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人とくるまのテクノロジー展 2022が開催、bmt技術が集結

1年 10ヶ月 ago
人とくるまのテクノロジー展 2022が開催、bmt技術が集結kat 2022年06日16日(木) in in

 自動車技術会は5月25日~27日、横浜市のパシフィコ横浜で「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2022」を開催した。3年ぶりのリアル開催となる同展は、484社/1055小間の規模で開かれ、3日間で43665名が来場した。ベアリング&モーション技術(bmt)関連では、以下のような展示がなされた。

人とくるまのテクノロジー展 2022のもよう

 

 イグス(https://www.igus.co.jp/)は、自動車しゅう動部品の軽量化による燃費・電費改善のための無潤滑樹脂ベアリング「ドライテック・ベアリング」によるソリューションを提案した。車載機器においてはドアヒンジやスライドドア、サンルーフなど、回転運動や直線運動を伴う箇所での無潤滑化(メンテナンスフリー)や静音化などからドライテック・ベアリングが多数採用されているが、今回は射出成形では難しい、あるいは不可能な複雑形状の部品を短時間で一体造形できる、しゅう動部品に特化した高機能ポリマー製の「3Dプリント品」を展示した。3Dプリント品は試作品ごとに金型を用意する必要がないため、自動車で要求の強い大幅な開発サイクル短縮とコスト削減に貢献できる。同社では3Dプリント用樹脂の配合や溶解・固化のプロセスを工夫することで射出成形品の強度や性質と同等、さらにはより高い3Dプリント品を造形できるノウハウを蓄積しており、最近では、耐久性、耐摩耗性を備えた複雑な形状の3Dプリント部品を、最大4種類の材質を使ったマルチマテリアルプリントで実現できる技術も開発。3Dプリント品は同社ホームページ上で簡単に注文できる。

イグス しゅう動部品に特化した高機能ポリマーで造形した「3Dプリント品」

 

 HEFグループは、HEF DURFERRIT JAPAN、TS 群馬、TS TUFFTRIDE、ナノコート・ティーエスの共同で出展。今回は、ナノコート・ティーエス(https://www.nanocoat-ts.com/) 石川事業所ですでに受託加工を開始している、自動車電装機器の樹脂製筐体への電磁波シールド物理蒸着(PVD)コーティング「PROCEM™」を紹介。自動車電装機器の電磁波シールド仕様を十分にクリアしているほか耐食性が良好で、電磁波シールドめっきと比較した場合の利点として、①めっき処理が可能な樹脂基材に制約があるのに対し、PROCEM膜では、ABS・PC・ポリアミド(PA)・ポリメチルメタクリレート(PMMA)・ポリアリルアミン(PAA)・ポリイミド(PI)・ガラス繊維など、ほとんどの樹脂基材およびコンポジット基材に対して、密着性が極めて高い電磁波シールド被膜をダイレクトに成膜できること、②環境負荷が極めて小さいドライコーティングであること、③めっき皮膜では電磁波シールド性を付与するのに数十μmと厚膜にする必要があるのに対して、PROCEM膜は膜厚1~2μmの薄膜で電磁波シールド機能を付与できるため、樹脂製筐体への成膜前後の寸法変化・重量変化がないことなどをアピールした。

HEFグループ 「PROCEM」膜を施した樹脂製カーナビ筐体などのサンプル

 

 NTN(https://www.ntn.co.jp/)は、電気自動車向けの軸受ソリューションを展示した。「2021年“超”モノづくり部品大賞 日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞した、モータの高速回転に対応する「EV・HEV用高速深溝玉軸受」は、保持器の材料を見直すことで強度を高めるとともに、保持器と転動体が直接触れるポケット部の形状を工夫することで遠心力による変形を最小化し、使用条件によってはdmn値220万の高速回転対応を実現できる。EV・HEV用高速深溝玉軸受としてはまた、この開発保持器と窒化ケイ素セラミックス製の転動体を組み合わせた「耐電食深溝玉軸受」も紹介した。このほか、新開発の樹脂保持器の採用や軸受内部設計の最適化によって世界最高水準の低昇温性(耐焼付き性)と低トルク性を実現したトランスミッション/デファレンシャル用の「低昇温・低トルク円すいころ軸受」、シールリップのすべり接触部に円弧状(半円筒状)の微小突起を等間隔に設けた新開発の接触タイプシールを採用することにより回転トルクを従来品比で80%低減し、非接触タイプシールに匹敵する低トルク効果を実現した「超低フリクションシール付玉軸受」、軸受の外輪外径面の一部に逃げ部を設ける業界初の手法で、進行波型クリープの停止を実現した「クリープレス軸受」などを紹介した。

NTN 「電気自動車向けの軸受ソリューション」

 

 ジェイテクト(https://www.jtekt.co.jp/)は、「第72 回自動車技術会賞 技術開発賞」を受賞した「高耐熱リチウムイオンキャパシタ」の搭載モジュールを展示した。自動車の電動化、先進運転支援システムの急速な普及に伴う車両電源の負荷軽減のため、出力性能に優れたキャパシタを採用するケースが増える傾向にあるが、高耐熱リチウムイオンキャパシタは、実用・市販化されたキャパシタの中で、最もエネルギー密度に優れるリチウムイオンキャパシタの電解液の改良に加え、電解液と電極材料の相性を考慮した組み合わせとすることにより、世界で初めて自動車車室内の温度要求である—40~+85℃の動作温度範囲を実現した。同キャパシタを活用した電源システムを自動車車室内に搭載する場合、冷却・加熱装置が不要となるため、車両搭載性やシステム効率が飛躍的に改善される。さらに自動車だけでなく、鉄道や大型農建機などの電動化、再生可能エネルギーの短周期の電力変動吸収などにも活用できる技術として高く評価され技術開発賞受賞となったもの。

ジェイテクト 「高耐熱リチウムイオンキャパシタ搭載モジュール」と開発者の三尾巧美氏

 

 大同メタル工業(https://www.daidometal.com/jp/)は、多種多様なエンジン軸受で使用されている樹脂コーティング「DLA02」、「DLA03」、「DLA04」を中心に同社のコーティング技術を紹介した。アルミ軸受合金上の樹脂コーティング有無での耐摩耗性の検証では、コーティングなしの場合に比べ摩耗量を約90%低減できた結果を報告。また、新たなアプローチとして、将来ニーズを想定し樹脂コーティングを超える耐摩耗性・耐食性を追求した開発中のDLCコーティングの技術を披露した。同社のDLC コーティングは製法の工夫によりコーティング下地の変形に追従できるよう物性を最適化。アルミ軸受合金上のDLCコーティング有無での耐摩耗性の検証では、DLC コーティングなしの場合に比べ摩耗量を約98%低減できた結果を報告した。このほか、独自焼結技術をベースにした高性能アルミ吸音材「NDCカルム」を紹介。アルミ粉末を多孔質に焼結、2~3mmの板厚で優れた吸音特性を実現するほか、一般の吸音材にはない耐水性、耐食性、耐熱性を持つ。アルミ板より軽量で、しかも金属的強度を有するため機械加工も容易にでき、部品としての供給も可能。

