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日本工作機械工業会、2025年の工作機械受注総額は1兆6000億円見込む

6ヶ月 3週 ago
日本工作機械工業会、2025年の工作機械受注総額は1兆6000億円見込むadmin 2025年01日10日(金) in in


 日本工作機械工業会は1月9日、東京都港区のホテルニューオータニで新年賀詞交歓会を開催した。

 会の冒頭、挨拶に立った稲葉善治会長(ファナック会長)は「日本工作機械工業会は、デジタル、グリーン、レジリエンスをキーワードとする取り組みを進め、世界の製造業の進化と発展に大きく寄与することできた。こうした中で日本の工作機械市場は一進一退をしながらも当業界としては比較的高い水準の受注を維持することができ、2024年の工作機械受注総額は1兆4700億円前後に着地したと見込まれる。2025年を展望すると、世界各地の地政学リスクの高まりや国際社会の分断により通商環境はさらに不安定かつ複雑化していくことが懸念される。しかし、このような状況でも世界の産業界において、DXを核とするイノベーションは止まらない。人材不足や人件費高騰に対しては自動化・高効率化で対応し、熟練技能者の減少を補うためには生産設備の知能化、AI機能の開発が考えられる。また、現代社会に求められるデジタル革新、環境性能の向上、生産拠点の多極化などが促進されるなど、近年の工作機械事業を牽引している背景に変化はないと考えられる。2025年の工作機械の需要は当面、底堅くも勢いを欠く展開が続くと思われるが年後半には明るさが増してくると期待している。以上の状況を総合的に判断し、2025年の工作機械受注総額は1兆6000億円と見通している」と述べた。

挨拶する稲葉会長

 また、同工業会の2025年の活動については「前期から取り組んでいるデジタル、グリーン、レジリエンスに加えて工作機械産業ビジョン2030で示された内容を含めて各委員会の活動を展開していく。その一環として、日本流の産学官連携の体制をつくるための議論を進めていく。また、カーボンニュートラル実現に向けた省エネ活動、将来有望な需要産業動向の調査・研究などを推進し、会員各社に共通する協調領域の深化・拡大を引き続き進めていく。さらに、工作機械トップセミナーによる学生へのアプローチ、若い技術者などの育成プログラムの実施などにより少子高齢化時代に対応した人材確保を推進する」とした。

admin

自動車5団体、新春賀詞交歓会を開催

6ヶ月 3週 ago
自動車5団体、新春賀詞交歓会を開催kat 2025年01日09日(木) in in

 日本自動車工業会(自工会)、日本自動車部品工業会(部工会)、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会、日本自動車販売協会連合会の自動車関連5団体は1月7日、東京都港区のホテルオークラ東京で、「令和7年 自動車5団体 新春賀詞交歓会」を開催した。

 当日はまず、片山正則・自工会会長(いすゞ自動車 会長CEO)が挨拶に立ち、昨年12月25日に逝去した鈴木 修氏(スズキ元会長)の半世紀にわたる自動車産業発展への功績を讃えつつ冥福を祈った後、同日発表した「自工会ビジョン2035」について以下のとおり言及した。「現在、自動車産業はカーボンニュートラルやCASE、MaaSへの対応など事業環境がダイナミックに変化している。自工会ではそうした事業環境の中でも、これまで以上に日本経済や地球規模の課題において果たすべき役割を担っていくべく、「モビリティ産業への変革」を目指し、共通の目標を持つ「仲間」を拡げながら社会・生活者を中心に据えた課題解決・価値創造を進めてきた。自工会としても多様な活動を進めていく中で、優先的に取り組むべき課題として、2023年にカーボンニュートラルやDX、国際競争力確保などに関する「七つの課題」を定め、対応している。全ての課題の解決には他産業や政府との連携が必須であり、産業の枠を超えたオールジャパン(官民連携)で取り組んでいる。自工会が七つの課題を含む取り組みを進める中では、さまざまな危機意識が鮮明となり、また産業を取り巻く環境や世界情勢も大きく変化するなど、産業の枠を超えた連携の重要性が一層高まっている。今回策定した「自工会ビジョン2035」は、社会の皆様に、社会と生活者を中心に据えたモビリティ社会の展望など日本の自動車産業が描く未来の姿に理解を深めていただき、希望を共有していただくことを目指して作成したもの。このビジョンには、我々と同じ夢を多くの方々に抱いていただき、産業界がその実現に向け責任を持って取り組むことで、日本をより良い社会にしていきたいという自動車メーカー14社・自工会の思いが込められている」と力強く語った。また、本年10月30日~11月9日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2025」について、「企業だけでなく生活者の皆様など、多くの方々を巻き込んで、ワクワクするモビリティの未来を世界に発信するショーケースにしたい」と意気込みを述べた。
 

挨拶する片山会長

 

kat

東陽テクニカ、自社開発の油中粒子計測器を発売開始

6ヶ月 3週 ago
東陽テクニカ、自社開発の油中粒子計測器を発売開始kat 2025年01日08日(水) in

 東陽テクニカは昨年11月1日、自社開発したコンパクトサイズの油中粒子計測器「PI-1000」(https://www.toyo.co.jp/lp/las/)の販売を開始した。PI-1000は、レーザー遮光法を用い独自の脱泡手法を駆使することで、潤滑油中の粒子の大きさと量を高精度に測定。さまざまな産業で効率的な状態監視を可能にし、コスト削減や省人化、産業インフラの長寿命化に貢献する。

 発売開始に伴い同年11月29日には、PI-1000の「メディア向けレクチャー会」を以下のとおり開催した。
 

メディア向けレクチャー会のもよう

 

 当日はまず、同社 取締役 CTO/技術本部長の木内健雄氏が、軸受やギヤなどしゅう動部品を有する各種インフラ設備(ダム・水門の開閉ポンプ、農業・河川の水量コントロール設備、発電設備など)が、高度成長期からおよそ50年経過してその老朽化が喫緊の課題となっている背景から、無人による安定した潤滑油およびしゅう動部品、さらには設備の状態監視によって効率的な状態監視、予知保全を実現し、コスト削減や省人化、産業インフラの長寿命化に貢献できるPI-1000の概要について紹介した。航空エンジンのオーバーホールのような時間のかかる分解チェックを必要とせず、潤滑油の状態、軸受など可動部の状態を見ることで設備の状態監視が可能になるため、メンテナンス作業の労力軽減やメンテナンス機関の最適化などに貢献でき、サステナブル社会の実現に寄与できることを強調した。
 

PI-1000の概要・開発主旨について説明する木内氏

 

 続いて、ワン・テクノロジー・カンパニー LAS(Lubrication Analysis)ビジネスユニット 統括マネージャーの阿部泰尚氏が、PI-1000の原理や特長について以下のとおり説明した。

 ベアリングやギヤなど可動部を持つ各種設備のしゅうどう部では、摩擦・摩耗の制御を目的にオイル潤滑がなされているが、しゅう動部では部品同士が擦れながら滑り合うため経時的に摩耗が発生し、それにより細かな粒子である摩耗紛が潤滑油中に放出される。

 同社の持つシーズをベースとした新製品の開発とその事業化に取り組む社内カンパニーである「ワン・テクノロジー・カンパニー」は、この潤滑油中の摩耗紛に着目して、機械の状態監視や予知保全につながる油中粒子計測器PI-1000を独自に開発した。

PI-1000の外観:W390mm、H290mm+脚15mm、D285mmのコンパクトサイズ

 

 PI-1000は、潤滑油中の摩耗紛の大きさと量を高精度に捉えることで、軸受やギヤなどのしゅう動部品やオイルの状態を把握し、その交換時期を最適化できる。細かな粒子および非磁性の粒子でも測定可能な「レーザー遮光法」を採用、演算処理機能の内蔵により、常時オイル粘度によって変化する流速を計算しつつ、摩耗粉の油中の落下時間によって摩耗粉の粒径をその場で演算する。振動や熱、濁りといった外的要因に左右されず、μmレベルで粒子の大きさ、量を測定できる(計測粒子範囲:5~150μm)。 
 

PI-1000の粒子計測の概念図

 

 さらに、独自の減圧による脱泡手法(特許申請中)を用いて、摩耗粉と誤認される可能性のある油中の泡(~40μm程度)の誤検知をなくし、数μm単位の高い精度で測定が可能。潤滑油中に放出される粒子のサイズや量によって、部品の状態を判断することができ、部品さらには機械の劣化状態を精確に捉えることができる。

 計測器内に内蔵された演算処理機能によって取得データの劣化がなく、Webブラウザ経由で、手持ちのPCで取得データの表示や計測器の制御、計測条件の入力が可能となる。

 また、本体には小型ポンプを内蔵し給油・排油を自動化しているほか、オプションの「オイル戻しユニット」を用いることで排油を計測対象機器に戻すこと(排油の再利用)も可能なため、無人による安定した長時間の計測を実現できる。

 疲労で放出される摩耗粉の粒径は90μm以上、危険な損傷モードの摩耗粉の粒径は90~130μm以上とされるが、留意すべき摩耗粉の粒径は設備の種類によって、さらには設備の稼働状況によって変わってくる。PI-1000を用いて自社の設備の良好な油中摩耗粉の状態を確認して1μm単位で摩耗粉粒径の閾値を設置できることから、エンジンやギヤの状態を常時監視できる。異常が発生する前にその兆候を捉えることで、例えば洋上風力発電設備においては、これまで人手が必要だったギヤボックスや発電装置などの潤滑油の抜き取り検査を、無人による状態監視で対応できるようになり、潤滑油の適切な交換時期が判断できる。また、自動運転技術が進むさまざまなモビリティの状態監視にも活用できることも見込んでいる。

