メインコンテンツに移動

Aggregator

エボニック、グリーン水素経済実現に向けアニオン交換膜の製造工場を建設、パイロットプラントは2025年末に稼働予定

4ヶ月 4週 ago
エボニック、グリーン水素経済実現に向けアニオン交換膜の製造工場を建設、パイロットプラントは2025年末に稼働予定kat 2025年03日04日(火) in

 エボニック インダストリーズ(エボニック)は、ドイツ・マールに、革新的で高性能なアニオン交換膜(AEM)を製造するパイロットプラントを建設している。エボニックが開発したこの膜はDURAION®という製品名で販売される予定。

 AEM水電解の心臓部となるDURAION®膜を使うことで、ユーザーはコスト競争力のあるグリーン水素の生産が可能になる。エボニックは、このAEM製造工場に数千万ユーロを投資しており、2025年末に稼働開始を予定している。

 エボニックのハイパフォーマンスポリマーズ事業部でメンブレン・ファイバー プロダクトラインの責任者を務めるゲッツ・バウムガルテン氏は、「この戦略的投資は、当社の先駆的な膜を、急成長する グリーン水素経済を実現させる推進力としてさらに成長させるという事業目標に沿ったものとなる」と述べている。

 マールのAEM工場で製造されるDURAION®膜の品質は、商業用電解装置システムでの使用に適していて、本工場の本格稼動が開始すれば水素製造に必要な2.5GWの電解能力を供給するのに十分な量の膜を毎年製造できるようになる。さらに、この工場では強化膜の製造も行い、この新技術に対するユーザーの関心の高まりに直接対応することが可能となる。

 AEM技術は、従来の電解プロセスと比較して安価な材料をセルに使用するため、投資コストの削減につながるほか、高い電流密度や非常に優れた効率も実現することができる。

 エボニックの戦略的研究部門およびビジネス・インキュベーターであるクレアビス(Creavis)の新成長分野水素経済担当責任者のクリスチャン・デシュライン氏は、「当社の幅広い専門知識と技術を結集させたことで、DURAION®という膜の開発に成功したと考えている」と述べている。この膜はポリマーでできたハイテク製品で、アニオンを透過させなければならない一方、水素など電気分解で発生するガスに対しては不透過性を持つことが求められまるほか、高圧や高温への耐性も必要となることに対し、同氏はまた、「ポリマーの設計や合成、エンジニアリング、膜の製造、ユーザーや市場からのフィードバックなど、さまざまな専門分野を上手く組み合わせることができた」と語る。

 エボニックはこの12カ月間、DURAION®膜に使われる中間製品の製造能力を着実に増強してきた。マールでの工場建設は、この製造能力の増強を踏まえたもので、膜事業を拡大する計画において実施すべき次なるステップと位置付けられている。

 エボニックのアニオン交換膜DURAION®の詳細については以下で確認できる。
https://www.membrane-separation.com/en/hydrogen

kat

「ハノーバーメッセ2025 プレスプレビュー」開催、展示会の概要・見どころを紹介

5ヶ月 ago
「ハノーバーメッセ2025 プレスプレビュー」開催、展示会の概要・見どころを紹介kat 2025年02日28日(金) in

 本年3月31日~4月4日にドイツ・ハノーバー国際見本市会場で開催される世界最大の産業技術見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)2025」(主催:ドイツメッセ)に関して、2月19日に同国際見本市会場で「Hannover Messe 2025 Press Preview」が開催され、世界中からジャーナリストが参加する中、概要と見どころが紹介された。当日は出展予定企業のうちイグスやシェフラー、シュンク、フエストなど約30社がミニブースを併設し、ハノーバーメッセ2025で出展予定の製品・技術を披露した。

会場のようす

 

プレスプレビューのようす:総合司会を務めるOnuora Ogbukagu氏

 

ミニブース展示のようす

 

■プレスプレビュー ハノーバーメッセの概要と、地政学的現状での産業競争力向上における役割

 当日はまずプレスカンファレンスが行われ、主催者であるドイツメッセCEOのJochen Köckler氏が挨拶に立ち、「ハノーバーメッセ2025の概要とトレンド」と題して、開催の見どころや地政学的問題を抱える中での産業競争力向上に対して本展示会が果たす役割などについて紹介した。

・大手企業から中堅、スタートアップまで4000社の技術が集結

 ハノーバーメッセ2025では、一般エンジニアリング、電気、デジタル業界、エネルギー部門の約4000社が、実際のアプリケーション例や人工知能(AI)を中心に、未来の生産とエネルギー供給のためのソリューションを展示する。アマゾンウェブサービス、ボッシュ、グーグル、マイクロソフト、シーメンスなどの世界的なテクノロジー大手が、ベッコフ、フエスト、ハーティング、シェフラー、ハーティング、イグス、シュンクなどの中堅テクノロジーリーダーとともに展示するほか、フラウンホーファー研究機構やカールスルーエ工科大学(KIT)などの著名な研究機関が次世代の産業ソリューションの概要を示す一方、さまざまな技術分野の300社を超えるスタートアップ企業が革新的なイノベーションを発表する。

・産業競争力を高める AI

 産業界における競争圧力が高まる中、企業は生産性向上と効率改善を両立するソリューションを必要としており、ここでは AI が重要な役割を果たす。Köckler氏は「インダストリー 4.0 はハノーバーメッセで始まった。そして我々は今、AIで次の章の執筆に取りかかっている。重要なことは、企業が自社のプロセスへの迅速で的確なAIの導入を実施するために必要な知識を持っていること。ハノーバーメッセは、実用的なソリューション、専門家の洞察、すぐに展開できる事例など、まさに適切な答えを導き出す。AI は既存の機械や生産プロセスを最適化し、効率を高めてよりスマート化する。これは、産業の競争力を確保するための重要な要素」と語った。

・実際のアプリケーション例にフォーカス

 ハノーバー メッセは、商品やサービスの購入の意思を決定する「意思決定者」を対象としている。生産プロセスを自動化するための個別のロボット ソリューションを探している生産管理者や、工場全体のデジタル化を検討しているマネージングディレクターは、ハノーバーメッセで適切な担当者とつながることができる。焦点は、ターゲット ソリューションと企業全体の全面的な変革の両方にあり、それは常に競争力向上に関わる。
この観点からハノーバーメッセ2025では「アプリケーションパーク」を設けている。これは出展者が、最新のロボットソリューションが生産効率を高める方法、例えばロボットがレーザー溶接を最適化する方法や、バッテリーセルの生産をより効率的かつ持続可能にする方法など)を実演する展示エリア。Köckler氏は「企業はここで、生産プロセスの最適化に向けた貴重な洞察を得る。より速く、より正確に、より資源を節約しながら製造するソリューションが示唆される」と力強く語った。

・地政学的問題でも決定的役割を果たすハノーバーメッセ

 産業の競争力は経済戦略にも左右されることから、Köckler氏は、経済と地政学の両方の情勢に影響を与える決定が下される重要な場所でもあるハノーバーメッセのもう一つの強みと見る。
Köckler氏は「米国は、自国の『米国第一主義』政策を厳格に追求することを非常に明確にした。同時に、中国政府が国内産業を大規模に強化し、経済の方向性を的確に定めていることは明らかだ。これは、欧州と国際社会におけるそのパートナーに対する明白なシグナルである。今こそ、さらに緊密に連携し、統一された地経学的戦略を策定し、断固として実行する時だ。ハノーバーメッセは、この文脈でも決定的な役割を果たす。今後数年間、このイベントは、欧州の技術革新プラットフォームとして、また、欧州の経済発展と貿易の発展の両方において、重要性を増すだろう。ヨーロッパの産業とそのパートナーの発展に貢献し、より強力な国際協力の原動力となる」と述べ、さらにドイツの現在の政治状況を念頭に置き、「2月23日のドイツ議会選挙の結果や、ハノーバーメッセ開幕時にすでに新政権や現職の役職者がいるかどうかに関わりなく、主要経済拠点としてのドイツの政治的責任を担う者は誰でも、ハノーバーメッセに参加し自国の技術力の発信と貿易促進に努める必要がある」と強調した。

Jochen Köckler氏

 

パートナーカントリー、カナダ

 続いて、ハノーバーメッセ2025のパートナーカントリーであるカナダを代表して、カナダ政府 シニアディレクターのChristina Bilyk氏を司会に、ハノーバーメッセ2025に出展する重要性についてのセッションが行われた。

 駐独カナダ大使館のEvelyne Coulombe氏は、カナダとドイツのパートナーシップの歩みについて、ドイツのショルツ前首相がカナダのトルドー首相に協力を要請したことからパートナーシップが始まった経緯から、このプロセスが実現するまでに2年以上の歳月を要したこと、ドイツとの本パートナーシップが両国の経済に役立つことを語った。このパートナーシップの戦略的重要性を強調してCoulombe氏は、「この大西洋横断のコラボレーションは、経済と技術の進歩を約束するもの。ハノーバーメッセ2025は、こうした協調関係の強化と新しいビジネスの拡大の絶好の機会」と述べた。

 また、ネクストジェネレーションマニュファクチャリングカナダ(Ngen)CEOのJason Myers氏は、ハノーバーメッセでのカナダの存在感の高まりについて振り返り、「ハノーバーメッセ2024には約80社のカナダ企業が参加しイノベーションを披露し、すでにパートナーカントリーであるかのような印象を与えたが、パートナーカントリーとなった今回のハノーバーメッセ2025では現時点で225社のカナダ企業が参加して。AIやグリーンエネルギー、デジタルトランスフォーメーション(DX)など得意とする分野の技術を発信する。今回のカナダの公式な役割は、カナダ、ドイツ、そして世界の参加者間のコラボレーション、イノベーション、貿易の機会を拡大するだろう」と語った。

左からCoulombe氏、Myers氏、Bilyk氏

 

セッショントーク「産業におけるAI活用」

 さらに、「AI in industry(産業におけるAI活用)」と題するセッショントークが行われ、産業界を代表してAltair社 バイスプレジデントのFatma Kocer-Poyraz氏が、学界を代表してヨハネスケプラー・リンツ大学のSepp Hochreiter氏が登壇した。

 Kocer-Poyraz氏は、製品開発におけるAIの適用について、スマートフォンから自動車、電子キー、建機・重機に至るほぼすべての製品で耐久寿命を含めた設計がなされているが、クラッシュ試験を伴うような自動車の設計では、多数のアイデアがあっても、一つの設計に数週間、数カ月と各々を形にするには時間と労力がかかりすぎて数例しか試行できない。これに対してAIを活用した設計では、解析が数時間、数日で、寿命予測が数秒~数分で完了できるため、多くのアイデアを形にすることが可能。設計・データ活用と開発技術、設計のためのソフトウェアを組み合わせることで複雑な形状の部品のシミュレーションを可能にした事例として、Altairの形状機械学習技術によって実際の挙動と予測結果の優れた層間が取れたエアバッグの開発事例やするAltairのReduced Order Model(縮約モデル)ソリューションを用いて、農業機械用プラウ(犂)の従来の解析時間13時間を3秒で完了した事例などを紹介した。多くの優れたアイデアを形にすることをあきらめる必要はない、と総括した。