大同メタル工業 「DLA02」を被覆したシャフトなどのサンプル

 

 大豊工業(https://www.taihonet.co.jp/)は、「第72 回自動車技術会賞 技術開発賞」を受賞した「高筒内圧エンジン用Bi 合金オーバレイ軸受」を展示した。本開発品は、すべり軸受のオーバレイとして世界で初めてBi-Sb(ビスマス・アンチモン)合金を用いており、従来の純Bi オーバレイで課題となっていた耐疲労性と耐酸化性を、Sb との合金化により飛躍的に向上。さらにSb添加量の最適化により異物ロバスト性にも寄与している。これらの技術をディーゼルエンジンの軸受に用いることで、信頼性と低燃費を両立し、新排気・燃費規制に対応できる。このほか、高シール性・低電気抵抗で優れた耐食性・導電性を有する「燃料電池バイポーラプレート」や、モータの高効率化に貢献する「モータコイル冷却シャワー」と「モータコイル冷却パイプ」、電子機器筐体の軽量化に貢献する「電磁波遮蔽樹脂カバー」など次世代車向けソリューションを紹介した。

大豊工業 「高筒内圧エンジン用Bi 合金オーバレイ軸受」

 

 東芝マテリアル(https://www.toshiba-tmat.co.jp/)は、絶縁体のためインバータ制御下のEVモータ用軸受の電食リスクを解消する「窒化ケイ素セラミックスベアリングボール」を展示した。スチールボールに比べ高強度・高硬度・軽量で耐摩耗性に優れ、長寿命化を実現する。電食不良リスクを解消するだけでなく、窒化ケイ素はスチールの半分以下の密度のため軽量で回転時にかかる遠心力が小さくなることから高速回転が可能なほか、スタート時のレスポンスが向上し、省エネ化に貢献できる。さらに、窒化ケイ素は高硬度で耐摩耗性に優れており、長寿命化を実現する。スチールボールベアリングの数倍以上の寿命を誇り、過酷な環境下や交換が困難な用途に最適とアピールした。

東芝マテリアル 「窒化ケイ素セラミックスベアリングボール」

 

 日本ピストンリング(https://www.npr.co.jp/)は、高硬度で耐摩耗性・低摩擦・耐凝着性に優れるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを施したピストンリングを展示した。DLCコーティングは平滑表面のためフリクションを低減するとともに、自己潤滑性と高い耐摩耗性を兼ね備えたa-C/ta-C比率の最適膜で、近年では耐久信頼性を向上させた厚膜タイプの開発にも成功している。単体評価でのフリクション低減効果と耐スカッフ性、さらには国内ガソリン機関・国内ディーゼル機関での実機評価での摩耗量低減効果を提示。エンジンの熱効率アップに貢献できることをアピールした。また、シリンダライナ内周面に微細なディンプルを形成することでピストンリングとの間の流体潤滑による摩擦力を低減してエンジンの燃費向上を実現する「ディンプルライナ」を紹介した。実機による燃費評価結果(重量車燃費基準による計算結果)では、大型ディーゼルエンジンで0.7%減、中型ディーゼルエンジンで0.6~1.7%減、小型ディーゼルエンジンで3.2%減の燃費効果が確認されており、すでに量産中の商用ディーゼルエンジンに採用されている。

日本ピストンリング 「DLCコーティングリング」

 

 日本精工(https://www.nsk.com/jp/)は、軸受内部のグリースやシール形状の改良によりフリクションを減らすとともに保持器の改良によりグリースの攪拌抵抗を減らすことでEVの航続距離延長に貢献する「電動車向け低フリクションハブユニット軸受」を展示した。グリースでは、基油の低粘度化で転がり抵抗を低減するとともに、増ちょう剤の種類と量の最適化で撹拌抵抗を低減。また、インナ側シールでは、耐泥水性を保ちつつリップを非接触とするなどのシール形状の改良によって、シールのしゅう動抵抗を低減している。さらに、ポケット部の柱の削除など保持器の改良によりグリースの撹拌抵抗を低減している。このほか、国内の展示会では初出展となる「シームレス 2スピード eアクスル コンセプト(Gen2)」を披露した。eアクスルの小型・軽量化と高機能化を実現するとともに、トラクションドライブ減速機と高速回転玉軸受の採用により高速モータの適用を可能にし、システムを小型・軽量化できる。また、磁歪式トルクセンサと電動シフトアクチュエータの組み合わせによるシームレスな2速変速を実現し、航続距離延伸と走行性能向上に貢献できる。

日本精工 「電動車向け低フリクションハブユニット軸受」

 

 不二越(https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/)は、自動車の電動化でモータやバッテリー、インバータなど電気で制御する部品が増える中、モータ周辺で電流が発生しやすくなり軸受の内輪と鋼球の間に放電・スパークが発生して軌道部が筋状の凹凸になる「電食」により軸受回転部で異音や振動などの不具合が生じる問題に対し、軸受の軌道部に電流が流れない、あるいはスパークさせない対策を施した「耐電食対応軸受」を紹介した。大別して、軸受の鋼球の代わりにセラミックボールを用いる、あるいは外輪内径面に樹脂コーティングを施す、または外輪にインサート成形によって樹脂カバーを成形することで「電気の流れを絶縁する」アプローチと、導電グリース、導電シールを用いて「電気の負荷を蓄積させないように通電する」アプローチを処方した軸受をラインナップ。耐電食性能・用途(回転速度)に応じ、絶縁系アイテム、導電系アイテムなど、最適なソリューションを提案できることをアピールした。

不二越 「耐電食対応軸受」:左が樹脂コーティング軸受、中央がセラミック玉軸受、右がインサート成形軸受

 

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自動車技術会、第72回自動車技術会賞 授賞式を開催

1年 10ヶ月 ago
自動車技術会、第72回自動車技術会賞 授賞式を開催 in kat 2022年06日10日(金) in in

 自動車技術会(JSAE)は横浜市のパシフィコ横浜で、「2022年春季大会」会期中の26日に「第72回自動車技術会賞」授賞式を開催した。トライボロジー関連では、以下のとおり表彰がなされた。

■浅原賞学術奨励賞 「ピストンオイルリング挙動の可視化によるオイル上がりメカニズムの解明」 佐久間 亨氏(トヨタ自動車)

 将来さらなる強化が見込まれるエンジンの排気規制への対応に向けて、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PN)の発生要因の一つであるオイル消費の提言は必要不可欠となっている。しかし、オイル消費は非常に多くの因子が複雑に影響し合い発生する事象であり、メカニズムの全容解明は困難である。

