張式の枝分かれロボット機構を実装するための設計論・具現化手法の確立を目指す取組みを紹介した。

・研究発表④「ソフトマターロボティクスと社会実装」古川英光氏(山形大学)…ソフト機能材料・デバイス、ソフトセンシング、ソフトメカニクス、ソフト蓄電デバイスという基盤技術の構築によってロボット分野で人・モノ・情報・人工知能を優しくつなぐ新領域ソフトマターロボティクスの取組みについて紹介。ゲルという最先端材料を誰でも希望する形に短時間でつくれる3Dゲルプリンターを用いたクラゲロボットの開発など、自身の研究を紹介。今後の社会実装の例としては例えば、深海のクラゲをくわえ込んで捕らえる生物模倣ドローンの開発などを目指したいとした。

・研究発表⑤「ソフトセンシング技術とソフトロボティクスへの応用」時任静士氏(山形大学)…垂直圧力やせん断応力、温度などを検出できるマルチセンサを組み込んだPDMS製ソフトハンドを作製。把持力1Nでは検出されたスティックスリップによるすべりが、同3Nでは検出されなくなることなどを示した。そのほか、全方向インクジェット(OIJ)法を用いたソフトマター(PDMS)表面への歪みセンサ形成の話題などを紹介した。

 その後、古川英光氏がモデレーターを務め、鈴森康一氏、新山龍馬氏、中嶋浩平氏、多田隈建二郎氏、時任静士氏、山口昌樹氏(山形大学)、重田雄基氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)をパネリストにパネルディスカッションが行われた。

 パネルディスカッションの途中には、重田氏の「ソフトマターロボティクス関連市場」と題するショートプレゼンテーションがなされ、市場として物流用途が有望視されていること、人と融和するソフトマターロボティクスの市場も期待されていること、性能がアップデート可能なソフトマターロボティクスを考える際の、デジタル上で把握しうるソフトマターの耐久性など、ハードウェアとしてのビジネスモデルを念頭に置いて議論を進める必要があることなどが紹介。

 やわらかいロボットの価値・差別化を一般の人にも示せるようなキーワードについて、議論がなされた。やわらかさゆえの当たっても痛くないといった「安全性」(ただし出力を上げると弾性エネルギーがある分かえって危険)、「人・生き物とのインターフェース」、接触してなじませることのできる「自由度の多さ」、「人に備わっていない機能を付加できる可能性」、外観・デザインの自由度の「やわらかい和ませるイメージを付与できる可能性」など、多様な意見が出された。

 パネルディスカッションの総括として、ソフトロボット学を代表して鈴森氏が「ロボットはインテグレーションであり、特に新しい機能性材料を欲している。材料技術とともに、世界トップの研究を目指したい」と述べ、ソフトマターロボティクスコンソーシアムを代表して時任氏が「材料が表舞台に出る時代が来たらうれしい。日本の材料メーカーは新材料開発の点で優秀でフレキシビリティを有しているので、要求が提示されればそれに応える材料を作る能力は充分ある」と述べた。

 また、閉会の挨拶に立った古川英光氏は、「ソフトマターロボティクスコンソーシアムはあと2年で終了するが、5年間活動を継続する新学術領域「ソフトロボット学」へとバトンタッチでき、ソフトロボットの材料を供給して使ってもらえる、いい流れができている。本シンポジウムが新しいソフトロボットによる創世につながることを期待したい」と語った。さらに、第2回ソフトロボット創世シンポジウムが9月12日(木)に山形大学工学部(山形県米沢市)で開催される予定であることがアナウンスされた

古川英光氏

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ジェイテクトの歯車式LSDがルノーのメガーヌ R.S. カップに搭載

5年 1ヶ月 ago
ジェイテクトの歯車式LSDがルノーのメガーヌ R.S. カップに搭載kat 2019年3月1日(金曜日) in

 ジェイテクトが生産する歯車式LSD(リミテッドスリップデフ)TORSEN(トルセン) Type-Bの新設計品が、本年3月22日に発売予定のルノー「メガーヌ R.S. カップ」に搭載される。同駆動製品技術によって車両の旋回性と安全性の向上につながることが評価されたもの。

製品イメージ

搭載車両「メガーヌ R.S. カップ」

 トルセンとは、自動車の旋回時に左右輪もしくは前後輪のトルクを最適配分する駆動装置LSDの一種で、ヘリカルギヤを用いて差動制限を行うLSDとして高いトルク配分性能と高耐久性を誇る、ジェイテクトの独自製品の一つ。

 現在では主に四輪駆動車に搭載され、前後輪のトルク配分を行うTORSEN Type-Cとスポーツタイプの後輪駆動車をはじめ前輪駆動車にも搭載され主に左右輪のトルク配分を行うTORSEN Type-Bを、日本、ベルギー、アメリカで生産している。

 従前のTORSEN Type-Bにはサイドギヤを分割し、結合部にヘリカルスプラインを採用して左右輪のトルク配分比を高め、トラクション性や走行時のフィーリングを向上する高性能な仕様の製品があるが、今回、「メガーヌ R.S. カップ」に搭載が決まった新設計品は、さらにヘリカルスプラインをワンウェイ構造とすることで、アクセルオンの時は差動制御が大きく機能しトルク配分比を大きく高める一方で、アクセルオフでは差動制御の効きを抑えることを実現、搭載車両の特徴に則した最適なトルク配分とドライバビリティの向上を実現した。

製品の構造

 日本と欧州と共同で設計し、ベルギーの生産拠点(JTEKT TORSEN EUROPE)で生産する。

 新設計品の特長は以下のとおり。

・ヘリカルギヤを使い低いトルク分配性能にも対応出来るトルセンLSD

・オープンデフにはできない瞬時に路面に応じたトルク分配が可能

・トルセン本来の応答性の良さを生かしながら、フロントデフからリヤデフまで幅広く適応可能な性能を持ち、様々な用途に対応するマルチパーパスモデル

kat
Checked
42 分 59 秒 ago
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