 Hochreiter氏は、「産業用AIの黎明期」と題して、数十億パラメーターの言語モデルにおいてGoogleのディープラーニングの学習モデルTransformerよりも拡張性が高い新しいLSTMアーキテクチャ「xLSTM」を紹介した。xLSTMは推論速度もTransformerよりはるかに迅速でエネルギー効率が高いため、ロボティクスや自動運転の自動車やドローン、自動生産システムなどに産業用途に幅広く適用できることをアピールした。

左から、総合司会のOgbukagu氏、Kocer-Poyraz氏、Hochreiter氏

 

カナダ企業が ROBOTICS AWARD 2025 を受賞

 プレスプレビューではまた、ハノーバーメッセの開催に際しドイツメッセがロボットベースの自動化および物流ソリューションを表彰する「ROBOTICS AWARD(ロボティクスアワード)」の受賞者を発表、カナダの Maple Advanced Robotics社、ドイツのLeverage Robotics、米国のMantis Roboticsが受賞した。

 受賞したMaple Advanced Robotics社のMARI AARSプロジェクトは、高速でコード不要のプログラミングを実現する AI 駆動型ロボット工学プラットフォームで、高度な3Dスキャン、自動ロボットパス生成、コーディングやCADファイルを必要としない直感的なグラフィカルフローチャートインターフェースによって実現されている。さらに、MARI AARSプラットフォームには偏差を補正する機能が含まれており、一貫した品質レベルを保証しており、「自律的なパスプランニングにより、MARIは多品種生産の最大の課題の一つである継続的な再プログラミングとセットアップを解決したことにより、特に中小企業にとって、熟練労働者の不足にも対処できるようになる」と評価されての受賞となった。

授賞式のようす■ミニ展示会

 プレスプレビューに合わせて、ハノーバーメッセ2025に出展予定の企業のうち、約30社がミニブースを構えた。ベアリング・モーション技術(bmt)関連の製品・技術では、ハノーバーメッセ2025で披露される予定の、以下のような展示がなされた。

イグス(ハノーバーメッセ2025での出展ブース(以下、同)ホール6、ブースE26)

 イグスは、「潤滑剤ゼロ」のPFAS対策として、同社のすべての固体潤滑を含有した標準すべり軸受材料イグリデュールを変更し、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フリーの材料を開発、披露する。すでに滑り軸受、リニアガイド、旋回ベアリング(ロータリーテーブルベアリング)、貼るだけで滑りを改善する「トライボテープライナー」など全製品の92%でPTFEフリーおよびPFASテスト済みの代替品を提供開始している。社内の試験室で摩擦・摩耗挙動について分析したところ、PTFEを含む基準材料と比較して、PTFE フリー材料の性能が大幅に優れていることが確認されている。

 また、「プラスチック廃棄ゼロ」の提案として、2022年に開発が成功した、ユーザーから回収した製品を粉砕し再生したリサイクル素材「igumid CG LW」で作られたケーブル保護管「エナジーチェーン」を披露する。すでに、標準エナジーチェーンシリーズE2.1の全製品を同リサイクル素材に切り替えているという。このリサイクルチェーンシリーズにより、ユーザーもプラスチックの循環型経済に貢献できる。リサイクルE2.1シリーズは、標準素材で作られたエナジーチェーンと同じ価格で提供され、標準素材で作られたエナジーチェーンシリーズと比べ機械的特性は同等で、CO2フットプリントが80%低減できる。

 さらに、「ドライクリーンルームのパーティクルゼロ」の提案として、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池製造用のドライクリーンルームなどの特殊な用途向けのエナジーチェーン「E6.29」を展示する。フラウンホーファーIPAと共同での長期試験でクリーンルーム適合性が確認されており、1500万回のダブルストローク、つまり10カ月後でも、上部シェルと下部シェルからなるコルゲートチューブ状のクリーンルーム用エネルギー供給システム「eスキンソフトSKS28」が ISOクラス4の高清浄度を達成している。

イグスブース(上)と、PTFEフリー製品群(下)

 

シェフラー(ホール5、ブースD18/ホール13、ブースE41/1)

 シェフラーは、2024年10 月のヴィテスコテクノロジーズ合併によって生まれた 八つの製品ファミリーをベースに、業界のさまざまな市場分野にサービスを提供し、ヒューマノイド用コンポーネントなどの将来技術によって持続的に変革可能なことをアピールする。

 その一つが、軽量ロボットとコボット向けの革新的な「XZUアンギュラコンタクトニードルローラーベアリング」で、コンパクトなデザイン、高効率、軽量を実現し、その優れた特性により、ハノーバーメッセ2025の「HERMES AWARD(エルメスアワード)」)にノミネートされている。

 また、高解像度と直線性により、産業用ドライブトレインでのトルクの正確な非接触測定を可能にする「TorqueSense」トルクセンサーも紹介。例えば、建設機械や農業機械を正確に監視・制御でき、産業機械の過負荷保護を実現できる。

 シェフラーは、ロボット工学の論理的な発展を示すヒューマノイドの技術に特に高い可能性を見出しており、この最先端技術の主要コンポーネント(ベアリング、ギヤボックスコンポーネント、センサー、アクチュエーター、電気モーターなど)を提供し、技術的に重要な進歩によってヒューマノイドロボットを最適化できる立場にあると考えている。

シェフラーブース(上)と、「TorqueSense」トルクセンサー(下)シュンク(ホール6、ブースF21)

 シュンクは、同社コントロールセンターにおいて、ユーザーがプロセスステップを常に完全に把握できること、最新の機械式グリッパーをデジタルで試運転、監視し、必要に応じて調整できることをアピールする。このファミリーには、EZUセントリックグリッパー、EGUパラレルグリッパー、小型コンポーネント用のEKG電動グリッパーが含まれる。これらグリッパーは、さまざまなロボットメーカー向けの幅広い通信インターフェイス、PLC機能ブロック、およびプラグインを提供するほか、コントロールセンターは拡張構成オプションと定期的な更新ソフトウェアを提供し、ユーザーはグリッパーの潜在能力を最大限に引き出すことができる。

 また、同社がデジタル ビルディング ブロックを開発する際に、オープンでユーザー中心のアプローチを採用、この目的のためにGitHubやROSなどのオープンプラットフォームで新しいグリッパー用のオープンソースソフトウェアを提供し、さらなる開発に利用できるようにして、アプリケーションの範囲を拡大していることを訴求する。産業用ロボットだけでなく、さまざまな環境で使用できるコボットやヒューマノイドロボットにも適用可能で、独自のヒューマノイ SVH5指グリッピングハンドをオープンソースソフトウェアおよびデジタルツインとして提供している。

 未来のデジタルファクトリーは、現実世界で形になる前に仮想的に計画および最適化され、特に複雑なシステムは産業用メタバースでより効率的に設計およびシミュレーションできるため、時間と労力を削減できる。同社ではこれをサポートするために13000個のすべてのコンポーネントのCADデータを提供し、それらを徐々に非常にリアルなデジタルツインに改良している。最新のメカトロニックグリッパーは、高度なデジタルツインとしてすでに利用可能で、通信インターフェイスだけでなく、移動中のグリッパーの物理的動作も再現できることをアピールする。

シュンクブース(上)と、
電気自動車向け自動ハンドリングシステム(丸型バッテリーセルグリッパーRCG搭載)(下)
フエスト(ホール7、ブースA32)

 フエストは、同社の創立100周年を記念して、研究所において、多くの材料と装置を導入し、さまざまな部門から集まった大規模なチームが協力して、印象的な「記念展示」、まったく新しいタイプのアプリケーションの開発に取り組んでいる。

 その一つが、空気圧、電気、デジタル、またはそれらの組み合わせなどによるモーションテクノロジーを具現化した「eMotionButterfly」。展示ではeMotionButterflyが自ら羽ばたき、複数の機械をシームレスに動かす「Incredible Machine」を披露する。この羽ばたきは機械内で魅力的な動きの旅を開始するが、それは、立ち止まることが許されない、革新と進歩を特徴とする産業オートメーションの世界であり、このアプリケーションは、自動化技術分野における同社の多様なスキルと豊富な専門知識、そして不可能を可能にする革新的な精神を実証するもの。発明力と先駆者精神は、当初から同社のDNAの一部であり、蝶の羽ばたきが一連の機械の動きを引き起こすのと同じように、小さな動きが産業に大きな変化をもたらすことがあることを暗示するものとなる。

 Incredible Machineは、100年の同社の技術革新を象徴しつつ、未来に目を向け、空気圧、電気、デジタル、またはそれらの組み合わせといった同社のモーションテクノロジーに目を向けさせる狙いだ。
 

フエストブースのようす:写真右手がeMotionButterfly

 

 なお、ハノーバーメッセ 2025に関する問い合わせ先は、以下のとおり。
International Linkage ドイツメッセ日本代表部 竹生学史(たけお・まさひと)氏
TEL:080-1396-9902または03-6403-5817
E-mail : masahito.takeo@intl-linkage.co.jp

kat

「EMOハノーバー2025」プレスカンファレンスを開催、参加を呼びかけ

5ヶ月 ago
「EMOハノーバー2025」プレスカンファレンスを開催、参加を呼びかけadmin 2025年02日27日(木) in in

 International Linkage ドイツメッセ日本代表部(https://intl-linkage.co.jp/dm)(代表:竹生学史氏)は2月19日、東京都千代田区のステーションコンファレンス東京で、本年9月22日~26日にドイツ・ハノーバー国際見本市会場で開催される世界を代表する工作機械の国際展示会「EMO Hannover 2025(EMOハノーバー2025)」に関するプレスカンファレンス「EMO Hannover 2025 World Tour」を開催した。主催者のドイツ工作機械工業会(VDW)とドイツメッセの各担当者が同展の見どころなどについて紹介し、日本企業の出展と日本からの来場を求めた。

 当日はまず、以下2件の基調講演が行われた。

・「ものづくり業界のために開催される生産技術の国際展示会EMOハノーバー2025」マルクス・へーリング氏(ドイツ工作機械工業会(VDW)エグゼクティブ ダイレクター)…世界有数の生産技術の専門展示会である「EMOハノーバー2025」が「Innovate Manufacturing」をテーマに、金属加工のバリューチェーン全体の製品・技術を紹介するとともに、革新性、国際性、インスピレーション、金属加工の未来を示すショーケースであり、金属加工業界のメーカーとユーザーなど国際的な業界関係者が対話できるプラットフォームで、1975年に設立され今年で50周年を迎えることを説明。この半世紀の間にスマートフォンなどのデバイスを含む技術革新に金属加工技術が大きく寄与してきており、今回の「Innovate Manufacturing」のテーマのとおり、EMOが提供する膨大なアイデアと新しいアイデア、新技術を積極的に活用することを呼びかけた。続いて、世界経済の状況について、中国経済の減速などもあり2024年度は設備投資がグローバルで低下、特に欧州で激減したが、2025年度からは回復に向かうとした。日本は極めて大きな工作機械サプライヤーで輸出も多く、工作機械の市場が拡大する中国は日本の工作機械メーカーにとって大きな市場であるとともにサプライヤーにもなりつつあるとした。さらに、EMOハノーバー2025のフォーカス・トピックスとして、①工具のパレットチェンジャーやワークのハンドリングシステムを含む工作機械あるいは金属加工工程の「自動化」、②新しい工作機械への投資によるエネルギー節減やカーボンフットプリント削減といった「サステナビリティ」、③人工知能(AI)との組み合わせによる生産性向上など工作機械ユーザーのメリット拡大につながる「デジタル化」を掲げた。