 同社ではさらに、PI-1000の販売だけでなく、オイル分析・データ分析のコンサルティング業務も実施する。トライボロジー研究開発に長年従事してきた同社技術顧問で東京電機大学教授の松本謙司氏らの知見をもとに、測定データの分析サービスも提供。分析結果から導き出した適切な対応の提案(各装置の良好な潤滑状態=適切な粒径に関するアドバイスなど)も行っていく。

 阿部氏は、「エンジンベンチ、ミッションベンチをターゲットとしていたが、すでに洋上風力発電装置の潤滑油の監視といったインフラ関連や、鉄道車両用ディーゼルエンジン油の監視など、幅広い産業での引き合いが増えてきている」と言う。
 

PI-1000の原理や特長について説明する阿部氏

 

 PI-1000の販売価格は390万円(税別)で、同社では2025年に100台の販売を見込むが、木内氏は「当社では、PI-1000を設備に込み込んで設備状態監視に利用してもらうよう提案を進めており、世の中にある産業設備・インフラ設備がほぼすべて対象となる。潜在的な需要は計り知れない」と語っている。

kat

東陽テクニカ、自社開発の油中粒子計測器を発売開始

6ヶ月 3週 ago
東陽テクニカ、自社開発の油中粒子計測器を発売開始kat 2025年01日08日(水) in

 東陽テクニカは昨年11月1日、自社開発したコンパクトサイズの油中粒子計測器「PI-1000」(https://www.toyo.co.jp/lp/las/)の販売を開始した。PI-1000は、レーザー遮光法を用い独自の脱泡手法を駆使することで、潤滑油中の粒子の大きさと数を高精度に測定。さまざまな産業で効率的な状態監視を可能にし、コスト削減や省人化、産業インフラの長寿命化に貢献する。

 発売開始に伴い同年11月29日には、PI-1000の「メディア向けレクチャー会」を以下のとおり開催した。
 

メディア向けレクチャー会のもよう

 

 当日はまず、同社 取締役 CTO/技術本部長の木内健雄氏が、軸受やギヤなどしゅう動部品を有する各種インフラ設備(ダム・水門の開閉ポンプ、農業・河川の水量コントロール設備、発電設備など)が、高度成長期からおよそ50年経過してその老朽化が喫緊の課題となっている背景から、無人による安定した潤滑油およびしゅう動部品、さらには設備の状態監視によって効率的な状態監視、予知保全を実現し、コスト削減や省人化、産業インフラの長寿命化に貢献できるPI-1000の概要について紹介した。ガスタービンのオーバーホールのような時間のかかる分解チェックを必要とせず、潤滑油の状態、軸受など可動部の状態を見ることで設備の状態監視が可能になるため、メンテナンス作業の労力軽減やメンテナンス期間の最適化などに貢献でき、サステナブル社会の実現に寄与できることを強調した。
 

PI-1000の概要・開発主旨について説明する木内氏

 

 続いて、ワン・テクノロジーズ・カンパニー LAS(Lubrication Analysis)ビジネスユニット 統括マネージャーの阿部泰尚氏が、PI-1000の原理や特長について以下のとおり説明した。

 ベアリングやギヤなど可動部を持つ各種設備のしゅう動部では、摩擦・摩耗の制御を目的にオイル潤滑がなされているが、しゅう動部では部品同士が擦れながら力を伝達するため経時的に摩耗が発生し、表面より細かな粒子である摩耗紛が潤滑油中に放出される。

 同社の持つシーズをベースとした新製品の開発とその事業化に取り組む社内カンパニーである「ワン・テクノロジーズ・カンパニー」は、この潤滑油中の摩耗紛に着目して、機械の状態監視や予知保全につながる油中粒子計測器PI-1000を独自に開発した。

 

PI-1000の外観:W390mm、H290mm+脚15mm、D285mmのコンパクトサイズ

 

 PI-1000は、潤滑油中の摩耗紛の大きさと量を高精度に捉えることで、軸受やギヤなどのしゅう動部品や摩耗状態を把握し、その交換時期を最適化できる。細かな粒子および非磁性の粒子でも測定可能な「レーザー遮光法」を採用、演算処理機能の内臓により、常時オイル粘度によって変化する流速を計算しつつ、摩耗粉の油中の落下時間によって摩耗粉の粒径をその場で演算する。振動や熱、濁りといった外的要因に左右されず、μmレベルで粒子の大きさ、数を測定できる(計測粒子範囲:5~150μm)。 
 

PI-1000の粒子計測の概念図

 

 さらに、独自の減圧による脱泡手法(特許申請中)を用いて、摩耗粉と誤認される可能性のある油中の泡(~40μm程度)の誤検知をなくし、数μm単位の高い精度で測定が可能。潤滑油中に放出される粒子の大きさと数によって、部品の状態を判断することができ、機械全体の性能劣化を早めに把握することができる。

 計測器内に内蔵された演算処理機能によって取得データの劣化がなく、Webブラウザ経由で、手持ちのPCで取得データの表示や計測器の制御、計測条件の入力が可能となる。

 また、本体には小型ポンプを内蔵し給油・排油を自動化しているほか、オプションの「オイル戻しユニット」を用いることで計測用オイルを計測対象機器に戻すこと(排油の再利用)も可能なため、無人による安定した長時間の計測を実現できる。

 疲労で放出される摩耗粉の粒径は90μm以上、危険な損傷モードの摩耗粉の粒径は90~130μm以上とされるが、留意すべき摩耗粉の粒径は設備の種類によって、さらには設備の稼働状況によって変わってくる。PI-1000を用いて自社の設備の良好な油中摩耗粉の状態を確認して1μm単位で摩耗粉粒径の閾値を設置できることから、エンジンやギヤの状態を常時監視できる。異常が発生する前にその兆候を捉えることで、例えば洋上風力発電設備においては、これまで人手が必要だったギヤボックスや発電装置などの潤滑油の抜き取り検査を、無人による状態監視で対応できるようになり、潤滑油の適切な交換時期が判断できる。また、自動運転技術が進むさまざまなモビリティの状態監視にも活用できることも見込んでいる。

 同社ではさらに、PI-1000の販売だけでなく、オイル分析・データ分析のコンサルティング業務も実施する。トライボロジーの基礎研究に長年従事してきた同社技術顧問で東京電機大学教授の松本謙司博士らの知見をもとに、測定データの分析サービスも提供。分析結果から導き出した適切な対応の提案(各装置の良好な潤滑状態=適切な粒径に関するアドバイスなど)も行っていく。

 阿部氏は、「エンジンベンチ、ミッションベンチをターゲットとしていたが、すでに洋上風力発電装置の潤滑油の監視といったインフラ関連や、鉄道車両用ディーゼルエンジン油の監視など、幅広い産業での引き合いが増えてきている」と言う。
 

PI-1000の原理や特長について説明する阿部氏

 

 PI-1000の販売価格は390万円(税別)で、同社では2025年に100台の販売を見込むが、木内氏は「当社では、PI-1000を設備に組み込んで設備状態監視に利用してもらうよう提案を進めており、世の中にある産業設備・インフラ設備がほぼすべて対象となる。潜在的な需要は計り知れない」と語っている。

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ポリプラ・エボニック、耐溶剤分離膜膜が国内最大級のバイオディーゼル燃料の生産工場で稼働開始

7ヶ月 ago
ポリプラ・エボニック、耐溶剤分離膜膜が国内最大級のバイオディーゼル燃料の生産工場で稼働開始kat 2024年12日27日(金) in

 ポリプラ・エボニックの耐溶剤分離膜「PURAMEM®(ピュラメムTM)」が採用先のバイオディーゼル燃料生産工場において順調に量産稼働を開始した。

 2023年にパートナー企業であるRITAとの連携にて、国内大手のバイオディーゼル燃料メーカーであるダイセキ環境ソリューションに採用されたPURAMEM®は、すでに採用前のテスト段階において既存の分離システムに比べ、大幅な生産性向上に成功していた。 今回の量産化でもこの優れた生産性を保持したことにより、年間精製能力は1200kLとなり、蒸留装置の約17倍に相当する。PURAMEM®膜の採用決定後、製造設備への導入、テスト稼働などを経て、無事に立ち上げが完了したもの。

 精製工程にPURAMEM®膜を使用することで、ほとんど全ての不純物の除去に成功し、非常に高品質なバイオディーゼル燃料(FAME=脂肪酸メチルエステル)を精製できる。さらに、蒸留システムを用いないため、熱分解することなく、高収率での製品化が可能。また、膜分離法は燃料を高温処理する必要がなく、危険性もなく安全かつ安価なプロセスとなっている。

 バイオディーゼルは、植物油(または廃食用油)、動物油脂またはリサイクルされたグリースを原料として、エステル交換反応により製造された軽油代替のバイオ燃料で、軽油代替としてカーボンニュートラルの考えに基づき、CO2の排出量を抑制でき、SDGs実践に貢献できる。バイオディーゼルの品質は原料によって異なり、適切な前処理プロセスを行うことが重要。バイオマス資源が少ない日本では、廃食用油は有効な資源として注目されており、回収してバイオディーゼル燃料化する事業は少しずつ普及し始めている。廃食用油を有効にリサイクルするため、食料需給への影響もない。

 ポリプラ・エボニックでは最も省エネで生産性の高いシステムである膜分離によるサステナブルな社会の実現を目指し、パートナー企業とともに将来の持続可能な社会構築に貢献できるよう、今後も展開を進めていく。

耐溶剤ナノろ過膜PURAMEM

 

分離膜による精製処理設備

 

ダイセキ環境ソリューションのバイオエナジーセンター

 