 受賞者はオイル消費の主因であるオイル上がり減少に着目し、メカニズム解明に必要なオイル挙動に関する油膜厚さ、ピストンリング挙動などの各種可視化技術を構築し計測。得られた結果から、エンジン燃焼工程ごとに減少を切り分けて推察を重ね、オイルリング上面のシール性の影響を明確にするとともに、さらなるオイル消費低減手法を提案した。

 これはオイル消費の全容解明に大きく貢献するものであるとして、評価された。

左から、プレゼンターの寺師茂樹JSAE前会長(トヨタ自動車)、佐久間氏  ■技術開発賞 「低燃費と高出力を両立したホットインサイド2ウェイツインターボV6ディーゼルエンジン」 横田晋司氏・尾頭 卓氏・大塚孝博氏(豊田自動織機)、生駒卓也氏・北谷裕紀氏(トヨタ自動車)

 将来のカーボンニュートラルの実現に向けて世界で燃費規制が強化される中、本V6ディーゼルエンジンの開発では、エンジンダウンサイジングと、ピストンピンDLCコーティングや0W-20低粘度エンジンオイルの採用などによるフリクション低減、さらには低流動燃焼による冷却損失の低減によって、燃費の大幅な改善を図った。

 その一方で、ダウンサイジングしながらもディーゼルエンジンに求められる力強い低速トルクとダイレクト感、さらにはドライバーの感覚に合った爽快な加速感を実現するために、シングルターボによる過給特性とツインターボによる大給気量の高過給特性を併せ持つ可変ノズルベーン付きの2ウェイツインターボシステムと、その効果をより高めるためにVバンクの内側に廃棄システムを配置したホットインサイドレイアウトを採用した。これらにより、低燃費と高出力を高い次元で両立した点が高く評価された。

左から寺師前会長、横田氏、尾頭氏、大塚氏、生駒氏、北谷氏

 

「リチウムイオンキャパシタの高耐熱化技術」 三尾巧美氏、小松原幸弘氏、大参直輝氏、小林央人氏、西 幸二氏(ジェイテクト)

 自動車の電動化、先進運転支援システムの急速な普及に伴う車両電源の負荷軽減のため、出力性能に優れたキャパシタを採用するケースが増える傾向にある。

 本技術は、実用・市販化されたキャパシタの中で、最もエネルギー密度に優れるリチウムイオンキャパシタの電解液の改良に加え、電解液と電極材料の相性を考慮した組み合わせとすることにより、世界で初めて自動車車室内の温度要求である—40~+85℃の動作温度範囲を実現したもの。

 同キャパシタを活用した電源システムを自動車車室内に搭載する場合、冷却・加熱装置が不要となるため、車両搭載性やシステム効率が飛躍的に改善される。さらに自動車だけでなく、鉄道や大型農建機などの電動化、再生可能エネルギーの短周期の電力変動吸収などにも活用でき、カーボンニュートラル実現に大きく貢献する技術として高く評価された。

左から寺師前会長、三尾氏

 

「高筒内圧エンジン用 Bi合金オーバレイ軸受の開発」 佐藤広樹氏・須賀茂幸氏・杉谷浩規氏・児玉勇人氏・棚橋大氏(大豊工業)

 近年、ディーゼルエンジンにおける排気・燃費規制強化の対応として、高筒内圧化などの取組みが行われている。これに伴い、エンジン用すべり軸受はより過酷な条件で使用される傾向にある。今回、耐焼付き性を低下させることなく、耐疲労性を大幅に向上させた新たなすべり軸受を開発した。

 開発品は、すべり軸受のオーバレイとして世界で初めてBi-Sb(ビスマス・アンチモン)合金を用いており、従来の純Bi オーバレイで課題となっていた耐疲労性と耐酸化性を、Sb との合金化により飛躍的に向上。さらに、Sb添加量の最適化により異物ロバスト性にも寄与している。

 これらの技術をディーゼルエンジンの軸受に用いることで、信頼性と低燃費を両立し、新排気・燃費規制に対応できることが高く評価された。

左から寺師前会長、佐藤氏、須賀氏、杉谷氏、児玉氏、棚橋氏

 

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日本トライボロジー学会、2021年度学会賞 授賞式を開催

1年 10ヶ月 ago
日本トライボロジー学会、2021年度学会賞 授賞式を開催 in kat 2022年06日09日(木) in

 日本トライボロジー学会(JAST)はこのほど、「2021年度日本トライボロジー学会賞」の受賞者を発表した。ベアリング、潤滑関連では、以下のような受賞があり、オンライン開催された「トライボロジー会議 2022 春 東京」の会期中の5月24日に授賞式が開催された。

論文賞 「Estimation Method of Micropitting Life from S-N Curve Established by Residual Stress Measurements and Numerical Contact Analysis」
長谷川直哉氏、藤田 工氏(NTN)、内舘道正氏(岩手大学)、阿保政義氏、木之下博氏(兵庫県立大学)

 自動車や産業機械の内部摩擦の低減に向け、潤滑油の低粘度化が進んでいる。また、自動車などの電動機では高速化が進み、潤滑油の使用温度が上昇している。いずれも、転がり軸受においての油膜厚さの低下要因であり、ピーリング(論文中ではMicropitting と表現.突起接触部での転動疲労による微小はく離の集合体)発生を促進させるピーリング寿命は十分な油膜形成下の寿命に比べて短かく、予測が困難であった。

 本論文では、受賞者らが明らかにしたピーリングの発生メカニズムに基づいて、ピーリング寿命を精度よく推定する方法を提案している。提案法では、運転時に変化する表面粗さ(なじみ)から求めた突起接触部の応力計算値に、残留応力の測定値を足し合わせ、突起接触部に繰り返される相当応力を求める。

 次に、あらかじめ実験的に作成したS-N線図(相当応力とピーリング寿命の関係)からマイナー則を用いて累積疲労度を求めて寿命を推定する。この手順は、ピーリング寿命に影響を及ぼす、運転中の残留応力の変化と、表面処理および潤滑油添加剤によるなじみ挙動の変化を、実験を援用して考慮できる独創的な方法である。

 提案法は、ピーリングを抑制するための転がり軸受の表面粗さの設計だけでなく、表面処理や潤滑剤の適切な選定に活用できる。また、提案法の応用により、信頼性と低トルクを両立する転がり軸受の表面粗さの限界設計が可能になり、転がり軸受ユーザーのエネルギーロスの低減にも貢献できる。さらに、使用中の転がり軸受の継続使用の可否判定や転動疲労の迅速評価法にも活用できる。

上段:左から、プレゼンターの杉村丈一JAST前会長、長谷川氏、木之下氏
下段:左から内舘氏、阿保氏

 