・「EMO2025へ訪問すべき理由」ハートヴィヒ・フォン・ザース氏(ドイツメッセ ヘッドオブニュービジネス)…EMOは来場者とパートナーであり出展者であるメーカーをつなぎ、最新の製品・技術、金属加工業界の現状を間近で見ることができる専門見本市。来場者は新しい技術に出会える場であり、国や産業の枠を超えてビジネスを創出しつつパーソナルリレーションシップを構築できる場でもある。ウェブサイトで事前にチェックし訪問リストに加えた展示ブースからの製品・技術情報だけではなく、歩いていて思いがけず新しいソリューション、自らのプロジェクトに活用できるかもしれないソリューションに出会える可能性を秘めている。EMOはつまり、オンラインでは得られない「セレンディピティ」がある。開催地となるハノーバーは産業見本市の中心地であり、海外からの交通の便も良い場所。工作機械の多数の技術革新、最新の製品・技術が披露されるEMO、出展者と来場者をダイレクトにつなぐEMOに是非とも来場してほしいと総括した。

 続いて、日本工業大学工業技術博物館 館長の清水伸二氏をモデレーターに、4人のパネリストによるパネルディスカッションが以下のとおり行われた。

 ドイツ工作機械工業会(VDW)エグゼクティブ ダイレクターのマルクス・へーリング氏は、同展示会を「ものづくり業界のために開催される生産技術の国際展示会」として、工作機械の自動化やサステナビリティ、デジタル化についての展示をメインになると話した。また、期待している点としては積層造形やスタートアップ、工作機械業界に若者を引き寄せるための基礎であるとした。引き続き、ドイツメッセ ヘッドオブニュービジネスのハートヴィヒ・フォン・ザース氏が、昨今はコミュニケーションのほとんどがオンラインでなされているとして、本展示会はリアルで見てもらうことで自社のブランドを示すことができるとした。また、本展示会とオンラインとの連携も有効である点を述べた。また、リアルの見本市であるからこそ価値あるものを予想しなかったところで見つけられると述べた。

 また、出展社の立場としてオークマ 取締役 常務執行役員の山本武司氏、ヤマザキマザック 執行役員 欧州副総支配人の山崎 拓氏が参加した。山本氏は「弊社はEMOには第1回から毎回出展させていただいている。出展理由としては、メーカーである私共としては、お客様のその先のお客様のニーズを知ることによって、私共のお客様が何をしなければならないかを理解してソリューションを提供することができること。もう一つが工作機械のメッカである欧州で弊社のブランドを知っていただくことだ。さらに、昔のことにはなるが世界各国から代理店のお申し出をいただけることが挙げられる。工作機械は欧州が先頭を走っている部分もあるため、EMOは最新の技術やマーケットのトレンドを知ることができる場である。会社としても将来への投資に対する羅針盤のような役割を果たしているのではないかと思う」と述べた。山崎氏は「山本様が仰ったことにすべて同意する。重複する内容は割愛して、その上で二点を追加させていただく。一つ目はEMOという一週間のイベントで弊社の欧州中のスタッフが一堂に会することで結束して士気を高めることができる貴重なイベントである。もう一つは、国際的な展示会は世界中に数多く存在しているが、EMOの特徴は地元のドイツ企業に多少アドバンテージがあるものの、EMOほどフェアな競争ができている展示会はないのではないかと思う。世界各国のメーカーが分け隔てなく出展している展示会のため、我々出展社としても来場者にとっても工作機械のトレンドを知ることができるため、今後の戦略を立てていく上でも大変重要な展示会であると感じている」と述べた。

左から山本武司氏、清水伸二氏、マルクス・へーリング氏、山崎 拓氏、ハートヴィヒ・フォン・ザース氏

 EMOハノーバー 2025では日本企業の出展ならびに来場の募集を行っているので、関心のある方は以下まで問い合わせをいただきたい。
International Linkage ドイツメッセ日本代表部 竹生学史(たけお・まさひと)氏
TEL:080-1396-9902または03-6403-5817
E-mail:masahito.takeo@intl-linkage.co.jp

admin

NTN、表面テクスチャリングの最適化で、正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受を開発

5ヶ月 ago
NTN、表面テクスチャリングの最適化で、正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受を開発kat 2025年02日25日(火) in

 NTNは新たに、正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受を開発した。従来の流体動圧軸受に必要とされていた組み付け時の回転方向の確認が不要となるほか、動圧溝がない焼結含油軸受(以下、溝なし軸受)と比べて起動直後からの静粛性や低振動性、低トルク性に優れ、小型モーターやアクチュエーターの静粛性や省エネルギー性の向上、さらにはユーザーの製造コスト削減に貢献する。同社では本開発品について、家電・車載向けモーターや車載電装補機アクチュエーター、冷却ファンモーターなどに提案を進め、2026年度に1200万個/年の生産を目指す。

正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受

 

 家電製品や車載電子機器などに使用される小型モーターやアクチュエーターには、組み付け時に回転方向を選ばない溝なし軸受や転がり軸受が主に使用される。近年、カーボンニュートラル実現に向けて、静粛性や低振動性、低トルク性に優れた流体動圧軸受の適用が拡大しているが、従来の流体動圧軸受は一方向のみにしか回転できないため、組み付け方向の確認が必要となり、ユーザーの製造コストが増加する要因となっていた。

 これに対しNTNでは今回、軸受内径部の表面テクスチャリングを最適化することにより、正逆両方向に回転可能な流体動圧軸受を開発し、同社の焼結含油軸受のラインアップに加えた。組み付け時の回転方向の確認が不要となりユーザーの製造コストが削減できるほか、従来の溝なし軸受よりも静粛性や低振動性、低トルク性に優れた軸受の提供が可能となったもの。

 開発品の特長は以下のとおり。

1.正逆両方向に回転可能:表面テクスチャリングの形状や深さなどをシミュレーション解析で最適化。表面テクスチャリングに対称性を持たせることで、正逆両方向の回転時に動圧を発生させることが可能となったため、軸受の組み付け方向の確認工程が不要となり、ユーザーの製造コスト削減に貢献する

2.静粛性・低振動性:表面テクスチャリングの最適化により、回転直後より動圧を発生させ、油膜形成率100%を実現。一般的な溝なし軸受が軸と接触しやすくなる起動時においても、回転直後から非接触となるため起動時から高い静粛性と低振動性を実現

3.低トルク性:最適化した表面テクスチャリングにより、回転直後から油膜が形成されてトルクが低下し、通常回転時においても、一般的な溝なし軸受と比べて10%のトルク低減を実現

開発品と一般的な溝なし軸受との油膜形成性、トルク、振動値の比較

 

kat

トライボロジー研究会、第35回講演会を開催

5ヶ月 ago
トライボロジー研究会、第35回講演会を開催kat 2025年02日25日(火) in

 トライボロジー研究会(運営委員長:杉村丈一 九州大学名誉教授、事務局:協同油脂)は2月14日、横浜市西区のパシフィコ横浜 会議センターで、「第35回講演会」を開催した。今回は『サーキュラーエコノミーとトライボロジー』をテーマに、以下のとおり行われた。

第35回講演会のようす・開会の辞

杉村丈一氏(九州大学)

 

・KEYNOTE SPEECH

「コマツにおけるリマンビジネスの概要」横山将宣氏(コマツ)

 

・CASE STUDY:SESSION I リサイクル技術

「再生エンジンオイルの検討」植松裕太氏(トヨタ自動車)

「製鉄所の廃油再利用による環境負荷軽減への取り組み」鈴木崇仁氏(JFEスチール)

 

・CASE STUDY:SESSION II サーキュラーエコノミーと潤滑技術

「炭素循環に対応したグリースの開発」廣岡岩樹氏(協同油脂)

「省電費のための低粘度減速機油の開発」石上和訓氏 (ジヤトコ)

「冷間圧延時の摩擦面における量子ドットを活用した潤滑油膜厚さ分布の測定」志村眞弘氏(日本製鉄)

「寿命予測を高精度化するための解析技術の開発」東谷裕子氏 (デンソー)

 

・CASE STUDY:SESSION III サーキュラーエコノミーと寿命予測技術

「ディーゼル機関のピストンの温度推定と寿命予測技術」三田拓朗氏(いすゞ中央研究所)

「循環型社会に貢献する転がり軸受の材料疲労診断および修復技術の開発」小林大輔氏(日本精工)

「X線回折による転動疲労の評価」嘉村 直氏(NTN)

 

・特別講演

「今後の宇宙ビジネスの展望」牧野 隆氏(IHI/IHIエアロスペース)

 

・閉会の辞

西岡 岳氏(福井工業大学)

kat

東京理科大学・佐々木研究室、第27回トライボサロンを開催

5ヶ月 2週 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第27回トライボサロンを開催kat 2025年02日15日(土) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://tribo-science.com/salon)の第27回目が2月15日、千葉県佐倉市のDIC 総合研究所で開催された。

第27回トライボサロン開催のようす

 

 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。

 第27回目となる今回のトライボサロンでは、「nanoMoS2の摩擦低減に関する研究紹介」のタイトルで、DICの小寺史晃氏を講師に話題提供が行われた。

 講演では、nanoMoS2は形状的に粒径D50=250nm、厚さ10nmと小さくて薄く比表面積が高いナノ材料で、構造的には層間距離が狭い3R結晶構造を大量に含有するため、層間へき開が起きやすく潤滑性能に優れることを説明。同社のインク分散技術・プロセスとnanoMoS2の粒子微細化によってより安定した分散性が得られることから、潤滑油添加剤として適用できるとした。nanoMoS2のアプリケーションとして、エンジンオイルに添加することで燃費改善率(FEI)が改善した例や、グリースに添加することで低摩擦・耐摩耗特性が改善する例、MoDTCと併用することでエンジンオイルとグリースにおいて機能が改善された例、さらには固体潤滑被膜に添加することで高荷重下での耐久性が改善した例などを紹介した。

 研究会終了後は、DIC総合研究所に隣接した「DIC川村記念美術館」と同美術館を取り囲む庭園の見学会が行われた。

 トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://tribo-science.com/salon

第27回トライボサロン参加者の全体写真:DIC川村記念美術館の見学会

 

kat

東陽テクニカ、モーター・ギヤの高負荷試験に対応するパウダーブレーキを販売開始

5ヶ月 2週 ago
東陽テクニカ、モーター・ギヤの高負荷試験に対応するパウダーブレーキを販売開始kat 2025年02日10日(月) in

 東陽テクニカは1月29日、モーターの性能評価や耐久試験、ギヤの負荷試験をより高精度かつ広範囲で実現するスイスMagtrol社製パウダーブレーキ「PB-IS」シリーズの販売を開始した。

パウダーブレーキ「PB-IS」シリーズ

 

 PB-ISシリーズは、従来のデジタルダイナモメーターからトルクセンサー機能を省き、ブレーキ機能に特化。最大1200N・mの定格トルクで、水冷式の採用により吸収出力を48kWまで大幅に向上。これにより、産業用サーボモーターや誘導モーターのより高負荷な試験やEV(電気自動車)の主要部と言われるe-Axleの負荷試験にも対応可能となっている。東陽テクニカは本製品シリーズを通じ、モビリティや産業機械の電動化推進に貢献していく。

 昨今、あらゆる産業で電動化が進み、モビリティや産業機械などの性能向上に向け研究開発が加速している。性能向上の過程において、搭載されるモーターは年々増加し、さまざまな駆動機械が電動モーターに置き換わっています。エネルギーや環境、資源問題を背景に、近年のモーターは、高効率・低消費電力が必要とされている。