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THK、低透磁率LMガイドの受注を開始

7ヶ月 ago
THK、低透磁率LMガイドの受注を開始kat 2024年12日27日(金) in in

 THKは、強磁場環境でも高精度で安定した直線運動を実現する低透磁率LMガイド「HSR M3形」の受注を開始する。

 同社はこれまで、特殊な環境下での使用に適した「特殊環境用LMガイド」を、豊富な実績のあるHSR形で展開した。最高使用温度を150℃まで向上させた高温用LM ガイド「HSR M1形」、高耐食ステンレス鋼を採用し優れた耐食性を発揮する高耐食LM ガイド「HSR M2形」をすでに上市しているが、今回新たに「HSR M3形」をラインアップした。

 HSR M3形は、磁場の影響を受けにくい低透磁率のLMガイド。LMレールとLMブロックに低透磁率材料を使用することで磁場環境下でも製品性能を発揮することができるため、磁場を気にすることなく設計することが可能。MRI装置や各種試験装置などの強磁場が発生する装置でも、HSR M3形を用いることで磁場の影響を受けず、スムースな動きを実現する。

 HSR M3形の特長は以下のとおり。

・比透磁率1.02以下の低透磁率:構成部品に低透磁率材料を使用することで比透磁率1.02を達成し、磁場環境下でも製品性能を発揮。また、40HRC以上の硬度を有しているため、低透磁率材料として知られているSUS 316と比べ大きな荷重を受けることが可能。

・4方向等荷重:LMブロックに作用する4方向(ラジアル方向・逆ラジアル方向・横方向)に対して、同一定格荷重になるよう各ボール列を接触角45°で配置することであらゆる姿勢での使用が可能となり、より幅広い用途に使用できる

・世界標準を確立したHSRシリーズで低透磁率を実現:高品質、高性能により世界中の多くの機械・装置に使用されてきたHSRシリーズで低透磁率を実現。ロバスト性、負荷能力、高精度、さらに扱いやすさで、長期間にわたり高精度で安定した直線運動を提供

低透磁率LMガイド「HSR M3形」

 

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空スペース、アメリカ・中国で自律分散式転がり軸受の特許権を譲渡、特許権訴訟の証拠集めも

7ヶ月 ago
空スペース、アメリカ・中国で自律分散式転がり軸受の特許権を譲渡、特許権訴訟の証拠集めもkat 2024年12日27日(金) in

 空スペースは、保持器なしで転動体(ボール)同士を非接触にする技術、ADB®(Autonomous Decentralized Bearing/自律分散式転がり軸受)のアメリカと中国の特許権について譲渡先を募集する。

 同社にはこれまで、国内だけでなく海外の企業からもADB特許権の譲渡についての打診があり、国内では主に市販軸受の改造によって2000個余りのADBを販売しているものの、海外企業との取引は少量のサンプル販売に留まっていた。そこで、有効活用がなされていなかったADBのアメリカと中国の特許権について具体的な譲渡額を公示して取引を進めることで、海外ビジネスを推進していく。

 一方で空スペースでは、自動車用高速ターボチャージャー軸受などについて国内で進めているADBの特許権侵害訴訟に関して、米国の譲渡先企業が訴訟相手に証拠開示を請求できる「ディスカバリー制度」などを利用して国内訴訟で有利になるADBの特許権侵害の証拠収集にもつなげたい考えだ。

 ボールが軌道以外と非接触で保持器が不要なADBでは、大別して①省エネルギーと②損傷防止の効果がある。潤滑油の種類や供給方法、軸受の使用状況によって各効果の度合いは違ってくるが、たとえば潤滑油量を1/100に減らせれば省エネにつながり、潤滑油量の削減を1/10程度にとどめれば損傷防止の効果が増す。

 こうしたことからADBは、自動車用高速ターボチャージャー軸受や風力発電用主軸・ピッチ軸受、従来軸受では困難な極低温での使用が可能な液化水素作製の圧縮機・ポンプ用軸受、グリースとシールが不要な海水潤滑軸受(海洋研究開発機構でトルク1/100を確認)、軸受の破損保持器片(金属)混入の恐れがないリチウムイオン電池(LiB電池)製造ライン向け軸受、高温限界を超えるタービンや加熱炉向けの軸受などで適用できることが確認されている。

 例えば自動車用ターボチャージャー用軸受としては、現状すべり軸受が主流のため流体潤滑下で用いられるが、高レスポンス化を目的に転がり軸受に切り替えようとする際には、高速・高温に対応する潤滑や保持器の工夫は避けて通れないが、保持器を持たず潤滑に頼らないADBでは潤滑問題に関するユーザーの負担が減らせる。自動車用ターボチャージャー軸受けではすでに、ADBの特許が使用されていると見られている。

 また、風力発電用主軸・ピッチ軸受については、風力発電装置大手のデンマークVESTAS社の風車の大幅な出力向上と故障減少にADBが寄与した可能性がうかがえる。

 アメリカ・中国でのADB特許権譲受者は、自動車用高速ターボチャージャー軸受など上述の幅広いアプリケーションでの適用が可能な、ADBの当該国での製造・販売・輸出入が可能となる。

 空スペースの河島壯介社長は、「ADBの特許権が無断で使用されていると考えられる自動車用高速ターボチャージャー軸受や風力発電用主軸・ピッチ軸受、LiB電池製造ライン向け軸受について、ADB特許権譲受者がADBの適用を進める中で、譲受者は当該国においてそうしたアプリケーションに関して特許侵害訴訟を起こすことも想定しており、その際に当社は、主に技術内容について可能なサポートをしていく。日本の特許権侵害訴訟では、侵害を訴える場合、その立証責任は特許権者である当社にあって、訴訟相手には特許侵害の証拠集めが要求されるが、訴訟相手に米国のように、訴訟相手が特許権を侵害していないという証拠開示を求めることができず、特許権の侵害を認定するための証拠集めが容易ではなく、特許権侵害行為を放置せざるを得ない『侵害した者勝ち』となるケースが少なくない。今回、有効活用がなされていなかったADBのアメリカと中国の特許について具体的な譲渡額を公示しつつ特許権の譲渡を進めることを通じて、海外ビジネスを推進していく。その一方で、自動車用高速ターボチャージャー軸受など、国内で進めているADBの特許権侵害訴訟に関して、米国の譲渡先企業が訴訟相手に証拠開示を請求できるディスカバリー制度などを利用して、国内訴訟で有利になるADBの特許権侵害の証拠収集にもつなげていきたい」と語っている。

ADB特許権の譲渡概要

 

kat

THK、国内の自社工場にクラウド型スキルマネジメントシステムを展開

7ヶ月 1週 ago
THK、国内の自社工場にクラウド型スキルマネジメントシステムを展開kat 2024年12日26日(木) in

 THKは、OEEOEE(設備総合効率)最大化プラットフォーム「OMNIedgeOMNIedge(オムニエッジ)」 から提供中のクラウド型スキルマネジメントシステム「スキル管理AIソリューション」を自社の日本国内工場に展開する。人財スキルデータを一元管理・可視化し、技能伝承や最適な人員配置の対応を急ぐ狙い。

 スキル管理AIソリューションの展開は、2023年9月に開始した試験研究部門を皮切りに、同社の日本国内の主要7工場を対象としている。スキルや資格、教育計画などのデータを一元化し、技術伝承や多能工化を中心とした人財育成や応援対応、さらには人財交流を中心とした人員の最適配置までを効率化することで、生産部門が近い将来直面するスキルマネジメントの課題解決にいち早く対応する。今後は日本のみならず海外工場へのさらなる展開も視野に入れていく。

 

 スキル管理AIソリューションを展開するTHKの主要7工場の生産部門では、三つの重要課題に取り組んでいる。一つは、同社の成長を支えてきた団塊世代から若手への技術伝承、もう一つは多様な顧客のニーズに応える製品生産を担う多能工の育成。さらに三つ目として、同社がグローバル展開を推進し日本・米州・欧州・中国・アジアほかにおいて現地での生産・販売を一体化した体制を構築していることに伴い、海外拠点で活躍できる人財の育成も最重要課題となっている。このような状況下、従業員一人ひとりの力量を正確に把握し、そのデータを効果的に活用することが不可欠となっている。

 しかしながら、従来使っていた人事系システムの仕様上、生産現場に求められる粒度の細かな力量情報を入力することは難題となっていた。結果として、各工場が独自のフォーマットや判定基準で運用する望ましくない事態となり、従業員のスキルレベルの判定基準も統一されないままに同じスキルレベルでも習熟度が異なってしまい、同一製品を製造する工場間での円滑な人員配置や相互支援が極めて困難な状況にあった。

 こうした背景から生産部門では、工場間で共通した基準によるスキル管理を行い、スキルデータに基づいた計画的な人財育成と戦略的な人員配置を行うために、製造業に特化したスキルマネジメントシステム「スキル管理AI ソリューション」をまずは日本国内の主要7工場から展開することに至ったもの。

スキル管理AIAIソリューションの特長は以下のとおり。

・製造業の現場に特化したスキルの一元管理と可視化:技術者や技能者のスキル、資格、教育記録などを一元管理して、組織全体のスキル総量を可視化。 また、スキルの評価や記録、分析に特化されており、粒度の細かな力量情報を一元管理し、視覚的に把握することが容易なほか、人事系システムとも連携させることで、異動や部署名の変更情報などをリアルタイムにスキルマップに反映させることが可能

・時系列で技術やスキルの喪失リスクを可視化し、計画的に人財を育成:人財育成では、分析機能で強化・喪失スキルを特定した上で育成計画を立案し、多能工化や技能伝承を促進。 また、55年後、1010年後といった中長期的な視点で、組織全体の技術・スキルの喪失リスクの可視化ができるため、重要度に応じて優先順位に基づいた計画的な技術伝承が実現可能