「玉軸受のグリース潤滑における潤滑寿命の研究(第2報)―基油の浸透特性にもとづく潤滑寿命の解析―」
市村亮輔氏、小森谷智延氏、河内健氏、吉原径孝氏、酒井雅貴氏、董大明氏(協同油脂)、木村好次氏(東京大学、香川大学)

 本論文に先立つ第1報において、DIN 51821に準拠したアンギュラ玉軸受の潤滑寿命試験を実施して潤滑寿命に至る過程を調べ、運転初期のグリースの再配置により外輪端部に形成された油溜まりから付着層内の浸透によって軌道面に供給される基油の“Feed”と、そこから失われる“Loss”とのバランスが潤滑寿命を支配する主要因であるという結論を導いている。その第2報として本報では、この結論の妥当性の立証と潤滑寿命を評価する手順の導出を目的として、グリース中の浸透による基油の動きを解析した。

 まず構造の異なるウレアグリース3種類について、ろ紙を利用した浸透性試験により基油の浸透速度を評価する方法を開発し、その結果にLUCAS-WASHBURNの式を適用して、グリース中の基油の浸透性の指標として用いる等価半径を算出した。

 次いで運転開始から潤滑寿命に至る過程におけるグリースの状態を、油溜まりと付着層の等価半径の関係として表し、運転中に生ずるその変化を算定して、“Feed”と“Loss”のバランスが失われる点における等価半径を与える式を導いた。

 この方法による潤滑寿命の推定結果は潤滑寿命試験の結果と良好な一致を見せ、第1報の結論に理論による裏付けを与えるとともに、潤滑寿命試験を経ずに潤滑寿命を相対的に評価する手順を提案して、潤滑寿命の長いグリースを開発するーつの方向性を示している。

上段:左から、杉村JAST前会長、木村氏、董氏
中段:左から、酒井氏、市村氏、小森谷氏
下段:左から河内氏、吉原氏

 

「潤滑油の高圧物性(第5報)―ファンデルワールス型粘性方程式の導出―」
金子正人氏(出光興産) 

 潤滑油の粘度温度特性について、WALTHERの対数対数動粘度‐対数温度線形式が広く用いられている。しかしながら、WALTHER式は常圧における炭化水素油や石油製品類の動粘度の温度特性についての実験式であり、理論解析されておらず、そのままでは高圧粘度に適用することができないことが分かった。

 そこで本研究において、新たに高圧粘度に適用できる絶対粘度温度関係式の理論構築を行うこととし、絶対粘度と温度、圧力との関係について理論解析を行った。その結果、対数対数絶対粘度は温度の2乗に負比例することが分かり、各圧力における対数対数絶対粘度と温度の2乗に関する線形式を導出した。なお、この線形式は絶対零度で粘度が収束することが分かった。

 これと並行して、理想液体の粘性について思考実験を行った。既知の理想液体の状態方程式の絶対零度体積が圧力に依存せず一定であることから、理想液体の絶対零度粘度も圧力に依存せず一定であることが予想された。この思考実験結果は、理論解析結果と一致した。さらに、対数対数絶対粘度は圧力に比例することから、圧力を組み込んだ粘度圧力温度線形式を導出した。

 この粘度圧力温度線形式は、絶対零度粘度、粘性定数および圧力定数の三つの潤滑油の固有定数からなるvan der WAALS型粘性方程式であることが分かった。また、この式は理想液体の粘性方程式と一致した。このようにして導出したvan der WAALS型粘性方程式により、潤滑油の高圧粘度の推算が可能となった。また、本研究の結果から、帰納的に「絶対零度物性は圧力に依存しない固有定数である」という概念に辿り着き、他の物性(密度、比熱、熱伝導率、屈折率、電気抵抗率等)についても、同様にvan der WAALS型物性方程式の存在が予想される結果となり、今後の展開が期待される。

左から、杉村JAST前会長、金子氏

 

技術賞  「トランスミッション用シール付き転がり軸受の低フリクション化技術」
水貝智洋氏、佐々木克明氏、和久田貴裕氏(NTN)                                            

 CO2排出量削減に向け、自動車のトランスミッション用軸受には、長寿命に加えさらなる低トルク化が求められている。加えて、高速モータを用いた車両電動化の要求により、減速機用軸受には高速化への対応も求められている。本技術は、トランスミッションおよび減速機用シール付き転がり軸受の低フリクション化に関するものである。

 トランスミッション内の潤滑油にはギヤ摩耗粉などの異物が存在し、これが軸受の寿命低下を招く恐れがあるため、①接触シールを用いて異物侵入を防ぐ、②異物寿命に効果的な特殊熱処理を施すなどの対策がなされる。しかし、①はシールによる回転トルクの増加が避けられなく、かつ、高速回転下ではシールの適用限界速度を超えては利用できない。また、②は異物がない環境に比べると寿命低下が避けられない。

 本技術は、上記①に対して、接触シールのしゅう動面に半円筒状微小突起を設けることにより、油潤滑下でシールしゅう動面と内輪間に“くさび膜効果”による流体膜を発生させ、回転トルクを従来接触シール品比で80%低減し、非接触シールと同等にした。一方、突起高さは微小であるため、寿命を低下させるサイズの異物の侵入を遮断でき、異物がない環境と同等の軸受寿命を確保できる。また、本シールは、従来接触シールに比べ大幅に高い周速下でも使用できる。

 以上のように、本技術は、異物混入油中でも十分な寿命を確保しつつトランスミッション用軸受の回転トルクを低減でき、自動車の省燃費化に貢献できる。また、信頼性の向上により軸受サイズの小型化、また、自動車の軽量化に貢献できる。さらに、従来の接触シール付軸受に比べ2倍以上の周速で使用できるため、車両電動化に伴う高速化の要求にも応えることができる。

上段:左から、杉村JAST前会長、佐々木氏
下段:左から、水貝氏、和久田氏

 

「界面制御技術を用いた水溶性切削油の高性能化」
岡野知晃氏、浅田佳史氏、服部秀章氏(出光興産) 

 本技術は、金属の切削加工において広く用いられている水溶性切削油の性能向上に関する技術である。

 水溶性切削油の要求性能は、工具-被削材間の潤滑性、消泡性、防錆性などの水系潤滑剤特有の性能に加え、近年では工場における作業者の安全性を意識した作業環境性など多岐にわたり、これらの異なる性能を高い次元で実現する必要がある。

 中でも、水溶性切削油の主要な要求性能である潤滑性および消泡性は、主成分である界面活性剤(脂肪酸アミン塩)の種類に大きく依存する。これら潤滑性および消泡性は相反する関係にあり、これらを両立することは非常に困難とされていた。本課題を解決すべく、中性子反射率測定およびFM-AFMを用いた固/液界面における吸着特性評価手法を、動的表面張力測定を用いた気/液界面における吸着特性評価手法をそれぞれ新たに確立した。特に動的表面張力測定から算出されるパラメータ(最大動的表面張力低下速度(Vmax))を用いることで、固/液界面および気/液界面での吸着性の制御がそれぞれ可能となった。このように独自に確立した吸着特性評価および評価指標を駆使して見いだした、特殊な官能基を有する新たな脂肪酸アミン塩を適用することで、潤滑性および消泡性を高い次元で両立した。以上の知見を活かし、環境対応型高機能水溶性切削油としてダフニー アルファクールEX-1(エマルションタイプ)、WX-1(ソルブルタイプ)」をそれぞれ新たに開発し、上市した。