 今回販売したパウダーブレーキPB-ISシリーズは、モーターの性能評価や耐久試験、ギヤの負荷試験などにおいて、より高負荷な評価・試験を可能にする。既存のパウダーブレーキ式デジタルダイナモメーターからトルクセンサーの機能を省きブレーキ機能のみに絞ったシリーズで、定格トルクは最大で1200 N・m、吸収出力は最大で48kWまで対応。新シリーズでは、水冷式を採用しており、空冷式が使われている東陽テクニカ取り扱いの既製ブレーキに比べ、吸収出力を20倍まで上げることができる。これにより、500N・mでも900rpm以上の連続運転が可能になる。例えば、定格回転数1000rpm以上のサーボモーターの評価や、定格トルク100N・m、吸収出力10kW以上の誘導モーターの耐久試験など、より幅広い範囲のモーターやギヤの評価・試験が可能。

 主な特長は以下のとおり。

・ 水冷式を採用、吸収出力が空冷式に比べ20倍の48kWに向上

・ 500N・mでも900rpm以上の連続運転が可能

・ 高トルク・高速運転の評価を実現

・ 同出力のダイナモメーターと比べ短納期で、最短4カ月から納品が可能

 

パウダーブレーキ「PB-IS」シリーズのモデル別リスト


 

kat

潤滑剤関連5団体、令和7年新年賀詞交歓会を開催

6ヶ月 ago
潤滑剤関連5団体、令和7年新年賀詞交歓会を開催admin 2025年01日29日(水) in

 潤滑油協会、全国石油工業協同組合、日本グリース協会、全国オイルリサイクル協同組合、全国工作油剤工業組合の潤滑剤関連5団体は1月16日、東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷で「令和7年新年賀詞交歓会」を開催した。

 冒頭、挨拶に立った潤滑油協会(JALOS)の石川裕二会長(中外油化学工業 会長)は、「米国次期大統領がトランプさんの再登場ということで、外交におけるさまざまな問題が懸念される。第一次トランプ政権時の化石燃料重視の政策を踏まえ、今後の気候変動政策やエネルギー政策においても世界的に大きな影響があると考えられる。また、経済政策面での為替への影響とともに原油価格の推移についても注視する必要がある。なお、皆様ご承知のように昨年4月にロシア向けに輸出禁止措置として164品目の追加があった。その中に我々が主力としている自動車用エンジンオイルが含まれている。この改正で相当の打撃を受けている専業メーカーも多いと思われるので影響を緩和する何らかの対応を求めたいと思っている。我々潤滑油協会としては、今年は三つのことに注力していきたいと思っている。一つ目は災害に備えたBCPである。BCPの勉強会や保安防災研修会を開催するとともに関連情報の収集・提供を行っている。今必要なのは各社が自社だけでなく他社との業務提携を締結することなど、急速に行動を起こさなければならない時期に差し掛かっていると考えている。二つ目は潤滑油試験制度の安定・向上のため各社に参加をいただいて潤滑油試験の照合試験を継続して行っている。認定証を発行したりアドバイスを行っている。さらに、各社からの試験依頼や受講者の知識や水準に合わせた技術研修会を実施して潤滑油関係従事者の能力向上に努めていく。三つ目はカーボンニュートラルへの対応である。自動車エンジン油のトレンドとしては低粘度に改良していくことで省燃費性やCO2排出抑制に貢献している現在ではあるが、潤滑油業界においても2050年にカーボンニュートラルへの対応が求められていることから、今後は潤滑油の安定供給の確保とカーボンニュートラル対応の両立が大切だ。日本では2019年10月に低粘度エンジンオイルJASO GLV-1を策定し市場導入が開始された。2022年から2023年の委託調査において高温から低温まで粘度変化の少ないオイルが省燃費油の品質評価のガイドラインを策定した。また、廃油を集めて不純物を取り除きベースオイルへ再利用する取り組みである基油再生も進める。現在、資源エネルギー庁からの委託事業として2024年度中に我が国の潤滑油のためのカーボンフットプリント策定、削減貢献量策定ガイドラインと、潤滑油業界のカーボンニュートラルにおけるロードマップを策定することとする」と語った。

挨拶するJALOSの石川会長

 

admin

ハノーバーメッセ 2025 プレスカンファレンを開催、日本企業の出展・来場を呼び掛け

6ヶ月 ago
ハノーバーメッセ 2025 プレスカンファレンを開催、日本企業の出展・来場を呼び掛けkat 2025年01日28日(火) in

 世界最大の産業見本市である「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ) 2025」(主催:ドイツメッセ)が本年3月31日~4月4日にドイツ・ハノーバーメッセで開催されるのに先立ち、ドイツメッセ日本代表部(International Linkage)は1月16日、東京都千代田区のステーションコンファレンス東京で「HANNOVER MESSE 2025プレスカンファレンス」を開催した。当日は主催者のドイツメッセのハノーバーメッセ担当者が同展の概要と見どころについて紹介、日本企業の出展と日本からの来場を求めた。また、今回のパートナーカントリーであるカナダから同国の強みやハノーバーメッセでのパビリオンの概要などが紹介され、さらに、60年前からハノーバーメッセに出展しているというフエストから、同社の近年の取り組みやハノーバーメッセの魅力などについて紹介された。

「ハノーバーメッセ 2025の概要」バシリオス トリアンタフィロス氏(ドイツメッセ グローバルディレクター トレードフェア アンド プロダクツマネジメント)

 ハノーバーメッセは世界最大の産業見本市であり、技術革新や政策に関わる議論、ビジネス、産業分野の枠を超えたコラボレーションのグローバルステージである。ハノーバーメッセ2025の概要について、「Industrial Transformation-Energizing a Sustainable Industry(産業変革-持続可能な産業の活性化)」をテーマに、機械工学、電気工学、デジタル産業、エネルギー部門からボッシュ、グーグル、マイクロソフト、シュナイダーエレクトリック、シーメンスといったハイテク企業から、ベッコフ、フエスト、ハーティング、イグス、シェフラーといった部品・システム関連企業など約5000社の企業が出展し、特に、「スマートマニュファクチャリング」、「デジタルエコシステム」、「産業用エネルギー」にスポットライトを当てた製品・ソリューションが披露されることを紹介した。スマートマニュファクチャリング展示エリアでは、自動化・センサー技術、モーション・駆動技術、ロボット・流通の自動化技術などが披露される。デジタルエコシステム展示エリアでは、AI(人工知能)や、デジタルプラットフォーム・データ&クラウド、IT/OTセキュリティ、ワイヤレス技術・5Gを介した機械・プラント・システムのネットワーク化などの技術が披露される。産業用エネルギー展示エリアでは、欧州最大の水素展示会である「Hydrogen + Fuel Cells EUROPE」をはじめ、水素・燃料電池、エネルギー4.0、電力工学における最新の製品・サービスが紹介される。今回もスタートアップ企業に焦点を当てており、さまざまな技術分野から300社を超えるスタートアップ企業が、先進イノベーションの展示を行う。

「ハノーバーメッセ 2025のパートナーカントリー・カナダについて」ジェイソン メイヤーズ氏(ネクストジェネレーションマニュファクチャリングカナダ(NGen) チーフエグゼクティブオフィサー)、ルイ ピエール・エモン氏(カナダ大使館 公使(商務))

 ハノーバーメッセ2025のパートナーカントリーであるカナダが、世界貿易機関(WTO)加盟国ですべてのG7加盟国と貿易協定を結んでいる唯一の国家であり、「The future’s here(未来はここにある)」をテーマに掲げ、デジタルエコシステムや自動化、水素およびエネルギー、DXなどの分野において、200社以上のカナダ企業が、同国の誇る技術やイノベーション、持続可能なソリューションを披露することを紹介した。

「フエストのドイツの取り組みとハノーバーメッセの魅力」ボゴダノビッツ グレゴリッシュ氏(フエスト社長)

 フエストは1925年に創業し本年で100周年を迎える。空気圧アクチュエータや空気圧と電動を組み合わせたアクチュエータなど豊富なオートメーション機器を有し、分解能2nmが可能な精密位置決め技術なども実現しており、半導体製造プロセスでの採用も多い。約60年前から出展しているというハノーバーメッセの本年の出展製品・技術についてはまだ公開できないが、同社の100年の技術の歴史や、ものづくりへの関心が薄れつつある若手にアピールできるような技術やカーボンニュートラル実現に寄与するエネルギー効率の高い製品ソリューションを披露したい、とした。

 ハノーバーメッセ 2025では日本企業の出展ならびに来場の募集を行っているので、関心のある方は以下まで問い合わせをいただきたい。
International Linkage ドイツメッセ日本代表部 竹生学史(たけお・まさひと)氏
TEL:080-1396-9902または03-6403-5817
E-mail : masahito.takeo@intl-linkage.co.jp
 

ハノーバーメッセ 2025 プレスカンファレンスのようす
左から竹生氏、トリアンタフィロス氏、メイヤーズ氏、ピエール・エモン氏、
グレゴリッシュ氏、フエスト・前田一正氏


 

kat

SEAJ、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表、2024年度半導体製造装置、初の4兆円超え

6ヶ月 ago
SEAJ、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表、2024年度半導体製造装置、初の4兆円超えkat 2025年1月28日(火曜日) in

 日本半導体製造装置協会(SEAJ、会長:河合利樹・東京エレクトロン社長)は1月16日、2024年~2026年度の半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の需要予測を発表した。2024年度の日本製装置販売高は、前年度から継続した中国市場の投資に加えAI関連を中心としたメモリー投資回復により、前年度比20%増の4兆4371億円と予測した。2025年度はロジック・ファウンドリー、DRAMそれぞれに案件ごとの強弱はあるものの、全体では堅調な投資が予想されるため、5%増の4兆6590億円とした。2026年度もAI関連における先端半導体の需要拡大が期待できることから、10%増の5兆1249億円と予測した。半導体製造装置での4兆円超えは初めてだが、早くも2026年度での5兆円超えを見通している。

挨拶する河合SEAJ会長需要予測の背景となる半導体産業の見通し

 WSTS(世界半導体市場統計)によれば、2024年の世界半導体市場は、メモリー価格上昇が大きな要因となり、11月までの累計で前年比19.8%増と大幅に回復、通年で過去最高となる6268億米ドルに達する見込みで、2025年もメモリー市場、ロジック市場共に順調な伸びを予想しており、昨年12月の発表では、2025年全体で11.2%の増加を予想している。

 メモリー各社の業績は2023年1Q(1~3月)のボトムから総じて上昇を続け改善した。一方足元ではAIサーバー以外の需要回復が鈍く、在庫調整により一時的に汎用DRAMやNANDの価格は下落に転じる動きが見られるが、25年後半以降に需要回復と共に在庫調整が完了し、再び価格の上昇が期待される。引き続きAIサーバー向けGPUとHBMの需要は極めて旺盛で、データセンターの消費電力を抑えながら演算能力を高めるためには、次世代品への移行が必須となっている。現在、特定企業に需要が集中するGPUも、徐々に選択肢が広がってゆくと予想する。