・日本国内や海外の拠点を横断したスキルの一元化・可視化による人財育成・人員配置:各生産拠点において、統一された基準とフォーマット(力量カテゴリーや力量名、レベルなど)でスキル管理を実施することで、工場間の連携が容易に行える。具体的には、多能工化、技術伝承、人財交流など、従来は個別に実施していた人財マネジメントをより戦略的なアプローチで行うことが可能。THKが展開するOEEOEE(設備総合効率)最大化プラットフォーム「OMNIedgeOMNIedge」の部品予兆検知AIAIソリューションやメンテナンス統合管理システムとも連携することで、例えば設備の異常を検知したら、スキルデータを元に最適な人財がレコメンドされ、システム上から保全業務をアサインすることも可能

OEE最大化プラットフォーム「OMNIedgeOMNIedge」の部品予兆検知AIAIソリューションとメンテナンス統合管理システムとの連携イメージ

 

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ジェイテクト、コンパクト電子制御カップリングを新開発

7ヶ月 1週 ago
ジェイテクト、コンパクト電子制御カップリングを新開発kat 2024年12日26日(木) in in

 ジェイテクトは、SUBARUの「クロストレック e-BOXER(ストロングハイブリッド)」向けに、コンパクトな電子制御カップリング「オイル共用式ITCC🄬」(ITCC:Intelligent Torque Controlled Coupling)を新開発した。

オイル共用式ITCC

 

 ジェイテクトでは四輪駆動車の前後の駆動力配分を電子制御によってシームレスに調整し、車両の優れた運動性能と高い燃費性能の両立に貢献する製品であるITCCを1998年から手掛けている。その開発で培った電子制御技術や摩擦制御技術、材料技術はジェイテクトグループのコンピタンスの一つとなっている。

 e-BOXER(ストロングハイブリッド)がもつ「走りの愉しさ」と「ハイブリッドならではの環境性能」の高次元での両立に寄与するソリューションとして、今回のITCCを開発し、これにより安全・安心なモビリティ社会の実現に貢献する。

 開発品の特長は以下のとおり。

・e-BOXER(ストロングハイブリッド)向けに、トランスミッション内へ搭載可能なオイル共用式ITCCを開発。これにより、従来品と比較して全長を約25%短縮のコンパクト化を図りつつ、ITCC内クラッチの潤滑を最適設計することにより、クラッチの放熱性を高め、耐久性を向上

・オイル共用式構造の採用により、トランスミッションとITCCでのオイル総使用量を削減し、環境負荷を低減
と走行性能の向上を実現した

・ITCC内部部品の最適化により、エンジンからの駆動力を瞬時に伝達し、あらゆる路面状況において、優れた走行安定性と心地よい加速性能を発揮し、ドライバーに幅広いシーンで走りの愉しさを提供

従来品と開発品のITCC搭載位置比較

 

従来品と開発品のITCC構造比較

 

kat

ジェイテクト、欧州ニードルローラーベアリング事業を再編

7ヶ月 1週 ago
ジェイテクト、欧州ニードルローラーベアリング事業を再編kat 2024年12日26日(木) in

 ジェイテクトは、第二期中期経営計画で掲げるグローバル体制再構築の一環として、欧州においてニードルローラーベアリング(NRB)の製造販売を行う連結子会社3社(譲渡対象会社)を含むNRB事業の譲渡に向けて、ドイツの金融投資会社であるAEQUITAと基本合意した。

 譲渡対象会社は、ドイツ拠点のJTEKT BEARINGS DEUTSCHLANDと、フランス拠点のJTEKT BEARINGS FRANCE、チェコ拠点のJTEKT BEARINGS CZECH REPUBLIC。

 本基本合意は、プットオプション契約と呼ばれるもので、本プットオプション契約に基づき、AEQUITAは、本譲渡について確約するものです。フランスの法令に基づき、譲渡対象会社の一つであるJTEKT BEARINGS FRANCEは本譲渡において従業員代表機関との協議が義務付けられており、当該協議の終了後に、JTEKTとAEQUITAグループとの間で株式譲渡契約を締結する見込み。

 ジェイテクトは、2024年度から2026年度の第二期中期経営計画において、グローバル体制の再構築による経営・事業体制の強化を進めている。欧州市場においては事業の整理・統合を進め、収益体質の改善により、黒字化を目指している。

 今後もジェイテクトは、各地域の市場環境に応じた最適な戦略と事業編成によって、体質改善を進めるとともにお客様のニーズに応えるソリューションを提案していく。
 

 

kat

ジヤトコ、CVT油の性能を回復する添加剤を開発

7ヶ月 1週 ago
ジヤトコ、CVT油の性能を回復する添加剤を開発admin 2024年12日26日(木) in in

 ジヤトコ( http://www.jatco.co.jp/ )は、自動車の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)で使用される潤滑油(CVT油)の性能を回復する添加剤を新たに開発した。

開発した添加剤

 今回開発した添加剤は、現在使用中のCVTやハイブリッド(HEV: 北米/中国などで販売しているCVTタイプのHEV)のCVT油に追添して使用する。これにより、湿式クラッチの締結・解放時のショック改善や、湿式クラッチの耐久性がCVT油全交換時と同等レベルまで回復する。また、本剤は、繰り返し使用することができる。

添加剤の効果(湿式クラッチμ値が改善)

 同社のCVTで使用するCVT油はライフで保証しており、交換の必要はない。そのため、対象は従来CVT油の交換をしていた顧客(商用車やタクシーなど長距離を走行する顧客)になる。 本剤の使用により、低コストかつ短時間でCVT油の性能をCVT油全交換時同等レベルまで回復できるだけでなく、CVT油全交換時と比べ廃油量を約90%低減できる。

 本剤におけるCVT油性能を回復させる技術は、低炭素・循環型社会の実現に向けて有効な手段であり、持続可能な社会の実現にも貢献する。

admin

NTN、ベアリングのなめらかな回転をダンスで表現した動画を公開

7ヶ月 1週 ago
NTN、ベアリングのなめらかな回転をダンスで表現した動画を公開kat 2024年12日26日(木) in

 NTNは、学生をはじめとするより多くの層に同社を知ってもらう目的で、主力商品であるベアリングのなめらかな回転をダンスで表現した動画を制作し、YouTubeに公開した。


 
 ブレイキンは、国際スポーツ大会にも正式種目として採用され世界中で人気を集めているダンススポーツで、アメリカ・ニューヨークのストリートから始まった、音楽に合わせてダンスを競うスポーツ。

 動画では、NTNの社員、はたまた謎のダンサーである、風変わりすぎるクマ(Bear)が、世界トップクラスのシェアを誇るNTNのベアリングのなめらかな回転をダイナミックかつ華麗なダンスで表現。

 以下のNTN YouTubeチャンネルで閲覧できる。

チャレンジするクマ(Bear)!/ブレイキン編(15秒)
https://youtu.be/Q9WFqIu9xTE

チャレンジするクマ(Bear)!/ブレイキン編(30秒)
https://youtu.be/RKAt0d6Fiio
 
 

 

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東京理科大学トライボロジーセンター、コンパクトサイズのオシレーション摩擦摩耗試験機1号機を設置

7ヶ月 1週 ago
東京理科大学トライボロジーセンター、コンパクトサイズのオシレーション摩擦摩耗試験機1号機を設置kat 2024年12日23日(月) in

 東京理科大学トライボロジーセンター(センター長:佐々木信也 教授)は先ごろ、ドイツOptimol(Optimol Instruments Prüftechnik)社の日本総代理店であるパーカー熱処理工業(https://srv-pnk.jp/)の協力のもと,コンパクトサイズのオシレーション摩擦摩耗試験機「ETS(Easy Tribology Screener)」1号機を設置した。表面改質や潤滑油剤、材料などさまざまなトライボロジー試験で活用していく予定だ。

 ETS は、摩擦摩耗試験機大手のOptimol社が開発・製造した、簡単・スピーディーにトライボロジー評価試験が行える入門機。荷重は最大300Nであるが,コーティング薄膜や潤滑油・グリースなどのスクリーニング評価には十分な仕様となっており,試験中の摩耗進行や薄膜隔離などをオンライン計測できる点に優位性がある.また,ETSはトレーニングがほとんど必要なく、簡単かつ直感的に操作できるため、納入初日から高品質な試験結果が得られる。主な仕様は,荷重1~300N、摩擦係数0.001~0.5、ストローク0.01~3.00mm、速度10~70Hz、RT~200℃、オンライン摩耗量測定の分解能は0.1μm(最大2mm)である。

 トライボロジーセンター長の佐々木教授は「センターでは,さまざまなトライボマテリアルや潤滑剤について,ナノレベルでの現象解明からマクロな実用部品評価まで,幅広いトライボロジー研究を行っている。ETSは搭載された静電容量ギャップセンサーによってオンライン摩耗量測定が可能なことに特徴があり、DLCなどの薄膜や改質表面などの密着性や耐摩耗性の評価において,国際的な標準試験機としての普及が期待される」と語る。

 パーカー熱処理工業では、佐々木研究室でETSを活用した研究内容や確認されたETSのメリットなどを検証しながら、ETSの販売促進につなげていく。 
 

トライボロジーセンターに導入されたETS

 

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東京理科大学・佐々木研究室、第26回トライボサロンをハイブリッド開催

7ヶ月 1週 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第26回トライボサロンをハイブリッド開催kat 2024年12日21日(土) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://tribo-science.com/salon)の第26回目が12月21日、東京都葛飾区の葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。
 