 また、近年ではカーボンニュートラルへの取組みから、水系潤滑剤への期待が高まりつつある。本技術は水溶性切削油に限定されず、各種水系潤滑剤に適用可能であるため、今後の水系潤滑剤の開発・性能向上への貢献が期待される。

上段:左から、杉村JAST前会長、浅田氏
下段:岡野氏

 

「次世代カルシウムコンプレックスグリースの開発」
渡遅和也氏、田中啓司氏、長富悦史氏(シェルルブリカンツジャパン)                                 

 これまで、鉱業や機械産業の発展とともに様々な潤滑グリースが開発されてきた。特に使用環境または運転条件が過酷化する中で高温性能に優れるウレアグリースやリチウム複合石けんグリースが開発され、最近ではカルシウムスルフォネート複合グリースのシェアが増加傾向にある。ここ数年海外においても、カルシウムを原料とした汎用のカルシウム石けんグリースの需要増やカルシウムスルフォネート複合グリースの生産量が年々増加しており、特に欧州での需要増の傾向が強く、現在では約15%以上がカルシウムを原料としたグリースで占められている。昨今のSDGsに向けた世界の取組みの大きな変遷の中で、この傾向はますます加速されると考えられ、環境資源、環境保全、ならびに安全で取扱性にも優れたカルシウムなどの原材料を用いた高機能潤滑剤への期待はより大きくなっていくものと考えられる。

 同社ではこれまで、上述した時代背景や環境ニーズに対して、入手性、取扱性、環境適合性の観点で最適であるカルシウム原料に焦点を当て、市場で要求される高温性能を満足するグリースの研究開発を行ってきた。そこで、環境性と実用性を両立した次世代カルシウムコンプレックスグリースとしてガダスS4 Z100Aを開発し、本年商品化した。本グリースは、従来のカルシウムコンプレックス増ちょう剤の組成技術を改良することで、これまでの石けん系グリースでは使用できなかった高温領域で優れた潤滑性を長期にわたり発揮できることから、機械寿命の延長や省資源化に貢献できる。また、高温性能だけでなく、耐フレッチング性などの特徴的な性能を有することから、様々な用途への展開が期待される。

上段:左から、杉村JAST前会長、田中氏
下段:渡邊氏

 

「インターカレーション法によって合成した有機-無機ハィブリッド型固体潤滑剤」
大下賢一郎氏、柳睦 氏、小見山忍氏(日本パーカライジング、佐々木信也氏(東京理科大学) 

 冷間鍛造の分野では、1934年に発明されたリン酸亜鉛皮膜が、潤滑皮膜として現在でも広く用いられている。この皮膜は極めて優れた潤滑性を有し、ほぼすべての加工形態に対応できる万能な皮膜である。一方で、成膜に化学反応を利用するため成膜効率が悪く、成膜工程から大量の排水や産業廃棄物、CO2が排出されるなど、環境負荷が高いことが指摘されている。このような背景から、2000年以降、生産性の向上と環境負荷低減を目的に、成膜に化学反応を利用しない塗布型潤滑皮膜への移行が国内外で徐々に進んでいる。

 本技術は、層状粘土鉱物の一種であるマイカの潤滑性向上を目的に、インターカレーション法によってマイカの層間、すなわち、へき開面に、有機系潤滑成分であるアルキルアンモニウムを担持させた有機-無機ハイブリッド型固体潤滑剤である。層間に担持されたアルキルアンモニウムはマイカの層間すべり性を向上させるため、高荷重かつ表面拡大を伴う塑性加工面においてスムーズにへき開し、新生面を効率的に保護することで、焼付きを抑制する。本技術を塗布型潤滑皮膜に適用することで、潤滑性はリン酸亜鉛皮膜と同等レベルを維持しつつ、成膜時間は1/10未満に短縮され、成膜工程から排出される廃棄物も10%未満まで低減することが可能となった。

 インターカレーション法とは、層状物質の層間に化学的特性が異なる他の成分を挿入する反応の総称である。層間に担持可能な成分の候補は無数にあるが、適切な成分を選択することによって、目的に応じた機能を自在にマイカに付与できる可能性がある。インターカレーション法が近い将来、固体潤滑剤の高機能化と地球環境保全に大きく貢献することを期待している。

上段:左から、杉村JAST前会長、佐々木氏、大下氏
下段:左から、柳氏、小見山氏

 

「転動体強化による転がり軸受の高機能化技術」
橋本翔氏、小俣弘樹氏、植田徹氏、岩永泰弘氏(日本精工)

 本技術は転がり軸受の転動体を強化することにより、軸受そのものの耐久性向上を実現する材料技術である。

 近年、カーボンニュートラルの実現に向けて、自動車や産業機器の省エネルギー化の要求はますます高まっている。したがって、様々な機器に使用される転がり軸受においても、軽量化や低トルク化することで社会ニーズに応えていかねばならない。このような背景から、転がり軸受に加わる荷重や潤滑状態は一層厳しくなり、表面起点型はく離などの表面損傷が加速されることが予想される。圧痕起点型はく離に代表される表面起点型のはく離寿命は、計算寿命よりも極端に短くなるケースがあるため、この現象に対して長寿命化する技術開発が重要である。一般的には、浸炭窒化などにより、はく離が生じる軌道輪の残留オーステナイト量や残留応力を制御することが有効である。

 一方で、これまでの研究から、軌道面に形成された圧痕縁からの疲労き裂発生には、圧痕縁に作用する接線力が重要な役割を果たしていること、転動体の表面粗さが大きくなるほど軌道輪に作用する接線力が大きくなることを明らかにした。以上から、はく離が生じる部材そのものではなく、相手材である転動体を強化し、使用に伴う表面粗さの劣化を抑制することによって、軸受そのものの耐久寿命を延長させるという新たな開発指針を得た。この指針に基づき、表面に微細な炭窒化物を析出させることで耐異物圧痕性や耐摩耗性を向上した転動体を開発した。本転動体を使用した転がり軸受は、標準仕様と比較して、異物混入潤滑において約2倍のはく離寿命を有し、コストアップを抑制しつつ高耐久化することが可能である。

 本転がり軸受は自動車トランスミッション用や工作機械用などに展開されており、様々なアプリケーションの省エネルギー化に貢献している。

上段左から、杉村JAST前会長、小俣氏、下段:橋本氏


 