 AI機能をPCやスマートフォン端末に搭載するオンデバイス(エッジ・ローカル)AIについては、CPU、GPU、NPU(Neural Processing Unit)をワンチップにまとめ、消費電力を抑えながら高度なAI処理を実行する。2027年にかけ、AI機能を最大限に生かすソフトウェアの普及やアプリケーションの拡大が見込まれ、2nmロジックプロセスの量産が軌道に乗るタイミングに合わせて、市場が本格的に立ち上がると考えられる。AI機能強化のためには、DRAMも高容量化、高速化が求められるため、オンデバイスAI はロジック、メモリー双方にプラスの影響を与える。

 2024年度の半導体製造装置市場については、中国市場での既存および新興メーカーによる汎用品への投資に加え、AI 関連を中心とした先端半導体の投資が拡大したことにより、前年比で大きく成長して着地する見込みとなっている。

 2025年度については、車載・パワー半導体投資の減速懸念や、中国の新興メーカーにおいては新規装置の購入に比べて購入済み装置の立上げや稼働率向上への注力が予想される一方、AI向け半導体の需要拡大と、そこで求められる高性能化や低消費電力化、大容量化に向けたGAA、Backside PDN、高積層メモリーなどの技術進化に伴い先端投資が拡大し、今年度に対してプラス成長が見込まれる。

 また2026年度については、AIサーバーに加えてオンデバイスAIのアプリケーション拡大に伴う、PC、スマートフォン用半導体の需要増加に向けた投資拡大が期待される。

 世界半導体市場は2023年の5268 億米ドルから2030年には1兆ドルに到達すると予想されており、半導体製造装置も同様に中期的な高い成長率が見込まれている。

日本製半導体製造装置の販売高予測

 2024年度は、前年度から継続する中国市場の好調さとAI関連を中心としたメモリー投資回復により、昨年7月発表時を5ポイント上回る20%増の4兆4371億円とした。4兆円を超えるのは、今回が初めて。2025年度は中国向け比率の低下、台湾を除く先端ロジック・ファウンドリーやDRAM案件について投資姿勢の強弱を精査した結果、5%増の4兆6590億円とした。2026年度は全分野でAI関連半導体の需要押上げ効果が本格化することから、10%増の5兆1249億円と予測した。

日本市場における半導体製造装置の販売高予測

 2024年度は、政府による補助金効果や大手ファウンドリーの堅調な投資はあるものの、慎重な投資姿勢に転じたパワー半導体等の状況も考慮し、7%増の1兆2232億円と予想した。2025年度は複数の大手ファウンドリー投資が重なり、メモリー投資も大きく復活が期待されることから、30%増の1兆5902億円と予測した。2026年度も高い伸びで投資が継続されるため、20%増の1兆9084億円を予測した。

提供:SEAJ
kat

SEAJ、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表、2024年度半導体製造装置、初の4兆円超え

6ヶ月 ago
SEAJ、半導体・FPD製造装置の需要予測を公表、2024年度半導体製造装置、初の4兆円超えkat 2025年01日28日(火) in in

 日本半導体製造装置協会(SEAJ、会長:河合利樹・東京エレクトロン社長)は1月16日、2024年~2026年度の半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の需要予測を発表した。2024年度の日本製装置販売高は、前年度から継続した中国市場の投資に加えAI関連を中心としたメモリー投資回復により、前年度比20%増の4兆4371億円と予測した。2025年度はロジック・ファウンドリー、DRAMそれぞれに案件ごとの強弱はあるものの、全体では堅調な投資が予想されるため、5%増の4兆6590億円とした。2026年度もAI関連における先端半導体の需要拡大が期待できることから、10%増の5兆1249億円と予測した。半導体製造装置での4兆円超えは初めてだが、早くも2026年度での5兆円超えを見通している。

挨拶する河合SEAJ会長需要予測の背景となる半導体産業の見通し

 WSTS(世界半導体市場統計)によれば、2024年の世界半導体市場は、メモリー価格上昇が大きな要因となり、11月までの累計で前年比19.8%増と大幅に回復、通年で過去最高となる6268億米ドルに達する見込みで、2025年もメモリー市場、ロジック市場共に順調な伸びを予想しており、昨年12月の発表では、2025年全体で11.2%の増加を予想している。

 メモリー各社の業績は2023年1Q(1~3月)のボトムから総じて上昇を続け改善した。一方足元ではAIサーバー以外の需要回復が鈍く、在庫調整により一時的に汎用DRAMやNANDの価格は下落に転じる動きが見られるが、25年後半以降に需要回復と共に在庫調整が完了し、再び価格の上昇が期待される。引き続きAIサーバー向けGPUとHBMの需要は極めて旺盛で、データセンターの消費電力を抑えながら演算能力を高めるためには、次世代品への移行が必須となっている。現在、特定企業に需要が集中するGPUも、徐々に選択肢が広がってゆくと予想する。

 AI機能をPCやスマートフォン端末に搭載するオンデバイス(エッジ・ローカル)AIについては、CPU、GPU、NPU(Neural Processing Unit)をワンチップにまとめ、消費電力を抑えながら高度なAI処理を実行する。2027年にかけ、AI機能を最大限に生かすソフトウェアの普及やアプリケーションの拡大が見込まれ、2nmロジックプロセスの量産が軌道に乗るタイミングに合わせて、市場が本格的に立ち上がると考えられる。AI機能強化のためには、DRAMも高容量化、高速化が求められるため、オンデバイスAI はロジック、メモリー双方にプラスの影響を与える。

 2024年度の半導体製造装置市場については、中国市場での既存および新興メーカーによる汎用品への投資に加え、AI 関連を中心とした先端半導体の投資が拡大したことにより、前年比で大きく成長して着地する見込みとなっている。

 2025年度については、車載・パワー半導体投資の減速懸念や、中国の新興メーカーにおいては新規装置の購入に比べて購入済み装置の立上げや稼働率向上への注力が予想される一方、AI向け半導体の需要拡大と、そこで求められる高性能化や低消費電力化、大容量化に向けたGAA、Backside PDN、高積層メモリーなどの技術進化に伴い先端投資が拡大し、今年度に対してプラス成長が見込まれる。

 また2026年度については、AIサーバーに加えてオンデバイスAIのアプリケーション拡大に伴う、PC、スマートフォン用半導体の需要増加に向けた投資拡大が期待される。

 世界半導体市場は2023年の5268 億米ドルから2030年には1兆ドルに到達すると予想されており、半導体製造装置も同様に中期的な高い成長率が見込まれている。

日本製半導体製造装置の販売高予測

 2024年度は、前年度から継続する中国市場の好調さとAI関連を中心としたメモリー投資回復により、昨年7月発表時を5ポイント上回る20%増の4兆4371億円とした。4兆円を超えるのは、今回が初めて。2025年度は中国向け比率の低下、台湾を除く先端ロジック・ファウンドリーやDRAM案件について投資姿勢の強弱を精査した結果、5%増の4兆6590億円とした。2026年度は全分野でAI関連半導体の需要押上げ効果が本格化することから、10%増の5兆1249億円と予測した。

日本市場における半導体製造装置の販売高予測

 2024年度は、政府による補助金効果や大手ファウンドリーの堅調な投資はあるものの、慎重な投資姿勢に転じたパワー半導体等の状況も考慮し、7%増の1兆2232億円と予想した。2025年度は複数の大手ファウンドリー投資が重なり、メモリー投資も大きく復活が期待されることから、30%増の1兆5902億円と予測した。2026年度も高い伸びで投資が継続されるため、20%増の1兆9084億円を予測した。

提供:SEAJ

 

kat

トライボロジー試験機SRVのユーザーズミーティングが開催、国内ラウンドロビン試験結果を報告

6ヶ月 ago
トライボロジー試験機SRVのユーザーズミーティングが開催、国内ラウンドロビン試験結果を報告kat 2025年01日28日(火) in

 パーカー熱処理工業(PNK、https://srv-pnk.jp/)は1月24日、東京都葛飾区の東京理科大学で、揺動(オシレーション)セットアップおよび回転(ローテーション)セットアップと、オシレーション・ローテーション両方の動きを模擬できることなどから、潤滑剤や自動車向けトライボロジー試験機のデファクトスタンダードとなっているOptimol Instruments Prüftechnik(Optimol)製のトライボロジー試験機「SRV®」について、「2024年度SRV国内ラウンドロビン試験結果報告会」(トライボロジー特性のデファクト標準に関する研究会(主査:東京理科大学・佐々木 信也教授)協力)と「SRVユーザーズミーティング2025」を開催した。

 当日はまず、2024年度SRV国内ラウンドロビン試験結果報告会が行われた。SRVユーザーである最大13の企業・団体が、同じ試験条件(荷重、ブロック温度、周波数、ストローク、上部試験片(φ10mmボール)、潤滑剤、下部試験片(φ24mm×7.9mmディスク))で、標準試験(DIN 51834準拠)、オイルEP試験(ASTM D7421準拠)、グリースEP試験(ASTM D5706準拠)、DLC耐はく離荷重評価試験の四つの試験を実施、SRV試験機と試験方法の信頼性や確かさを検証した。

 今回は下部ディスク試験片として、Optimol製試験片と、国内で製作した廉価版のPNK製試験片を用いて上記の四つのラウンドロビン試験を実施したが、企業・団体間で特にグリースEP試験において試験結果のばらつきが見られ、試験片の洗浄剤の違いや2種の試験片の表面粗さの違い、装置の保守点検の状態などの試験結果への影響が考察された。

 SRV国内ラウンドロビン試験は、SRV国際ラウンドロビン試験に比べて試験回数や試験時間などの条件は緩やかではあるものの、ラウンドロビン試験のタイトなスケジュールやデータ加工の手間など、参加企業・団体の負担が少なくないことから、PNKでは近日中に参加企業・団体にアンケートを実施し、今回のラウンドロビン試験の問題点や今後の課題などを抽出しつつ、2025年度の国内ラウンドロビン試験では洗浄方法や試験片の問題点など不明点を減らして試験結果のばらつきを抑えるとともに、国内ラウンドロビン試験の参加企業・機関を増やせるように努める。
 

2024年度SRV国内ラウンドロビン試験結果報告会のようす


 続くSRVユーザーズミーティング2025の話題提供として、PNK佐藤雅之氏より、国内ラウンドロビン試験の関心事である“OK荷重をどう決めるか”に関連して、「耐荷重試験の焼付き判定について」と題して、SRVソフトウエアの推奨カットオフ値や、高分解能信号分析(HRA)測定、電気接触抵抗(ELR)測定など便利な機能の使い方、耐荷重試験の焼付き判定に関わるSRV試験事例の紹介などを行った。

 佐藤氏はまた、「SRVを利用したギヤ油のスクリーニング法の提案」と題して話題提供を行い、ギヤ油の評価において一般的だが試験時間が長くコストのかかるFZG試験の試験時間を短縮し、開発コストを削減できるスクリーニング試験としてのSRVの有用性について述べた。

 

佐藤氏によるSRVユーザーズミーティング2025の話題提供のようす

 

 当日はまた、佐々木研究室の見学会が行われ、先ごろ同研究室に導入されたコンパクトサイズのオシレーション摩擦摩耗試験機「ETS(Easy Tribology Screener)」が披露された。ETSは簡単・スピーディーにトライボロジー評価試験が行える入門機で、荷重は最大300Nであるが,コーティング薄膜や潤滑油・グリースなどのスクリーニング評価には十分な仕様となっており,試験中の摩耗進行やDLCなどの薄膜はく離などをオンライン計測できる点に優位性がある。