開催のようす

 

  トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。

 第26回目となる今回のトライボサロンでは、「摩耗の声を聴く~師との出会いと研究を振り返りながらAEセンシングの基礎から応用まで~」のタイトルで、埼玉工業大学の長谷亜蘭氏を講師に話題提供が行われた。

 講演では、和田正毅氏ならびにAE(アコースティックエミッション)研究との出会い、笹田 直氏ならびに摩耗研究との出会い、三科博司氏ならびに摩擦面in situ観察との出会いなど、恩師との出会いに伴う新たな研究・知見への出会いについて振り返るとともに、微視的な変形・破壊現象の情報をバスタブ曲線の初期故障期から検知(振動増大の4時間前に異常信号を検知)可能で、なじみの過程も把握できるAEセンシングの原理やメリットについて解説。AEセンシングによる摩耗現象の切り分け(周波数解析により、高周波:凝着摩耗、低周波:アブレッシブ摩耗などを切り分け)が可能な「摩擦・摩耗-AE相関図」を作成しアップグレードを進めていることや、最近の研究として、AEセンシングによる工具刃先状態(構成刃先)の監視や、超小型精密旋盤におけるデュアルAEセンシング研究(工作機械の加工状態監視と予知保全)、マルチAEセンシングによる摩擦面全域のトライボロジー現象可視化と摩耗診断の高度化、AEセンシングを用いたブレーキ材・パンタグラフの性能評価、AEセンシングによるブレーキ異音の評価、AEセンシングによる水中植物の動態監視、AE法によるボールペンの書き味評価、AEセンシングによる食品テクスチャの評価:「触感評価AE信号-食感マップ」の作成、などを紹介した。

 なお、トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://tribo-science.com/salon

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bmt主催 講演会・交流会「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」

7ヶ月 2週 ago
bmt主催 講演会・交流会「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」 in kat 2024年12日19日(木) in

 メカニカル・テック社 bmtベアリング&モーション・テック編集部は2025年3月28日、東京都・八重洲で講演会・交流会「カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」を開催します。

 本講演会では、電動車や風力発電装置など、カーボンニュートラル(CN)実現に向けて需要が高まる機械システムにおいても、引き続き重要な役割を果たすと見られる歯車システムへに関する技術課題と、軸受や潤滑油剤といったトライボロジー技術を中心とするソリューションについて、第一線でご活躍の講師の方々にご講演をいただきます。新分野でのビジネスのヒントとなるよう、人材交流の場としてご活用いただけるよう、皆様のご参加をお待ちしております。

主催:株式会社メカニカル・テック社 『bmtベアリング&モーション・テック』編集部

コーディネーター:東京理科大学 教授 佐々木 信也 氏

開催日時:2025年3月28日(金)

講演会:13時30分~17時(開場:13時)

交流会:17時~19時

会場:TKP東京カンファレンスセンター8階 ホール8E(東京都中央区八重洲1丁目8-16)

参加費用:37, 730円(税込み、資料代、交流会参加費含む)

プログラム(予定) ※各講演後に5分間の質疑応答を予定しております

・13:30~14:05 「総説:カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー」東京理科大学 教授 佐々木 信也 氏

・14:10~14:45 「自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI)の考えるカーボンニュートラルシナリオとギヤなど機械要素・潤滑技術への期待」日産自動車㈱ パワートレイン・EV技術開発本部 太田 義和 氏

・14:50~15:05 機械要素・潤滑関連の計測評価メーカーによるショートプレゼン①

・15:20~15:55 「洋上風力発電における機械要素・潤滑技術への期待」 (一社)日本風力発電協会 技術部会長 戸田建設㈱ 洋上風力技術部 松信 隆 氏

・16:00~16:15 機械要素・潤滑関連の計測評価メーカーによるショートプレゼン②

・16:20~16:55 「電動車用トランスアクスルの技術課題と電動車用超低粘度トランスアクスルオイルの開発」 トヨタ自動車㈱ パワートレーン先行製品開発部 先行基盤開発室 グループマネージャー 床桜 大輔 氏

・17:00~19:00 交流会

【お申し込み方法】

以下の受付フォームよりお申し込みください。

お申込みはこちらよりお願いいたします(googleフォーム)。 

問い合わせ先
株式会社メカニカル・テック社 TEL:03-5829-6597 E-Mail:info@mechanical-tech.jp

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エボニック ジャパンと樋口商会、第1回技術交流会を開催

7ヶ月 3週 ago
エボニック ジャパンと樋口商会、第1回技術交流会を開催kat 2024年12日06日(金) in

 エボニック ジャパンと樋口商会は11月13日、東京都港区の樋口商会本社において「EVONIK・樋口商会 技術交流会」を共同開催した。当日は、潤滑油専業メーカーなどを中心に約20社、40名が参加した。

 今回が初の試みとなった同イベントには、潤滑油専業メーカー各社の技術・購買・営業担当者などが参加し、講習会と懇親会を通じて技術交流を深める機会となった。

 まず始めに、エボニック ジャパン オイルアディティブス部 部長の本間美穂氏が「EVONIKの会社概要およびサスティナビリティ」について講演。続いて、「VII、PPDの基礎知識、櫛型ポリマー概要(+JASO GLV2エンジンオイル規格関連)」、「高粘度指数油圧作動油規格(JCMAS HKK)の概要」、「アジア地域のマーケット情報」についてなど、各講演者がさまざまなテーマを紹介した。講演では、エボニック ジャパンの環境への取り組みや商品基礎知識、最新規格動向、海外市場トレンドなど、潤滑油業界において関心が高い内容が取り上げられた。

 講習会の終了後には懇親会が開催され、参加者たちは講習内容に関する議論や潤滑油業界における共通の課題などについて話し合い、親睦を深めた。

講習会の開催のようす

 

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JAST、トライボロジー会議 2024 秋 名護を開催

8ヶ月 ago
JAST、トライボロジー会議 2024 秋 名護を開催kat 2024年11日28日(木) in

 日本トライボロジー学会(JAST)は10月31日~11月1日、沖縄県名護市の万国津梁館で、「トライボロジー会議 2025 秋 名護」(実行委員長:九州大学・澤江義則氏)を開催した。会期中は約650名が参加した。

実行委員会の集合写真:会場の万国津梁館にて

 

 今回は、「機械要素」、「潤滑剤」、「分析・評価・試験方法」、「メンテナンス」、「摩耗」、「加工・製造技術」、「摩擦」、「表面・接触」、「表面処理・コーティング」、「バイオトライボロジー」、「流体潤滑」、「マイクロ・ナノメカニズム」、「疲労」、「境界潤滑」、「トライボケミストリー」、「摩擦材料」、「シミュレーション」のテーマによる一般講演と、「ヤングトライボロジストシンポジウム」、「カーボンニュートラルに挑む自動車のトライボロジー技術の最前線」、「電動車用潤滑油最前線―EV、HEV用潤滑油の現状と今後の展開―」、「工作機械におけるトライボロジー技術の応用」、「炭素系硬質薄膜の潤滑油中・真空中におけるトライボロジー特性」、「高分子材料のトライボロジー技術の最前線」、「5th Japan-Korea Tribology Symposium: Automotive Tribology」、「水素エネルギーとトライボロジー」、「転がり疲れ研究の最前線」、「シールにおけるトライボロジー技術」のテーマによるシンポジウムセッションで、全305件の発表がなされた。

一般講演のようす

 

シンポジウムセッションのようす:水素エネルギーとトライボロジー

 

 また、31日には特別講演会が開催され、沖縄科学技術大学院大学(OIST)神経計算ユニット 教授の銅谷賢治氏が「楽しい大学のつくり方~OISTで拓く脳とAI研究~」と題して、また、沖縄美ら島財団総合研究所 琉球文化財研究室 室長の幸喜 淳氏が「首里城美術工芸品の現状とこれから~修理と人材育成~」と題して、それぞれ講演を行った。

特別講演のようす:幸喜 淳氏


 同日に開催された「懇親会」では冒頭、沖縄の伝統芸能であるエイサーと獅子舞のパフォーマンスが行われた。

エイサーと獅子舞のパフォーマンス


 続いて挨拶に立った江上正樹JAST会長(NTN)は、「先日テレビで、沖縄から世界に向けて、三線、エイサー、獅子舞、棒術のパフォーマンスを発信する番組を観た。その際には遠い国の話のように感じていたが、いま舞台を見て、また本日の特別講演を聞いて、沖縄を非常に身近なものに感じている。これもひとえに、今回、名護でのトライボロジー会議の開催を実現させた実行委員各位の尽力、知恵と工夫の賜物で、これだけ多くの参加者を動員し、集まれる場を作ってもらったことに感謝したい。トライボロジー会議も明日一日を残すのみとなったが、新しく出会った方々や旧知の方と酒を酌み交わして、ぜひ明日の活発な議論につなげてほしい」と語った。

挨拶する江上正樹JAST会長


 続いて、澤江義則 トライボロジー会議 2024 秋 名護 実行委員長は、「先週、沖縄に台風直撃の予報が出た時には実行委員長を引き受けたことを後悔したものだが、各位の尽力と支援のもと、300件を超える講演があり、650名近くが参加するなど、トライボロジー会議を無事に成功裡に開催することができて、非常に喜んでいる」と挨拶し、乾杯した。

挨拶する澤江義則 実行委員長


 懇親会ではそのほか、次回以降のJAST主催イベントの案内として、2025年5月26日~28日に東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催予定の「トライボロジー会議 2025 春 東京」と、2025年10月8日~10日に北海道函館市の函館アリーナで開催予定の「トライボロジー会議 2025 秋 函館」について、開催概要や見どころなどがそれぞれ紹介された。