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島貿易、高荷重トラクション試験機をトライボロジー・ラボに新設、デモ・サンプル試験を開始

1年 10ヶ月 ago
島貿易、高荷重トラクション試験機をトライボロジー・ラボに新設、デモ・サンプル試験を開始kat 2022年06日02日(木) in

 島貿易(https://www.shima-tra.co.jp/products/tribology)は、東京都中央区の同社本社内にあるトライボロジー・ラボに、英国PCS Instruments社製で、無潤滑/潤滑状態での摩擦特性を評価できるボールオンディスクタイプの多機能型摩擦摩耗試験機「ETM(Extreme Traction Machine)高荷重トラクション試験機」を導入し、デモンストレーションやサンプル試験を開始した。

ETM高荷重トラクション試験機

 

 トライボロジー・ラボではPCS Instruments社製トライボロジー計測器 (MTMミニトラクション計測器、EHD油膜厚計測器、USV高せん断粘度計) を常設し、デモンストレーションやサンプル試験を実施している。2008年に開設され2015年にリニューアル、部品・消耗品庫を設置してアフターサービス体制を強化しており、2016年からはイスラエルAtlantium社製紫外線水殺菌装置(HODシステム)の実機も常設し、オペレーショントレーニングやデモンストレーションを実施している。

 今回さらに、潤滑油などの多様なユーザーニーズに対応すべく、PCS Instruments社で新たに開発されたETM高荷重トラクション試験機をトライボロジー・ラボに常設することとなったもの。

 ETMの特徴は、①一般的にベアリング材として用いられるSUJ2相当の試験片で最大接触面圧3.5GPaが再現可能、②各試験片を独立したモータで駆動させることで、すべり率200%以上が再現可能、③様々な材質、表面粗さ、硬さの試験片の選択により幅広い摺動状態が再現可能、④FES自動ドレインシステムにより試験槽のクリーニング作業が簡単・短時間で実施可能、⑤3D-SLIMオプションの採用でボール表面のトライボフィルムの形成からはく離までの過程が観察可能、など。

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NTN、風力発電装置向けメンテナンスを開始

1年 10ヶ月 ago
NTN、風力発電装置向けメンテナンスを開始kat 2022年06日01日(水) in in

 NTNは、風力発電に特化したメンテナンス事業を行う北拓と提携し、風力発電装置向けのメンテナンスを開始する。NTNの状態監視システム(CMS)による高精度な軸受の異常検知と不具合部位の特定技術をもとに、北拓が持つ豊富な実績やノウハウを活用し、迅速に的確な設備点検と保全対応を提供する。

 さらに、実機の損傷状況を検証することで、CMSデータ解析のさらなる高精度化や各種軸受の性能向上にもつなげていく。

 同社では北拓との提携により、ユーザーの風力発電装置の状態監視、早期異常検知、補修、交換などの運用保守業務をサポートし、設備の高効率化と安定稼働を実現するとともに、カーボンニュートラルの達成に向けて、再生エネルギーの有効活用と風力発電市場の拡大に寄与していきたい考えだ。

 風力発電装置は、悪天候によるブレード損傷や経年劣化による故障などが発生する場合があり、その際は、速やかに設備点検を実施し、適切な部品交換やメンテナンスを行う必要がある。故障につながる異常の発見が遅れると、部品や機材の手配が間に合わず、長期間にわたる稼働停止時間(ダウンタイム)が発生する。

 NTNは、2012年より風力発電装置用状態監視システム(CMS)「Wind Doctor®」の販売と本システムによるモニタリングサービスの提供を通じて、設備の異常の早期検知に貢献してきた。本システムは、風力発電装置内の軸受周辺に取り付けたセンサから振動などのデータを収集・分析することで、軸受周辺の異常を早期に検知することが可能で、さらに不具合部位も特定できるため設備点検時間の短縮にも寄与する。現地の設備診断には技能員のノウハウが必要とされていたが、Wind Doctor®を用いることで速やかな異常の把握が可能となる。

 これまではWind Doctor®の診断結果に基づいてNTNから異常報告を行った後は、ユーザーが設備点検やメンテナンスの手配を行っていた。今回の提携により、補修軸受の手配を含めた一連の業務をNTNが一括して行うことが可能となり、ユーザーの手配工数を削減できるだけではなく、異常の検知後に速やかにメンテナンスを実施することで稼働停止時間を最小限に抑える。また、メンテナンスの際にWind Doctor®のデータを活用して、これまでにない迅速で的確な処置を実現するほか、CMSデータと詳細な損傷状況を比較検証することで、データ解析技術の一層の高精度化や各種軸受の性能向上につなげていく。

 今後、風力発電装置の大型化が進み、設備の安定稼働には状態監視の精度向上と正確なデータ解析結果に基づく適切なメンテナンスが一層重要になることから、NTNでは北拓との提携を通じて、高性能な軸受の供給からCMSによる高精度な異常検知、正確かつ効率的なメンテンナンスまで風力発電装置の運用に必要となる一連のサービスをワンストップで提供できるサプライヤーとして、風力発電装置の安定稼働と市場拡大に貢献していく。

 

Wind Doctorデータ収集装置の
ナセル内での設置状態

 

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エボニック ジャパン、国立西洋美術館リニューアルオープン記念を協賛

1年 10ヶ月 ago
エボニック ジャパン、国立西洋美術館リニューアルオープン記念を協賛kat 2022年06日01日(水) in

 エボニック ジャパンは、6月4日から開催される「国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」を協賛する。

 本展覧会は1年半の休館を経て、本年4月にリニューアルオープンした国立西洋美術館が開催する大型企画展で、ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館と、国立西洋美術館のコレクションから展示内容が構成される。ドイツ・ロマン主義から印象派、ポスト印象派、20世紀絵画まで100点を超える作品とともに、ヨーロッパにおける自然表現が紹介され、フォルグヴァング美術館からは、晩年のゴッホの代表的な風景画である《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院の裏の麦畑)》が初来日する。

フィンセント・ファン・ゴッホ 《刈り入れ(刈り入れをする人のいる サン=ポール病院裏の麦畑)》 1889年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen


 エボニック インダストリーズ(エボニック)はドイツ・エッセンに本社を構え、“Leading beyond chemistry(化学のその先へ)”というスローガンとともに革新的で収益性の高い持続可能なソリューションを世界100ヵ国以上で展開している。

 エッセンの文化拠点であるフォルクヴァング美術館は、本展覧会の展示品のコレクターであるカール・エルンスト・オストハウスがドイツ・ハーゲンに1902年に設立したフォルクヴァング美術館とエッセン市立美術館が1922年に統合された経緯があるが、エボニックの前身企業の一つであるTh. Goldschmidtの創業家がそのエッセン市立美術館の設立に際し大きな貢献をしている。その設立当初からの深い関わりもあり、日本でのこの貴重な機会をサポートするため、日本法人であるエボニック ジャパンがこの大型企画展の協賛を決定したもの。