ETSの見学会のようす

 

kat

日本半導体製造装置協会、新春賀詞交歓会を開催

6ヶ月 ago
日本半導体製造装置協会、新春賀詞交歓会を開催kat 2025年01日28日(火) in in

 日本半導体製造装置協会(SEAJ)は1月16日、東京都千代田区の東京會舘で「2025年 新春賀詞交歓会」を開催した。

 挨拶に立った河合利樹SEAJ会長(東京エレクトロン社長/CEO)は「半導体市場は2024年に6268億ドルとなり、初めて6000億ドルを超えた。これは10年前と比べ約2倍となる。2025年においてもAI向けの先端デバイスがけん引し、前年比11.2%増の7000億ドルに迫る予想となっている。これまで半導体の進化によってクラウドコンピューティング、エッジコンピューティング、IoT、ソサイエティ5.0などの普及が急速に進み、産業や社会が大きく発展した。それらに加えて今後はAIやAR/VR、自動運転といった新たなテクノロジーがけん引役となり半導体市場は2030年に1兆ドルを超えると言われている。その実現に向けて半導体実装の代名詞であるスケーリングと、複数のチップや機能を一つのパッケージに結び付けるヘテロジニアスインテグレーションの二つの軸における技術革新の重要性が増している。また、サステナブルな社会の実現には、地球環境保全に向けたネットゼロ(温室効果ガスの排出量を正味ゼロにすること)、PFASに代表される環境規制物質への対応、そして将来の半導体産業を支える人材育成など、一段と取り組んでいく必要がある。当協会としては日本製の半導体・FPD製造装置を取り巻くグローバルな市場環境の変化に対し、SEMIとも連携しながら調査・分析し、適切な対応をとっていくことで、業界および会員企業の発展につながるよう精一杯努めていく」と語り、2023年度に5.9%減の3兆6976億円だった半導体製造装置の販売額が、2024年度に20%増の4兆4371億円、2025年度も5%増の4兆6590億円と4兆円を超える見通しを発表した。

挨拶する河合SEAJ会長

 

 続いて、先端半導体の受託生産を目指すRapidus(ラピダス)の東 哲郎会長が、本年4月に試作ラインの稼働を開始する北海道千歳市の新工場に関して、「200数十台の半導体製造装置を導入し、メーカー各位の力を得て工場が立ち上がっていこうとしている。世界をリードする最先端の工場にしていきたい」と力強く乾杯の挨拶を行った。

乾杯の挨拶を行う東氏

 

kat

日本粉末冶金工業会、令和7年 新年賀詞交歓会を開催

6ヶ月 ago
日本粉末冶金工業会、令和7年 新年賀詞交歓会を開催kat 2025年01日28日(火) in in

 日本粉末冶金工業会(JPMA)は1月17日、東京都港区のインターコンチネンタル東京ベイで「令和7年 新年賀詞交歓会」を開催した。

 まず挨拶に立ったと園田修三JPMA会長(福田金属箔粉工業)は、「当会の主要な行事としては、5月に総会と工業会賞特別セッション、7月に第12回人材育成セミナー、9月に第3回粉末冶金基本講座を実施した。また、12年ぶりに日本開催となった粉末冶金国際会議WORLD PM2024 YOKOHAMAは10月13日~17日に開催し、会員各位の多大なる支援と協力をもって無事に、また成功裏に終了することができた。関係各位に心より感謝したい。次に政府、経済産業省関連では、素形材産業を広く世間に認知、浸透させる目的で経済産業省素形材産業室および素形材7団体による「素形材製品の共同出展」をJIMTOFなど三つの展示会で実施。そのほか「自動車部品工業会と素形材団体の懇談会」に参加し、適正取引に向けた意見交換および当会としての要望提示を行った。また、各種政府施策・補助金情報等について会員に適時周知を図り、今年度は経済産業省指導のもと「素形材産業ビジョン」の11年ぶりの更新に協力している。海外事業は、10月WORLD PM2024 の期間中にAPMA(アジア粉末冶金連合) 理事会(6カ国9団体)および三団体会議(EPMA・MPIF・APMA)には、オブザーバーとして参画し国際会議の開催スケジュール調整、各国の課題共有などを行った。緊張が続く中近東情勢や長引くウクライナ戦争、激しさを増す米中対立に、今や世界経済のエンジンとも言える中国経済の低迷など、先行き不透明感が漂っている。また今年1月から始動する米国次期大統領の動きも気になるところだ。2000年代以降わずか20数年間で、リーマンショックや東日本大震災、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、またロシアのウクライナ侵攻等による原材料価格やエネルギー価格の高騰に加え、材料不足や物流の混乱によるグローバルサプライチェーンの寸断、気候変動を起因とする異常気象や大規模な自然災害など、私たちは取り巻く環境の大きな変化を数々経験し、そして乗り越えてきた。粉末冶金業界も避けることのできない自動車EV 化の波に対して、マイナス面ばかりを考えず、粉末冶金の素晴らしい特性や省エネルギーに貢献できる利点を生かして、新たな製品を生み出し、ビジネスチャンスを広げ、乗り越えていかねばと思う。これを実現するためにも、会員各位の多くの参画により各委員会活動を一層活発に展開し、柔軟な頭で知恵を出し合うとともに、粉末冶金の魅力を積極的にアピールし、人材の獲得と育成に注力していきたい。会員各位の支援と協力をお願いしたい」と語った。

挨拶する園田JPMA会長

 

 さらに粉体粉末冶金協会(JSPM)の尾﨑由紀子会長(大阪大学/九州大学)は、「成功裡に終わった「World PM 2024」での発表や議論を通じて改めて感じたことは、粉末冶金技術が、今後の持続可能な社会や産業のために不可欠な技術になるであろうこと。その理由としては、粉末冶金の主力市場である自動車・自動車部品でEV化が進んでおりエンジン部品の減少が長らく危惧されてきたが、モータやバッテリーといったEVの部品にはすでに粉末冶金技術が活用されている。一方、機械部品においてはモータの回転を正確に高精度に伝達する駆動系のギヤや高精度で耐久性の高い軸受などにおいて、従来の粉末冶金技術をより高める技術の開発が必要とされる。これに加え資源の再利用が求められているが、持続可能な社会の実現のためには、リサイクルやリマニュファクチャリングといった資源再利用システムが急務の課題となっている。この中で使用済みの部品を粉砕し再利用していく過程で、粉末を作る、さらに、再生された粉末を新品同様の部品の形に加工していくプロセスが必ず必要になってくる。これはまさに、粉末冶金なくしては成立しないであろう。これから先、粉末冶金技術が持続可能な技術に必要とされる不可欠な技術になると確信している。このように我々の粉末冶金の技術は社会を支える名脇役だったが、同時に未来を切り開く主役になるポテンシャルを十分秘めていると思う。業界の未来を担う若手の方々にとっても挑戦の場としてふさわしいものだと考える。そのために何が必要だろうか。粉末冶金は非常に長い歴史を持つが、既存の枠組みにとらわれない連携が必要だと思う。私が会長に就任した時に“三つの連携が必要だ”と言った。国際連携と団体間連携、会員間相互の連携だ。同じく次世代の材料開発と部品開発においては、産官学が一丸となって、イノベーションプロジェクトをはじめとする活動が具体化されていくべき。我々粉協は産官学の連携によって役に立てるような活動に注力したい。皆様一人ひとりがその連携の中心となって、産業の未来を切り開く重要な役割を担っていくと思う。2025年が粉末冶金の皆様にとって新しい挑戦の年となることを願っている」と挨拶した。

挨拶する尾﨑JSPM会長

 

kat

日本工作機器工業会、2025年 年始会を開催

6ヶ月 ago
日本工作機器工業会、2025年 年始会を開催kat 2025年01日28日(火) in in

 日本工作機器工業会は1月15日、東京都千代田区の東京會舘で、「2025年 年始会」を開催した。

 当日は寺町彰博会長(THK会長)が、2024年度の同工業会会員企業の販売額が、昨年春の段階で予想していた前年同期比2.3%増の1800億円超えの見込みに対し、中国経済の減速20.3%減の1660億円程度となる見通しであることを報告しつつ、「経済が回復基調にあることから今後上方修正できること期待している」と述べた。

 寺町会長はまた、「①地政学的リスクの拡大、②社会主義国家vs資本主義国家、新興国vs先進国という従来の東西南北構造の近年の地殻変動(社会主義国家の拡大や先進国の低成長など)、③AI・ロボットの進展が人とのかかわりあいの中でどう変わっていくのかということ、といった変革の中で我々はどう生きていくべきかが問われている。我々のビジネスで言えば北側のビジネスを拡大することはもちろん、南側のビジネスをしっかりと固めていく必要がある。我々はこのような状況に置かれている。2025年は明るい要素が出てきているので、各自しっかりと汲み取って新たな開発を行い新たな産業に踏み込んで、新たな国々においてビジネスを獲得していただきたい。それにあたっては日本の現況を把握する必要がある。IMD(国際経営開発研究所)が発表した『世界競争力年鑑』によると67カ国・地域のうち2024年版での日本の競争力順位は38位と、前年の35位から順位を落としアジア・太平洋地域でも11位(14カ国、地域中)となっている。一人当たりのGDPも35位から39位とランクダウン、さらに驚くべきはOECD38カ国のうち、日本は22位、アジアで7番目に沈んでいる。我々工作機器のユーザーである主要な産業であるロボットの使用率を見ても、かつてロボット大国と言われロボットのリーディングメーカーを抱えロボットの使用率でも世界有数の国だった日本は、しかしながら現在、従業員1万人当たりのロボットの使用台数は400台弱で停滞している。一方、第一位の韓国は、1000数十台と日本の2.5倍程度ロボットが使用されている。日本は、韓国、シンガポール、ドイツに次ぐ4位に位置しているが、2024年の見通しでは5位にいた中国に抜かれ、中国はドイツと日本を抜いて3位に躍進する。あれだけ多くの人口を抱える中国がロボットを多用するのは必然で、そうした成長マーケットではさまざまな産業が伸びていくことになる。日本が再びロボットを多用して、人手不足が叫ばれる現場の課題を解決しなくてはならない中で、ロボットの使用率が低いという現状を大きな課題と認識した上で取り組みを進めるべき。このように化粧されていない真の日本の姿を知ることで、我々がなすべきことが見えてくると思う。当工業会も、こうした状況に即応できるよう取り組みを進めていきたい」と語った。

 寺町会長からは、日本工作機器工業会が本年設立70周年を迎えることから、70周年記念行事を本年5月に東京會舘で盛大に行う予定であることが報告された。

挨拶する寺町会長

 

kat

bmt2025年1月号「特集:自動化支援技術」、「キーテク特集:解析技術」発行!