 会期中は「企業技術・製品展示コーナー」が設けられたほか、出展企業数社による製品PRやサービスについての企業プレゼンテーション(ランチョンセミナー)が実施された。

企業技術・製品展示コーナーのようす

 

企業プレゼンテーション(ランチョンセミナー)のようす:東陽テクニカ

 

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JIMTOF2024が開催、bmt関連製品・技術が多数披露

8ヶ月 ago
JIMTOF2024が開催、bmt関連製品・技術が多数披露kat 2024年11日28日(木) in in

 世界最大級の工作機械見本市「JIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)」(主催:日本工作機械工業会(日工会)/東京ビッグサイト)が11月5日~10日の6日間にわたって、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。

 JIMTOF2024は、東京ビッグサイト全館を利用して総展示場面積11万8540m2で開催、中国、台湾、ドイツ、スイス、韓国、米国など19カ国・地域の企業・団体が出展した。合計出展者数は1262社/5743小間と、2022年に開催した前回JIMTOF2022に比べ175社/125小間増え、60年以上の歴史で最大規模の開催となった。

 ここでは、工作機械の高精度化や大型部品加工に対応する大型化、周辺機器を取り込んでの自動化といったトレンドに対応するベアリング&モーション技術(bmt)関連製品・技術の一端を紹介する(掲載は50音順)。

 イグスは、工作機械業界向けにエンジニアリングプラスチック技術を活かしたケーブル保護管「エナジーチェーン」や可動ケーブル「チェーンフレックス」、すべり軸受、リニアガイドなど幅広い可動部品向け樹脂(モーション・プラスチック)製品を紹介した。中でも新製品として、磁石でエナジーチェーンを金属製の壁に保持できる「マグスナップ エナジーチェーン」を紹介した。長い吊り下げ走行で、スペースに制限がありガイドチャンネルによるガイドが不可能な場合に使用できる。磁石がエナジーチェーンを定められた方向に保持し、システムの金属面に固定することで、エナジーチェーンの揺れを防ぐ。磁石がエナジーチェーンの外周半径を「RBRガイドチャンネル」に保持することで、エナジーチェーンを安全かつ静かに動かすことができるため、垂直の回転動作(RBR)にも最適。また、機械や設備などの画像からAIが無潤滑化による環境負荷の低減やコストカットにつながるモーション・プラスチック部品を提案するアプリ「igusGO(イグスゴー)」も提案した。

イグス 「マグスナップ エナジーチェーン」


 NTNは、工作機械主軸用グリース潤滑高速軸受と同軸受向け樹脂保持器、グリース、給油ユニットなどを披露した。工作機械主軸用グリース潤滑軸受向け保持器は、グリース潤滑軸受用の成形樹脂保持器として業界最高水準の高速回転性能となるdmn値(ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1))で135万を実現する。また、工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けの高速・長寿命グリースは、業界最高水準となるdmn値190 万の高速回転に対応する。さらに、グリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニットは、グリース潤滑軸受の高速回転時の課題であるグリースの劣化を抑制し、高速回転領域であるdmn値190万におけるグリース潤滑軸受の採用を可能にする。

NTN「工作機械主軸用グリース潤滑高速軸受」


 黒田精工は、精密平面研削盤で培った技術を生かした新商品として、精密ロータリー研削盤「GSR-600」を展示した。独自の油動圧とベアリングを組み合わせた高精度テーブルを有し、優れた操作性、さまざまなアプリケーションの対応で高精度な加工を容易にする。また、精密平面研削盤「GS-126CVs」を紹介。高効率加工を実演するウルトラファイルバブルをはじめとしたオプションを搭載し、省エネ、省スペースを両立した環境対応モデルとなっている。さらに、従来の段取り時間を80%削減できる精密油圧治具「ハイドロリックツール」を紹介した。時間のかかる「芯出し作業」を誰でも簡単に実現する精密油圧治具で、ブースでは、精密減速機、半導体市場に向けた用途別の対応例を多数展示。自動化提案としては、そのハイドロリックツールと協働ロボットを搭載した精密成形平面研削盤「GS-45Vs」を披露、加工から測定までを高精度に自動化できることを訴求した。

黒田精工 「ハイドロリックツール」


 ジェイテクトは、グリース潤滑での高速回転に対応した、工作機械主軸用軸受「ハイアビリーJFASTTM」を紹介した。消費電力の大きいオイルエア潤滑に置き換わるグリース潤滑によって、カーボンニュートラルに貢献できる。グリース潤滑用に最適設計したPEEK樹脂製の保持器を採用した、高速性と低昇温性に優れた工作機械主軸用軸受で、アンギュラ玉軸受では、世界初のグリース潤滑でdmn値180万を達成(同社調べ)。軸受の昇温は従来品比約30%低減し、グリース寿命は約20%向上した。円筒ころ軸受では、グリース潤滑でdmn値150万を達成。軸受の昇温は従来品比約40%低減し、グリース寿命は約20%向上した。この二つの軸受を採用することで、#40サイズで20000min-1の回転が可能な主軸を提案。これにより、主軸の潤滑方式をオイルエア潤滑からグリース潤滑へ置き換えることができ、主軸エア消費量をオイルエア潤滑に比べて約60%削減できる。
 

ジェイテクト「ハイアビリーJFAST アンギュラ玉軸受」


 THKは、人財スキルデータをクラウド上で可視化し教育計画の立案から進捗管理もできる「OMNIedge スキル管理AIソリューション」を紹介した。OMNIedgeに集約された設備保全データやセンサーデータに、「Skillnote」が管理する人財スキルデータを統合することで、生産設備を扱う人財のアサイン最適化と、データに基づいた戦略的な人財育成ならびに設備保全計画の立案を支援するもの。どの設備を、誰が、どの程度、操作や保全できるかといったスキルデータを設備保全データと組み合わせ、より包括的な管理とデータ活用を可能にするサービスで、これによって設備と人に起因するロスを低減し、OEE(設備総合効率)の最大化に貢献する。また、ISO規格準拠寸法の超低ウェービング ボールリテーナ入りLMガイド「SPH形」を初披露した。8条列構造と小径ボールを採用することで直動案内トップクラスの超低ウェービングを実現。これにより、測定精度の向上や位置決め精度の向上、加工面品位の向上に寄与し、ナノメートルオーダーの運動精度が求められる分野にも対応が可能となる。

THK「OMNIedge スキル管理AIソリューション」


 日本エスケイエフは、軸受、潤滑システム、シール、エンジニアリングサービス、状態監視装置など、工作機械における回転機械の性能を最適化するさまざまなソリューションを紹介した。工作機械用軸受では、新熱処理、内部構造の最適化、新保持器などを採用して最大20%の高速化を実現した「ウルトラファスト・シリーズ」と、高速・高荷重の過酷なニーズに応じてテーラーメイドで設計される「エクストリーム・プラットフォーム」を初披露した。また、エアレス潤滑を可能にする、高精度・極微少量オイル計量装置「インジェクションオイラー」を紹介。厳しい用途に対応して自由な形状・素材・寸法で切削加工により製造し1個単位で提供可能な「切削加工シール」については、耐クーラント特性や耐摩耗性の高いターンテーブル回転機構部用シールや耐久性や信頼性の高いターンテーブルブレーキ機構部用シールなどに適用できることを訴求した。

日本エスケイエフ「切削加工シール」


 日本トムソンは、潤滑部品Cルーブ内蔵のリニアローラウェイスーパーX「MX Master Grade」を披露する。標準の超ロングユニットに対して脈動を大幅に低減し、高精度で高品位な加工が要求される超精密加工機などの軸案内に最適な製品であることをアピール。会期中は、初出展のデモ機を展示した。また、従来のニアローラウェイスーパーXに対して、ローラー寸法の変更やローラー幅(長さ)方向の押さえ構造の変更などを行い、低脈動の頂点である「走行振れ0」に挑戦したコンセプトモデル「次世代リニアローラウェイスーパーX  ZERO」も披露。さらに、カーボンニュートラルに向けたエコプロダクツの提案として、Oil MinimumをキーワードにCルーブ・メンテナンスフリーシリーズや液晶潤滑シリーズを紹介、調達時の大幅なCO2削減が図れることを訴求した。

日本トムソン CルーブリニアローラウェイスーパーX「MX Master Grade」


 日本ベアリングは、同社の強みとする、スライドウェイ・スライドブッシュを中心に直動製品と、それらを使ったデモ機を多数展示した。スライドウェイはローラーを使用した非循環方式のクロスローラーガイドで、リニアガイドと比較して、①コンパクト設計、②軽く滑らかな動き、③高剛性・高精度の特長があり、半導体製造装置、検査装置、光学機器で主に適用されている。特に新開発の高剛性・高負荷容量・コンパクト化を実現したスライドウェイ「HV形シリーズ」では、従来品と比べ許容荷重・定格寿命距離が向上。従来品のSV形シリーズと完全互換性があるため、置き換えだけで装置・設備の耐久性向上に貢献し、同等性能でサイズダウンとコンパクト化が可能となる。腐食しやすい箇所でも十分に性能を発揮するオールステンレス仕様もラインアップしている。同社ブースでは、スライドウェイを使ったことがない来場者にも分かりやすいように、製品の特長や使い方を説明したパンフレットを用意しているほか、直動製品の具体的な使用方法や設計のヒントになるよう、製品活用事例集やデモ機も配置した。