 「エボニックのミッションは、化学という枠を超えて、暮らしをより良くすること。素晴らしい作品を通じて日本とドイツという国を超えた文化交流、そして、皆さまの暮らしを豊かにするお手伝いができることをうれしく思う」とエボニック ジャパン社長のフロリアン・キルシュナー氏はコメントしている。

 本企画展の概要は以下のとおり。

・会 期:2022年6月4日(土)~9月11日(日)

・会 場:国立西洋美術館(東京・上野)

・開館時間:午前9時30分~午後5時30分(金・土曜日は午後8時まで)

・休館日:月曜日、7月19日(火)
※ただし、7月18日(月・祝)、8月15日(月)は開館

・料金:一般2000円、大学生1200円、高校生800円※事前予約制

・展覧会公式サイト(https://nature2022.jp

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エボニック、エコヴァディス社サステナビリティ調査で最高位のプラチナ評価を再度獲得

1年 10ヶ月 ago
エボニック、エコヴァディス社サステナビリティ調査で最高位のプラチナ評価を再度獲得kat 2022年06日01日(水) in

 エボニック インダストリーズは、サステナビリティ・パフォーマンスについて、格付け機関エコヴァディス社(EcoVadis)から、化学業界およびその他すべてのセクターにおいて、今回の調査対象企業の中で上位1%(2022年1月1日以降に発行されるスコアカードの基準で総合得点が75~100点)に入る高い評価を受け、最高位のプラチナ評価を獲得した。同社のプラチナ評価獲得は、2021年に続いて2回目となる。

 

 エボニック サステナビリティ担当執行役員のトーマス・ヴェッセル氏は「エコヴァディス から再びプラチナ評価をいただけたということは、当社のサステナビリティ戦略が認められたということを意味する。我々はステークホルダーとの密接な対話を通じて、バリューチェーン全体におけるサステナビリティを推進している。自社の生産とビジネスプロセスだけでなく、サプライチェーン、とりわけ顧客にとっての製品のメリットや用途にも常に注意を払っている」とコメントしている。

 エコヴァディスのサステナビリティ評価では、環境、労働と人権、倫理、持続可能な資材調達の各分野における企業のサステナビリティ・パフォーマンスが評価の対象となるほか、2500以上の公開情報をもとに評価が行われる。

 エボニックは、化学業界のイニシアチブ「Together for Sustainability(TfS:サステナビリティのための協力)」の創設メンバーで、本イニシアチブのパートナーであるエコヴァディスが実施する評価を毎年受けている。TfSでは、サプライヤーに対し統一性のある監査と評価を実施し、さらにトレーニングを行うことで、グローバルサプライチェーンの透明性と持続可能性を高めることを目的として活動している。

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ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2022年5月号「特集:再生可能エネルギー」「キーテク特集:潤滑油基油・添加剤」発行!

1年 11ヶ月 ago
ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2022年5月号「特集:再生可能エネルギー」「キーテク特集:潤滑油基油・添加剤」発行!admin 2022年05日23日(月) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第35号となる2022年5月号が5月25日に小社より発行される。

 今号は、特集「再生可能エネルギー」、キーテク特集「潤滑油基油・添加剤」で構成。

 特集「再生可能エネルギー」では、大型化する洋上風力発電装置や、蒸気タービンを用いた地熱発電やバイオマス発電などの技術課題と、それらに対応するベアリング&モーション技術、潤滑油技術について紹介する。

 また、キーテク特集「潤滑油基油・添加剤」では、環境対応や、自動車を含む機器のエネルギー効率向上や耐久性向上などから需要の高まる、エステル油やポリアルファオレフィン(PAO)を中心とする潤滑油基油の動向について、添加剤技術をまじえて紹介する。

特集:再生可能エネルギー

◇洋上風力発電の主力電源化に向けたベアリング&モーション技術、潤滑技術の挑戦・・・日本風力エネルギー学会 松信 隆
◇風力発電機用ギヤ油の新しい処方技術・・・エボニック ジャパンに聞く
◇再生可能エネルギー発電を支える蒸気タービンと要素技術・・・編集部
◇直接潤滑方式LEG油膜軸受の技術と適用・・・木村洋行 木村 光正 氏、北澤 潤 氏、足立 健太 氏に聞く

キーテク特集:潤滑油基油・添加剤

◇生分解性作動油エステルの動向・・・BASFジャパン 中川 尚久
◇潤滑油基油の最近の話題~PAOの技術・市場動向~・・・編集部

連載

トップインタビュー・・・内藤 雅仁 氏(ブレイブラ)  38
あるコスモポリタンの区区之心 第6回 ベルリンから分断統治を考える・・・紺野 大介  44
Q&A「浄油技術」の基礎知識 第6回  NAS等級とISO等級・・・RMFジャパン テクニカルサポートDiv

トピックス

日本トライボロジー学会、2021年度学会賞を発表

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日本ベアリング、4月から新企業広告を展開

1年 11ヶ月 ago
日本ベアリング、4月から新企業広告を展開kat 2022年05日18日(水) in

 日本ベアリングは2022年新年度となる本年4月から、「自然界のアスリート編 第2弾」の新企業広告を展開している。新企業広告は、新聞、雑誌、交通広告に掲出される予定。

 2020年度から新コンセプトとして掲出が始まった「自然界のアスリート編」の第2弾のテーマは、動物の身体能力の高さを通して、リニアモーションの高剛性や加速・減速性能といった多面的な性能をアピールするもので、新たに展開する新企業広告は「ゾウバージョン」と「チーターバージョン」の2種類。

 新企業広告「ゾウバージョン」は、最大にして最強の象をモチーフに、EXRAILなど同社製リニアモーション製品の性能を象徴する高剛性を効果的にアピールしている。誰が見ても高剛性を感じる点も利点となっている。

 新企業広告「チーターバージョン」は、キービジュアルとしてチーターを採用。地上最速と言われるチーターは最高速度だけでなく、減速の能力に極めて長けていることが最近の研究結果で分かっているが、チーターの加速と減速能力にはまさに同社製リニアモーションの性能そのものを表現している。

新企業広告「ゾウバージョン」

 
 

新企業広告「チーターバージョン」

 

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第7回 名古屋 ものづくり ワールドが開催

1年 11ヶ月 ago
第7回 名古屋 ものづくり ワールドが開催kat 2022年05日17日(火) in

 「機械要素技術展」、「航空・宇宙機器 開発展」などからなる「第7回 名古屋 ものづくり ワールド」(主催:RX Japan)が4月13日~15日、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催された。ベアリング&モーション技術関連では今回、以下のような展示がなされた。

会場のようす

 