6ヶ月 1週 ago
bmt2025年1月号「特集:自動化支援技術」、「キーテク特集:解析技術」発行!admin 2025年01日23日(木) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第52号となる2025年1月号が1月27日に小社より発行される。

 今号は「特集:自動化支援技術」、「キーテク特集:解析技術」で構成。特集「自動化支援技術」では、自動化の領域を広げる生産技術サポートの取り組みから、モジュール製品を活用したロボットのカスタム化による自動化支援の取り組み、アプリケーション志向の電動アクチュエータおよびクリーンルーム向け自動給脂装置を用いた自動化・省人化支援、6軸力覚センサソリューションによる自動化の展開、センサ機能搭載のPPS樹脂製ロボットフィンガーなど自動化支援のアクティブプロトタイピングの取り組み、ロボット減速機用グリースの開発動向について紹介する。

 また、キーテク特集「解析技術」においては、様々な問題を多方面にわたりシミュレートすることによって試作や実験の回数を減らすなど、ものづくりでの研究・開発工程の効率を高める解析技術の適用事例として、トライボ化学反応の分子シミュレーションと、混合潤滑の計算について紹介する。

特集:自動化支援技術

◇自動化の領域を広げる生産技術サポートの取り組み・・・Mujin Japan 嶋田 岳史 氏に聞く

◇モジュール製品を活用したロボットのカスタム化による自動化支援の取り組み ・・・THK 星野 京延 氏に聞く

◇アプリケーション志向の電動アクチュエータおよびクリーンルーム向け自動給脂装置を用いた自動化・省人化支援・・・木村洋行 北澤 潤 氏。足立 健太 氏田邊 清名 氏に聞く

◇6軸力覚センサソリューションによる自動化とその先・・・新東工業 永井 兼 氏 に聞く

◇センサ機能搭載のPPS樹脂製ロボットフィンガーなど自動化支援のアクティブプロトタイピングの取り組み・・・DIC 森 耕太郎 氏に聞く

◇ロボット減速機用グリースの開発動向・・・ニッペコ 木村 洋介 氏、 雑賀 光哉 氏 に聞く

キーテク特集:解析技術

◇トライボ化学反応の分子シミュレーション・・・兵庫県立大学 鷲津 仁志

◇混合潤滑の計算・・・トラ研 代表取締役 栫井 邦彦

連載

あるコスモポリタンの区区之心 第22回 アマゾン・インディオと人類の未来・・・紺野 大介

トピックス

JAST、トライボロジー会議 2024 秋 名護を開催
JIMTOF2024 が開催、bmt 関連製品・技術が多数披露
SEMICON Japan 2024 が開催、bmt 関連製品が多数披露

雑誌ご購入

定期購読はこちらから

単号のみのご購入はこちらから(外部サイト)

admin

エボニック、経営のスリム化・差別化を図るため、グループの新体制導入へ

6ヶ月 2週 ago
エボニック、経営のスリム化・差別化を図るため、グループの新体制導入へkat 2025年01日15日(水) in

 エボニック インダストリーズは、新たな組織体制を導入し、大幅にスリム化されたマネジメントモデルに移行する。これまで四つの事業部門内に設置されていたビジネスラインについては、取締役会が直接指揮を執ることになる。今後は、「カスタム・ソリューション(Custom Solutions)」、および「アドバンスド・テクノロジー(Advanced Technologies)」という二つのセグメント体制で事業経営を行い、差別化を図る。

 エボニックは近年、成長性とレジリエンス(強靭性)、そして地政戦略的バランスに重点を置いたポートフォリオを展開してきたが、今回の大規模な組織再編を経て、新たなステップに踏み出そうとしている。

 取締役会長(CEO)のクリスチャン・クルマン氏は、「当社は近年、ポートフォリオの質を大幅に向上させてきた。しかし現在は、スペシャルティケミカルにのみ注力するだけでは会社を前進させるには十分でなくなってきた。その言葉自体、曖昧な意味しか持たなくなり、顧客や資本市場の視点から見ても十分に差別化を行えなくなってしまった。そのため、今後はソリューションとイノベーション主導型ビジネス、およびテクノロジーと効率主導型ビジネスを2本柱に据え、それぞれの強みを生かして経営の差別化を図る。新しいマネジメントモデルは、このアプローチを考慮したものとなっている」と述べている。

 現在、エボニックは、スペシャルティアディティブス、ニュートリション&ケア、スマートマテリアルズ部門として化学事業を運営している。エボニック グループは、2025年4月1日から施行する新体制で、「カスタム・ソリューション」、および「アドバンスド・テクノロジー」という二つのセグメントに組織を再編する予定で、これにより、より明確な戦略的集中と資源配分が可能となり、各ビジネスモデルに応じた事業経営を行い、さらなる差別化を図ることができる。両セグメントは、それぞれ年間約60億ユーロの売上高を計上している。

 監査役会会長のベルント・テニェス氏は、「監査役会は取締役会が打ち出した新たな戦略とグループの構造改革を全面的に支持している。新体制により、エボニックは高い収益性を確保した成長を遂げる可能性を最大限に引き出せると確信している」と述べる。

 カスタム・ソリューションセグメントは、イノベーション主導型のビジネスモデルを特徴としている。特定のニッチ市場で事業を行い、顧客との距離が近く、カスタマイズされたソリューションを展開することで、価格設定の主導権を担っていく。従業員約7000人を擁するこのセグメントは、買収も重要な目標としている。塗料・コーティング用添加剤、化粧品・医薬品業界向けの製品が含まれる。

 アドバンスド・テクノロジーセグメントは効率主導型で、高度な技術的専門知識と卓越したオペレーションを特徴とするため、世界的にも非常に高いコスト競争力を持つことができる。約8000人の従業員を擁する同セグメントには、高機能ポリマーや過酸化水素製品の製造などが含まれる。

 この二つのセグメントは相互に補完し合い、エボニック グループが価値創造を行う上で、どちらも極めて重要な役割を果たします。カスタム・ソリューションセグメントは、成長ドライバーとしての役割を担い、調整後EBITDA(支払利息・税金・減価償却費控除前利益)の成長において、大きな貢献を果たす。アドバンスド・テクノロジーセグメントはまた、より資金供給的な役割を果たし、キャッシュフローを生み出す。またROCE(使用資本利益率)を全事業の主要指標とする。両部門が牽引力となり、エボニックはグループレベルで資金を獲得する。

 同時に、両セグメントを通して、サステナビリティを推進していく。エボニックは、持続可能性に優れた製品、いわゆる次世代ソリューションの占める割合を、2030年までに50%以上に拡大することを目指している。

 エボニックグループの中核をなす事業部は、企業活動の中心となっている。2026年末まで組織構造の改善に取り組む「エボニック・テーラーメイド」プログラムは、長期的に大幅なコスト削減を実現するもので、この原則に則っている。計画段階を経て、今年すでに最初の構造的措置が実施された。これにより、意思決定とプロセスが迅速化され、管理職も大幅に削減される。プログラムの終了時までに、エボニックはグループ全体のマネジメントレベルの階層数を平均10段階から最大6段階までに削減すると同時に、3000以上の組織単位の廃止も行う。

 この取り組みは、新たな組織体制で実施されるスリム化を図ったマネジメントモデルに反映されている。2025年4月1日時点で事業部門(Division)は廃止になり、それに伴う管理業務が完全に撤廃される。新たなセグメント内にそれぞれ集約されるビジネスラインは、取締役会の担当役員によって直接運営が行われることとなる。

 カスタム・ソリューションセグメントは、アメリカ国籍を持ち、現在スマートマテリアルズ部門の責任者を務めるローレン・ケルセン氏が指揮を執り、アドバンスド・テクノロジーセグメントは、フランス国籍で現在スペシャルティアディティブス部門の責任者であるクローディン・モレンコフ氏が統括する。両氏は2025年4月1日付で取締役に就任する予定。

 クルマン氏は、「当社の取締役会はさらに国際色豊かになり、女性の占める割合も高くなる。ローレンとクローディンはリーダーとして既に大きな功績を築いており、取締役会で一緒に仕事ができることを楽しみにしている。力を合わせてより良いエボニックにしていく」と語る。ケルセン氏は、各セグメントの他、イノベーションおよび南北アメリカ地域を、モレンコフは、アジア太平洋地域およびオペレーショナル・エクセレンス(製造拠点の継続的なプロセス改善)を担当する。

 最高人事責任者兼労務担当取締役のトーマス・ヴェッセル氏は、新年度から、パフォーマンスインターミディエイツ事業を含むインフラストラクチャー部門と、技術面でサステナビリティを推進する新たな次世代テクノロジー部門の責任者も兼務する。

 2017年から取締役会副会長を務めてきたハラルド・シュヴァーガー氏は退任する。また、ニュートリション&ケア部門代表のヨハン・カスパー・ガメリン氏、およびパフォーマンスマテリアルズ部門代表のヨアヒム・ダム氏も退任する予定。

kat

BASF PETRONAS Chemicals、マレーシアのクアンタンに2-エチルヘキサン酸の新プラントを竣工

6ヶ月 2週 ago
BASF PETRONAS Chemicals、マレーシアのクアンタンに2-エチルヘキサン酸の新プラントを竣工kat 2025年01日15日(水) in

 BASF PETRONAS Chemicals (BASFペトロナス・ケミカルズ、BPC)は、マレーシアのクアンタンにあるフェアブント拠点(統合生産拠点)おいて、二つ目となる2-エチルヘキサン酸(2-EHAcid)の生産ラインの稼働を開始した。今回の増設は、高品質な2-エチルヘキサン酸に対する需要の急増に直接対応するもので、BPCの重要な地域の顧客に対するコミットメントを改めて示すもの。

 2016年の稼働以来、2-エチルヘキサン酸生産プラントは東南アジア地域の成長を支える重要な役割を担ってきた。第2生産ラインの起工式は2023年第1四半期に行われた。2024年第3四半期現在、この新しい生産ラインはフル稼働しており、年間生産能力を60000tに倍増し、イノベーションを促進して世界中の顧客のニーズの進化に応えるというBPCの姿勢を一層強化している。クアンタンのフェアブント拠点での生産能力増強を祝う落成式には多くの顧客も参加、顧客を第一に考える組織の継続的な取り組みが改めて強調された。

 2-エチルヘキサン酸(2-EHAcid)は合成潤滑剤やオイル添加剤の製造に複合体として使用される化学中間体で、自動車用冷却液などの機能性液剤、塗料乾燥剤用金属塩、可塑剤、安定剤、触媒などの用途で、さまざまな産業で使用されている。BASFはマレーシアのクアンタンにある生産拠点に加え、ドイツのルートヴィッヒスハーフェンにあるフェアブント拠点(統合生産拠点)でも2-エチルヘキサン酸を生産している。

 BASFの取締役会メンバーで最高技術責任者(CTO)のステファン・コートラーデ氏は、「今回の拡張は、利益ある成長と価値創造への我々のコミットメントにおける重要な一歩。新たな戦略の一環として、我々は高成長を遂げるアジア市場におけるコア事業拠点の拡張に取り組んでおり、高品質な製品で顧客のニーズの増大に確実に応えていく」と語っている。

 また、BASFのアジア太平洋地域化学品中間体事業本部のシニアバイスプレジデントであるマイケル・ベッカー氏は、「今回の拡張によって、我々はアジア太平洋地域における高品質な2-エチルヘキサン酸への急速な需要増加に対応できるようになる。生産能力を増強することで、我々は顧客のニーズへの対応力を強化し、市場をリードするサプライヤーとしての地位を確固たるものにしていく。持続可能な中間体を生産するメーカーとして選ばれるパートナーになるというビジョンの実現に全力を尽くす」と述べる。

 さらに、BPCの会長でPETRONAS Chemicals Group Berhadのマネージング・ディレクター兼最高経営責任者であるマズウィーン・イスマイル氏は、「今回の拡張の成功は、我々のパートナーシップが強固なものであり続け、成長と協力に対するコミットメントを共有していることを示すもの。生産能力の増強により、BPCはこの地域の成長機会を戦略的に生かすことができるようになり、我々は工場の将来に大きな期待を寄せている。当社の製品に対する需要が増加の一途をたどるなか、我々は需要に効率的かつ効果的に応えるための十分な設備を整え、顧客に最高品質の製品を迅速に提供できるようにする」と言う。