日本ベアリング「スライドウェイシリーズ」


 日本精工は、工作機械向け低フリクションボールねじ「MT-Frix™」を披露した。独自の解析技術でボールと溝の接触状態を高精度に解明して内部仕様を最適化し、寸法はそのままに、剛性を維持しながら動摩擦トルクを低減。これにより、大幅な低発熱化を実現し、工作機械の高い位置決め精度を維持するとともに省エネルギーに貢献する。また、工作機械主軸用精密単列円筒ころ軸受「ロバストライド™(ROBUSTRIDE™)」を紹介。電力消費量が少ないグリース潤滑方式におけるグリース寿命と許容回転数の向上により、軸受の長寿命化と高速化を実現。軸受の交換頻度の低減や、使用回転速度域の拡大など、工作機械の生産性向上に貢献する。さらに、設備診断エキスパートが支援する「状態監視ソリューション」を紹介。ユーザーの重要な設備における保全の最適化、省人化、製品品質の改善など、ものづくりDXを実現。高度診断AIと経験豊富な診断エキスパートによる遠隔監視が可能となる。

日本精工 工作機械向け低フリクションボールねじ「MT-Frix」


 ハイウィンは、日本初出展製品として、トルクモーターロータリーテーブル「RAB630」を披露した。同社のロータリーテーブルはゼロバックラッシュ・ダイレクトドライブ(DD)方式で豊富なラインアップが特長。RAB630は最高回転数 1000min-1、5軸同期加工を可能にする高速型で、航空宇宙部品や医療、EV等の産業における需要急増に応える、高い加工効率と精度を実現。特にフライス加工や複合旋盤の進化に貢献する。また、スマートマニュファクチャリングに貢献する状態可視化システム搭載の直動製品「i4.0シリーズ」を紹介する。温度や振動の異常検知、機器の寿命予測を可能にし、チョコ停を予防することで高い生産効率を維持するほか、スマート潤滑機能により給油量を適切に減らすことで、環境負荷の低いものづくりを後押しする。ボールねじi4.0BS®のほか、半導体業界で活躍するリニアガイドウェイi4.0GW®、モジュール設計でスマートな生産管理を推進するi4.0単軸ロボットを展示した。

ハイウィン「i4.0シリーズ」

 

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TRAMI、第7回公開フォーラムを開催

8ヶ月 ago
TRAMI、第7回公開フォーラムを開催kat 2024年11日26日(火) in in

 自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI、理事長:日産自動車・平工良三氏)は11月19日、東京都港区の東京都立産業貿易センター浜松町館 3階北会場での対面開催とオンライン開催により、「第7回公開フォーラム」を開催した。

開催のようす

 

 TRAMIは2018年4月、駆動・電動技術の産学連携基礎研究を行うことにより、学のサイエンス進展と産学人材育成を推進し、日本の産業力の底上げと持続的な科学技術の発展に貢献することを理念として発足した。現在、組合員は主要自動車会社およびサプライヤー12社で構成。東京理科大学 佐々木研究室(主宰:佐々木信也教授)や横浜国立大学 中野研究室(主宰:中野 健 教授)など32の大学の研究室と連携して活動を進めている。

 7年目の活動となるTRAMIの今回のフォーラムでは、システム・ユニットに大きく近づくTRAMIの2025年度研究方針やシナリオに加えて、以下の講演がなされた。

 石巻専修大学 梅山光広教授による石巻での産学連携についての特別講演「若者世代と一緒に未来の街を考える~モビリティ・環境・エネルギー・コンパクトシティ~」では、若者世代に負の遺産を引き継ぐことのないよう、フューチャーデザイン=未来人になって考えることが必要で、大学の研究でも学生たちとの対話によって進めている現状を説明。都市と都市の間など遠距離の移動は公共交通を使い、街中など近距離の移動は低速モビリティを利用するといった「乗り換え」を前提とした交通手段の使い分けが大切との見地から進めている電動モビリティ(中古ハイブリッド車のEV化や電動ゴーカートの機械学習による自動運転、ほか)の研究開発や、エネルギーを利用する場所の近くで「地産地消」することが重要との考えから進めている気象予測を活用した大学構内での風力・太陽光ハイブリッド発電などの話題を紹介した。

 中央大学 戸井教授によるTRAMIの委託研究テーマ「電動車 快音化指針の構築」についての発表では、電動化により暗騒音が低下していく中で、モータノイズとギヤノイズの音量の評価指針を定義、電動車としての車室内に価値を与えるための音、音質を研究する目的で、高周波音の音量の評価指針の研究(定常~8kHz)、高周波音の音量の評価指針(過渡~8kHz)、音と物理指標の研究、高周波音の音量の評価指針(定常 過渡 8~20kHz)、音と人間特性の研究、価値を生み出す音,音質の定義を実施したことが報告された。

 また、TRAMIの2025年度の研究方針では、TRAMI研究のコアとなる超高回転電動PTユニット(主要3要素:減速機、モータ、インバータ)のTRL(技術成熟度)を深化しTRL3(サブユニットレベル台上実証・サブユニットシミュレーション実証)~5(試作ユニットレベル(車載想定)台上実証・車載シミュレーション実証)を重点化、TRAMI研究成果の実用化を促進すると打ち出した。具体的には、超高回転電動PTユニット「小型・軽量・高効率」実現技術を確立し、TRAMI会員各社で製品化・量産化を実施、日本企業の競争力の高い製品開発研究に活用する。

 会場のみでの開催となる第2部ではポスターセッションを実施、機械摩擦・熱研究や計測技術研究、電動化研究など各研究分野の研究シナリオとロードマップの説明がなされたほか、企画書パネルや実機などを囲んでの研究メンバーと参加者とのディスカッションが行われた。

ポスターセッションのようす

 

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日本粉末冶金工業会、2024年度(第46回)工業会賞を発表

8ヶ月 1週 ago
日本粉末冶金工業会、2024年度(第46回)工業会賞を発表kat 2024年11日25日(月) in

 日本粉末冶金工業会(会長:園田修三・福田金属箔粉工業社長)は、「2024年度(第46回)日本粉末冶金工業会賞」の受賞者を発表した。

 この賞は、粉末冶金工業の振興、発展に顕著な業績を挙げた製品などを表彰し、粉末冶金業界の底辺拡大と一層の技術水準向上に役立てようとするもので、1979年度から実施されている。

 表彰の種類は、業界功労賞、新製品賞(デザイン部門、材質部門、製法開発部門)、原料賞、設備開発賞に区分されており、2003年度から、新製品賞、原料賞、設備開発賞の中から最も優れた案件に「工業会大賞」を授与している。また、上記の賞以外に奨励賞が設定されている。
受賞製品の概要は次のとおり。

工業会大賞 「アキシャルモータの高性能化に貢献する両ツバ一体圧粉磁心の開発」住友電気工業

 本製品は、空気清浄機に搭載されるアキシャルモータの磁心(コア)。

 近年、電動化の普及に伴い各種電動機器において小型軽量化・高効率化に貢献できる高性能モータの需要が増加している。現在は、構成部品である磁心(コア)に電磁鋼板を用いたラジアルモータが一般的に用いられているが、その構造に起因して薄型化によって性能(トルク・効率)が低下する課題を抱えている。そのため、薄型・高トルクの両立が可能なアキシャルモータに脚光が当たっており、その普及が期待されている。アキシャルモータのコアは三次元磁気回路の形成が必要で、磁気等方性と高い形状自由度を有する圧粉磁心コアが好適である。

 本開発では磁石との対抗面積を増やすためにティースの上下両側にツバが張り出した形状とし、両ツバ端面間の距離(両ツバ一体コアの全長)の高い寸法精度と、電磁鋼板性のコアに対し圧粉磁心性のコアのQC優位性を達成した。

 両ツバ一体コア形状は、事前にティースの全周方向に両ツバが張り出したコアを検証用に作製し実際の性能評価を行い、従来手法のバックヨーク付きティースと比べてトルクを18%向上、効率を2.6%向上することを確認し、本製品の開発に取り組んだ。従来成形手法では抜き出し困難となる形状を、発想を転換して成形方向を変更することで両ツバとティースを一体造形する手法を着想して開発を推進したことによって目標を達成した。

 両ツバ厚み寸法精度に対しては、今回開発した成形技術では、コアの全長寸法が粉末の充填量に依存せず、金型精度のみに依存する方向へ変更ができたことによって、従来比70%圧縮した精度規格を満たすことに成功した。

 コストについても、従来製法では2部品の製造工程・金型が必要であったものが、開発技術では1部品となり集約することができ、製造原価を半減させ目標達成する
ことができた。

 これらの開発によって、アキシャルモータ用の両ツバ一体圧粉磁心コアの量産を開始し、アキシャルモータの普及に貢献できた。

住友電気工業「アキシャルモータの高性能化に貢献する両ツバ一体圧粉磁心の開発」

 

新製品賞・デザイン部門 「電動ソレノイドバルブの高機能化を実現した焼結ブッシュ」ダイヤメット

 本製品は車載用ソレノイドバルブのプランジャシャフトを支えるブッシュ。

 ソレノイドバルブは電気入力により出力部から軸方向力を発生させる部品で、近年の自動車では、従来の人力操作系から自動化が進んでおり、搭載数増加が期待できる部品である。

 本製品はシャフトを支える軸受として用いられるため、シャフトの直進運動時の摺動性を良好に保つことが必要になる。加えて、通常の軸受とは異なりソレノイドとして機能するために磁気特性も必要となり、摺動性能と磁気特性を両立する必要がある。

 材料選定においては、磁気特性が重要となるので鉄系材料を採用した。鉄系材料において摺動性を持たせるには黒鉛の添加が一般的だが、黒鉛が多くなると磁気特性の低下を引き起こす。