 BPCのマネージング・ディレクターであるタン・エイク・ミーム氏はまた、「親会社であるPETRONASとBASFとの強力なパートナーシップに感謝する。このプロジェクトを成功させる上で、両社の支援は計り知れないものであり、また、この重要な生産能力増強を実現したプロジェクトチームのすばらしい仕事を讃えたいと思う」と述べている。

クアンタンのフェアブント拠点の第2生産ラインの落成式のようす

 

落成式には多くの顧客も参加

 

kat

SEMICON Japan 2024が開催、bmt関連製品が多数披露

6ヶ月 2週 ago
SEMICON Japan 2024が開催、bmt関連製品が多数披露kat 2025年01日14日(火) in in

 エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2024」が12月11日~13日、東京江東区の東京ビッグサイトで開催され、延べ10万3165人が来場した。

 今回は、変化する半導体~システム全体の設計・検証分野に注目して、現状の課題や次世代の方向性を共有するサミット「Advanced Design and Innovation Summit」(ADIS)が初めて開催されたほか、後工程、パッケージ分野の材料、開発環境、デバイス、製造にフォーカスした第3回目となる「Advanced Packaging and Chiplet Summit」(APCS)や、「半導体と医療」をテーマにした講演と「AI Summit」と題する講演などが行われた。

 半導体製造装置において、3D構造を伴った微細化の進展や、微細化によらず集積度を向上できる3D NANDフラッシュメモリーの高度化などが進む一方で、生産性向上のための高スループット化や、半導体の歩留まり向上のためのコンタミネーションコントロール、ESD対策などが求められる中で、各種のベアリング&モーション技術(bmt)関連製品が多数展示された。

 木村洋行は、採用実績の多い宇宙機器と同様の真空環境、広い温度領域で作動する半導体製造プロセスにおいて幅広く適用されている「ケイドン超薄型ボールベアリング」を展示した。独自軸受設計に加えて、長年の経験に基づく内外輪および保持器の材質や潤滑剤の選定・適用によって高真空下での運転を実現しつつ、希薄潤滑条件でのマイクロパーティクル発生の最小化や腐食性雰囲気への耐性、長寿命化を実現できる。また、SKFが新開発した「クリーン・ドライ環境向け自動給脂システム」を初披露した。クリーンルーム内に設置できる世界初のグリース自動供給システムで、ドイツのフラウンホーファーIPAによりISO 14644-1に基づいて評価を実施し、クリーンルームのクラス4という高い清浄度の認証を取得していて、クリーンルーム内に持ち込んでも全く問題がないレベルの潤滑システムとなっている。クリーンルームの外からプログラミングが可能な自動給脂システムのため、人が立ち入ることによる異物の混入がない。

木村洋行「クリーン・ドライ環境向け自動給脂システム」

 

 THKは、強磁場環境でも高精度で安定した直線運動を実現する比透磁率1.02以下の低透磁率LMガイド「HSR M3形」を初披露した。LMレールとLMブロックに低透磁率材料を使用することで磁場環境下でも製品性能を発揮することができるため、磁場を気にすることなく設計することが可能。MRI装置や各種試験装置などの強磁場が発生する装置でも、HSR M3形を用いることで磁場の影響を受けず、スムースな動きを実現する。40HRC以上の硬度を有しているため、低透磁率材料として知られているSUS 316と比べ大きな荷重を受けることが可能で、LMブロックに作用する4方向(ラジアル方向・逆ラジアル方向・横方向)に対して、同一定格荷重になるよう各ボール列を接触角45°で配置することであらゆる姿勢での使用が可能となり、より幅広い用途に使用できる。

THK「HSR M3形」

 

 ニッペコは、半導体製造装置向け真空環境対応グリース「ロゲネストラムダTKM-03」を紹介した。摩擦抵抗、摩耗、発熱が大きくなる真空中において、潤滑性を保持しつつ、アウトガスの発生が極めて少ない=真空中の気化に伴うグリース基油の蒸発が極めて少ない真空環境対応グリース。基油にフッ素オイルPFPE(パーフルオロポリエーテル)を、増ちょう剤にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を配合し、耐熱性、耐真空性に優れる。グリースからの油の分離度合いを評価する「離油度」が非常に低い値を示しているほか、200℃および250℃で24時間評価した「蒸発減量」でもほぼ気化していない結果となっていて、優れた耐熱性と低アウトガス特性を有する。宇宙環境下のアウトガス試験法として米国航空宇宙局(NASA)が推奨している試験規格(ASTM E595)があるが、ロゲネストラムダTKM-03はASTM E595試験規格に合格し基準値を満たしているため、「宇宙環境(高真空環境)で使えるグリース」であることを訴求した。

ニッペコ「ロゲネストラムダTKM-03」

 

 日本ベアリングは、同社の強みとするスライドウェイ・スライドブッシュを中心に、各種のデモ機をまじえて直動製品を多数展示した。スライドウェイはローラーを使用した非循環方式のクロスローラーガイドで、リニアガイドと比較して①コンパクト設計、②軽く滑らかな動き、③高剛性・高精度の特長があり、半導体製造装置/検査装置/光学機器で主に使用されている。特に従来製品であるSV形の設計を見直し大幅な性能アップを図った新製品「スライドウェイHV形」を紹介。従来品の設計を見直した性能アップ製品で、置換えだけで装置・設備の剛性・耐久性向上やコンパクト化に貢献するほか、微小送りにも正確に追従し、高精度を必要とする光学機器、検査装置などに特に使用されている。真空環境、クリーン環境向けにオールステンレス仕様にも対応が可能。一方、スライドブッシュは丸軸を用いた直動案内で、精密で低摩擦な直線運動が簡単に得られることから、AGVなどの自動機から大型の生産設備まであらゆる用途で使用できる。ブースでは、コンパクトでありながら直線運動と回転運動の両方が可能なスライドロータリーブッシュの活用も提案した。

日本ベアリング「スライドウェイの展示コーナー」

 

 ハイウィンは、「HIWINカスタム真空DDモーター」と「HIWIN 真空対応リニアモーター」を披露した。カスタム真空DDモーターは、高真空10-8 mbarクラスに対応。特殊なパッケージ技術により真空システム内における最適化された放熱設計で、連続高トルク出力を実現する。また、真空対応リニアモーターは、真空用途の低アウトガス要件を考慮した幅広いラインアップを提供。高真空10-8 mbarクラスまで対応するほか、カスタムの磁気シールド設計により磁気干渉を防ぎ、半導体における電子ビームのアプリケーションを安定化させる。

ハイウィン「HIWINカスタム真空DDモーター/HIWIN 真空対応リニアモーター」

 

kat

ロボット関連3団体、2025新年賀詞交歓会を開催

6ヶ月 2週 ago
ロボット関連3団体、2025新年賀詞交歓会を開催kat 2025年01日14日(火) in in

 日本ロボット工業会、製造科学技術センターと日本ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)のロボット関連3団体は1月10日、東京都港区の東京プリンスホテルで「2025年 ロボット関連3団体新年賀詞交歓会」を開催した。

 当日は代表して日本ロボット工業会の橋本康彦会長(川崎重工業社長)が挨拶に立ち、以下のように語った。「2024年を振り返ると、パリオリンピック/パラリンピックでの日本人選手の活躍や、メジャーリーグでの大谷翔平選手の活躍など、スポーツでは明るい話題があった一方で、国内ではちょうど1年前に能登半島の大地震や豪雨災害をはじめとする多くの災害が、そして世界でも多くの災害が発生し、非常に多くの方々が被災した一年だった。また、日本をはじめとする80カ国・地域での選挙が行われ、今後の政治の流動化への不安を抱かせた一年でもあった。一方、長引くロシア・ウクライナ情勢や、ますます複雑化する中東情勢など、地政学リスクがさらに不安定化してきている。国際経済もそれら要因に加えて、中国経済の低迷や欧米でのインフレ圧力などから回復軌道の見直しが厳しい状況となっている。直近の国際通貨基金による世界経済の見直しの中でも、一昨年は3.3%、昨年は3.2%で、今年も3.2%にとどまるという目測もあり、さまざまな懸念を抱いた中での年明けと言える。こうした状況の中、2024年の我が国のロボット産業は上述の中国市場の低迷や世界経済のリスク、さらに米国大統領選挙前の投資の先送りなどの理由から、受注額が対前年比1.6%減の8300億円、生産額では12.3%減の約7820億円と、当初見込みを下回る結果となった。2025年の我が国のロボット市場としては、次期トランプ政権での通商政策や米中摩擦の再燃などの不透明感はあるものの、米国景気の拡大への期待あるいはAIの大規模投資による半導体あるいは電子機器の回復が見られるなど、根強い自動化投資への回復をベースに、受注額は対前年比4.8%増の8700億円、生産額は同6.1%増の8300億円を見通している」と語った。

 

挨拶する橋本会長

 

 続いて、ロボット関連3団体の本年の活動について紹介、特に日本ロボット工業会の活動について以下のとおり紹介した。

 日本ロボット工業会は、業界の活性化をさらに推進すべく、昨年に引き続き、以下の三つの観点から取り組みを進める。

・市場拡大に向けての取り組み:同会では2023年から経済産業省の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の施設管理および食品の2分野におけるロボットフレンドリーな環境構築に必要な研究開発の支援事業に参画しており、本年度がその最終年度に当たるため、その研究成果の普及に努める。また、政府では中小企業省力化投資補助事業での省力化支援において、カタログ注文型に加え、新たに一般型を設けることで、ロボットのシステム設備に対する導入支援が拡充されることとなり、それらの施策を通じてロボットの利用拡大に努めるほか、日本Sier協会をはじめ関係団体との連携を通じて、一層の市場開拓に努める

・イノベーションの加速に向けた産学連携の推進:ロボット分野における国際競争はますます激化しており、グローバル市場における我が国の優位性の確保や潜在市場の顕在化に加え、さまざまな社会課題の解決に向けたロボットイノベーションの加速が急務となっている。その対応に向け、引き続き日本ロボット学会やその他関係諸団体との連携を深めていく

・国際標準化の推進、国際協調・協力の推進:国際標準化については欧米が市場獲得の手段として戦略的に取り組んでいるが、引き続き我が国も官民挙げての取り組みが大変重要になる。特にロボットの国際標準化については、審議しているISO TC299では本年2月に東京会議として五つのWGが開催されることとなっており、国際標準化活動に対してロボットのリーディングカントリーとして引き続き積極的に取り組んでいく。また、国際ロボット連盟を通じた活動ならびに国際交流を積極的に進めていく。加えて本年4月13日~10月13日までの「2025大阪関西万博」の開催に合わせて、同会が2023年度にスタートした2050年に向けてのロボット産業ビジョンの最終版を現在、鋭意取りまとめている。6月4日~6日に「第26回実装プロセステクノロジー展」、12月3日~6日に「2025国際ロボット展」という二つの展示会を東京ビッグサイトで開催する。両展示会を通じて、技術情報の発信とともに、さまざまな分野へのロボットの利活用拡大への意欲を喚起することに加え、市場調査・技術振興等の各事業を意欲的に展開していく

kat