 そこで、摺動性と磁気特性を両立できる最適割合を検討し、自社配合のFe-Cu-C系材料を選定した。

 形状検討においては、コストと使用条件、組付け性などを考慮した最適形状を客先とデザインインで検討を重ねて決定した。異物混入防止の為の厳しい清浄度規格に対しても、摺動面を痛めることなくバリを除去できるバレル条件の検討や製造工程内の防護カバーなどの対策を実施し要求を満足できた。

 これらの開発により複数の要求を達成することができ、従来の溶製材から焼結材への切替えに成功した。

ダイヤメット「電動ソレノイドバルブの高機能化を実現した焼結ブッシュ」

 

「成形体加工を有するベーンポンプ用サイドプレートの開発」ファインシンター

 本製品は、トランスミッション用オイルポンプに使用されるベーンポンプのサイドプレート。

 EV化の加速が進んでいる一方で、既存構造の自動車には従来よりも厳しいCO2排出量低減や静粛性が要求され、それらは各ユニットへの高性能化の要求となっている。このためトランスミッション用オイルポンプは、内接ギヤポンプやトロコイド式から、振動が小さく容積効率の高いベーンポンプ式が採用されている。

 本製品は幅2mm、深さ9mmの止まり溝と、反対面に幅3.5mm、深さ5mmの止まり溝を有しており、それらが屈曲した貫通溝を形成する特殊な形状を有している。型出しでの溝形成が困難で、通常の機械加工ではバリとコストの課題があった。

 そこで、バリの発生が抑制できるグリーン加工の課題解決に取り組んだ。

 材料選定は、成形体強度を確保できる還元鉄粉を使用することとした。その上で要求を満足できるFe-Cu-C 系を選定した。

 グリーン加工条件は、加工時の欠けを防ぐ切込量、割れを防ぐ製品把持条件、刃具の折損を防ぐ周速と切込量を詳細に調査し最適化を行った。

 これらの開発により、複雑溝形状を有する本製品の生産を可能とした。グリーン加工の採用で、焼結体への機械加工と比較して、加工に必要なトルクが10%以下になり、設備の小型化、加工時間の短縮が可能となると共に、バリ除去工程も不要となり、約20%のコスト低減も達成できた。

ファインシンター「成形体加工を有するベーンポンプ用サイドプレートの開発」

 

新製品賞・製法開発部門 「高周波焼入製品の磁気探傷検査自動化」ダイヤメット

 本技術は、高周波焼入れ製品のクラックを検出する磁気探傷検査を、ロボットおよびAIを用いて完全自動化したものである。

 前処理(磁化・磁粉塗布)-観察(探傷)-判定-後処理(脱磁)からなる磁気探傷検査の全工程の自動化を行った。前処理ではクラックの方向(円周方向・放射方向)が変わっても検出可能となる複合磁化を採用し、効率の良い前処理とした。また、ロボット搬送とすることで磁粉の脱落も防止した。観察・判定工程では、数千のサンプルをAIに学習させ、作業者の感覚・判断に近い判定ができるようにした。また、磁粉液が必要以上に残留すると誤検出・過検出してしまうため、検査個所に適度な磁粉および磁粉液のみ残す工夫を加えて、誤検出0%、過検出約5%を達成した。

 焼結部品での全工程の自動化は初めての事例でありながら、複数の客先から承認を得られており、本技術によって、作業者のスキル差の影響が軽減され判定差異がなくなり、検査精度の向上と安定化を実現できた。さらに、集中力低下や疲れなどの影響で発生するヒューマンエラー対策にもなり、作業環境改善および作業者負荷軽減にもつながった。

ダイヤメット「高周波焼入製品の磁気探傷検査自動化」

 

原料賞 「3Dプリンタ用高造形性ダイス鋼粉末」大同特殊鋼

 本原料は、積層造形時のひずみを低減し、150mm角以上の大型造形品を可能にした高造形性ダイス鋼粉末。

 金属3Dプリンタで造形したダイカストやプラスチックの射出成形金型の実用化が進んでいます。これらには主にマルエージング鋼粉末が使用されている。しかし、マルエージング鋼(粉末)は特定化学物質障害予防規則で規制されるCoを多く含有することや、安全保障貿易管理のリスト規制対象であることから、熱間ダイス鋼であるSKD61粉末を用いて金型を3D造形するというニーズが高まっていた。一方で、SKD61は造形したままの硬さが高く割れが生じやすいため、造形困難という課題がある。そこで造形時のひずみを低減し大型造形品への対応も可能とする高造形性ダイス鋼粉末を開発した。

 成分設計としてSKD61をベースにC、Si、Vを低下し、Niを6%添加することでマルテンサイト変態開始温度(Ms点)をマルエージング鋼と同等の200℃付近に設定した。これにより造形時はMs点以上の過冷却オーステナイト状態が維持され硬さが低くなり、レーザーによる溶融凝固とその後の冷却で発生する熱応力は、過冷却オーステナイトの微小な変形により、ひずみを解放できる。また、造形完了後にベースプレートの予熱を止めることで造形物全体が徐々に冷却され、マルクエンチ的な焼入れによって、さらにひずみは低減される。以上のメカニズムで大型造形を可能にした。

 さらに、造形後は焼戻しマルテンサイト組織となるため、焼入れ工程が不要となり、工程短縮や省エネ化にも貢献する。

大同特殊鋼「3Dプリンタ用高造形性ダイス鋼粉末」「流動性を改善した高密度用鉄基混合粉末」神戸製鋼所

 本原料は、潤滑剤量の低減による焼結部品の高密度化と原料粉末の流動性を兼ね備えた新しいコンセプトの鉄基混合粉末。

 良好な圧縮性を持つ粉末は、成形、焼結後に高い密度が得られるため、焼結部品品質全般の向上に寄与する。原料混合粉に含まれる潤滑剤量の低減は、温間成型や金型潤滑成形などの付帯設備が不要で、比較的簡単に密度向上できる有効な方法である。そこで、潤滑剤の金型との潤滑性を向上させ、低添加量で成形可能な潤滑剤のニーズが高まっている。しかし、潤滑性の良い潤滑剤は粒子への付着力が高くなり、鉄粉と凝集して混合粉末の流動性を悪化させるため、潤滑性と流動性を両立させることは非常に困難だった。

 今回、新たなアプローチとして、鉄粉表面に潤滑剤との付着性が低い物質を存在させることで、潤滑性と流動性の両立を達成した。本原料は、せん断付着応力を従来比30%低減しており、金型充填性および連続成形時の重量ばらつき評価において改善効果が見られる。その他の成形体特性や焼結体特性は、密度に応じた特性が得られており、比較的容易に高密度部品の製造を可能にする原料として、業界への普及が期待される。

神戸製鋼所「流動性を改善した高密度用鉄基混合粉末」  奨励賞 「ADAS用ECU冷却ファン軸受の開発」ポーライト

 本製品は、ADAS(先進運転支援システム)を制御するECU の冷却ファンに用いられる軸受。

 近年、「コネクテッド」「自動化」「電動化」に伴うADAS系ECUの搭載が増加している。それらは機械処理の高速化が必須で発熱が多く、冷却ファンの搭載が不可欠となっている。

 本製品は、下向きに設置されるファンモータの軸受で、高温時のオイルの体積膨張と粘度低下によるオイル漏れ対策が必要だった。それらへの対策として、外径面取りを大きくすることでオイル保持空間を確保すること、内径面取りの角度を45°から30°に小さくすることで毛細管力を強くしオイル保持し易くする形状の工夫を行った。また、外径に溝を設け、モータ組み立て時およびモータ動作時に空気の逃げ道を確保した。含浸油には、-40~105℃という低温から高温までの幅広い温度での使用要求に対して、温度に対する粘度変化が少なく、かつ、長寿命となる蒸発量が少ない独自のオイルを選定することで耐久性も確保した。

 これらの開発によってオイル漏れが改善され、信頼性が向上し、モータ姿勢が下向きでの使用を可能にした。その結果、ボールベアリングが主流であったADAS用ECU冷却ファンの軸受に採用された。

ポーライト「ADAS用ECU冷却ファン軸受の開発」「プレス部品とのカシメ接合技術の開発によるアクチュエータ部品の焼結化」ファインシンター

 本製品は、四輪駆動車用のトランスファーアクチュエータの構成部品。

 トランスファーとは、四輪駆動車においてエンジンからの力を前輪と後輪に分ける装置であり、オンロードからオフロードに至る広範囲の路面状況で、高次元のトラクション性能と操縦安定性を支える重要な動力伝達部品。モータ出力を受けるプレートと、ラックへ出力するための焼結ギヤで構成される。

 焼結ギヤには駆動力に耐えうる引張強さと耐摩耗性が必要となり、接合部には、回転方向は動力伝達に耐えうるトルク強度と、垂直方向へのギヤの抜け強度の要求仕様がある。組立品であるのでギヤの歯とプレートの組付位相決めも必要となる。

 焼結ギヤ材料には、熱処理することなく焼結で要求強度と耐摩耗性が得られるNi、Moを含む合金系材料を選択し、引張強度700MPa以上が得られるように、成形密度、焼結時の加熱と冷却条件の最適化を行った。接合にはカシメを採用し、接合部の形状は花びら形状のボスとし、トルク強度を得る花びらの大きさと数の検討や、位相間違いを防止するスリット幅の設計、浮き・傾きを防止するギヤ端面の逃げ・ヌスミなどの形状の工夫を行った。

 これらの開発により、異材質を組み合わせたアクチュエータを実現し、量産化に成功した。

ファインシンター「プレス部品とのカシメ接合技術の開発によるアクチュエータ部品の焼結化」

 

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