 木村洋行は、国産次期戦闘機への提案として、米軍主要戦闘機で採用実績のある動翼用ベアリングやランディングギヤ用ベアリングなどを展示した。動翼用ベアリングでは、Regal Rexnord/Shaferのコンケーブ(鼓型)ローラー自動調心ベアリングを紹介。航空機の飛行中に翼に発生する特有のたわみに適合した広角自動調心、高負荷容量の特徴を有する。また、低コストで容易なメンテナンスを可能にするため、内輪のみ取り付け・取り外しができるRegal Rexnord/PSIのスロットエントリー、内輪を半分に分割できるスプリットボール、外輪を半分に分割できるスプリットレースを展示。塗布後に追加での機械加工が可能な自己潤滑ライナー材を用いた表面処理技術も提供している。ランディングギヤ向けベアリングでは、RBC Transport Dynamicsの自己潤滑PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂ライナー付きスフェリカルベアリングなどを紹介。自己潤滑ライナーは低摩擦・耐熱、耐荷重性を付与する。

木村洋行 コンケーブ(鼓型)ローラー自動調心ベアリング

 

 THKは、従来機種の長所を活かしながらコンパクトサイズ、コストパフォーマンス、親和性の高いデザインを実現しつつ、実用性を高めたヒト型協働ロボット最新機種「NEXTAGE Fillie」を用いて化粧品のポンプキャップをつかみ正しい位置でフィーダーにセットするデモンストレーションを行った。関節軸数:15軸(右腕・左腕各6軸、腰1軸、首2軸)、繰返し位置決め精度:±0.05mm、頭部にステレオカメラを搭載、レーザースキャナー・ハンドカメラなどをオプションで追加可能。また、廣瀬無線電機のUV-C(紫外線C波)照射機能の「フィリップスUV-C除菌トロリー」と、THKが製造・販売する全方位移動台車(自律搬送ロボット)「SEED-Mover」を組み合わせた自律走行型除菌ロボット「Mover UV-C」を紹介した。完全無人で広い面積・範囲での除菌作業ができ、人による除菌と比較すると約1/2まで大幅にコスト削減可能。半径5mを起点に15分程度UV-Cを照射しながら自動で除菌作業する。

THK 「NEXTAGE Fillieによるデモンストレーション」

 

 日本トムソンは、独自のスモールサイジング技術によって生み出された超小形サイズの直動案内機器「マイクロリニアウェイLシリーズLWLF2」を紹介した。軌道と4点で接触する鋼球を2列に配置した構造のため、極めて小形であることに加え、方向や大きさが変動する荷重や複合荷重が作用する用途でも安定した精度と剛性が得られる。トラックレールはタップドレール仕様(上方向取付け)としており確実な固定を実現。独自のスモールサイジング技術によって世界最小クラスの断面高さ2.5mmを実現。耐食性に優れたステンレス鋼製を基本仕様としているため、クリーンルーム内での使用など、防錆油の使用を嫌う用途にも最適。

日本トムソン 「マイクロリニアウェイLシリーズLWLF2」

 

 日本ベアリングは、コンパクトタイプのボールねじスプライン「SPBR-KP形/SPBF-KP形」とそれを組み込んだデモ機を展示した。ボールねじスプラインはいずれも1軸で「位置決め」「直線運動」「回転運動」が行え、これらの運動を組合わせることでスパイラル運動やスカラ形ロボット、組立機、ローダーなど様々な機械に使用できる。また、転動体にニードルローラーを採用したことにより、高剛性・高運動精度・高減衰性を実現したローラーガイド「EXRAIL」を展示した。ローラー同士の競り合いを防ぐリテーナーや長期メンテナンスフリー機構も内蔵している。さらに、スライドウェイ「NV形」を紹介。ローラーを使用した有限直動案内で、従来製品の課題であったローラースリップを抑制するスタッドローラーシステム(鋲付ローラー構造)を内蔵していることにより、昇降動作や高加減速運動にも適用できる。

日本ベアリング 「ボールねじスプラインのデモ機」

 

 ハイウィンは、ボールねじにつけた温度&振動センサーの情報をECM(Edge Computing Module)で常時監視し、ボールねじの状態を可視化する「状態可視化システム搭載ボールねじi4.0BS」を紹介した。生産管理者はオンラインで異常診断、部品疲労分析、潤滑制御を行うことが可能。インテリジェント診断機能のほか、ログの自動保存、複数の端末による遠隔監視ができることにより、生産ラインの性能を維持する予知保全や環境に配慮したクリーンなものづくりといったニーズも満たす。また、多軸の同期加工や同時5軸加工、高精度な割出し台(インデックステーブル)を実装可能にする、「ゼロバックラッシュ・ダイレクトドライブ方式(zeroB/DD方式)」のロータリーテーブル(円テーブル)を展示。滑らかでレスポンシブな回転を実現し、仕上がり品質、歩留まり向上、作動音質改善など様々な点での優位性を高め、工作機械の差別化をサポートする。

ハイウィン 「状態可視化システム搭載ボールねじi4.0BS」

 

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NTN、dmn値220万達成のEV・HEV用高速回転深溝玉軸受を開発

1年 11ヶ月 ago
NTN、dmn値220万達成のEV・HEV用高速回転深溝玉軸受を開発kat 2022年05日02日(月) in in

 NTNは、電気自動車(EV)の駆動システムであるeアクスルやハイブリッド車(HEV)のモータおよびトランスミッション向け高速深溝玉軸受のオイル潤滑下における高速回転dmn(軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1))値220万を達成した。

dmn値220万達成のEV・HEV用深溝玉軸受

 

 近年、産業界ではカーボンニュートラルの実現に向けてCO2排出量削減のための技術開発が進んでおり、自動車分野でも各国の自動車の燃費基準やCO2排出量規制が厳格化する中、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンに代わり、電動駆動ユニットで車両を駆動するバッテリー式EVの開発が急務となっている。

 省エネルギー・省電費に向けて電動駆動ユニットには低フリクション化、小型・軽量化の要求が高まっており、モータをインバータ・減速機と一体化したeアクスルなどの駆動ユニットの開発が活発化している。それに伴い、これらの小型・高速化するモータ用や減速機用に使用される軸受には、高速回転時の発熱や破損を抑える優れた高速回転性能が求められている。

 同社では、こうした高速回転のニーズに早くから取り組んでおり、2015年に「グリース潤滑高速深溝玉軸受」を開発した。本商品は、保持器材料の配合を見直して高強度化を図るとともに、保持器と転動体が直接触れるポケット部の形状を工夫することで遠心力による変形を最小化し、高速回転を実現した。また、その優れた高速回転性能を活かし、オイル潤滑下でも適用可能とし、各社車両に量産納入を拡大している。

 しかし、モータのさらなる高速化に向け、軸受を超高速で回転させるためには、遠心力による保持器の変形や強度不足などの解決に加え、転動体や各軌道輪の回転精度の確保、そして潤滑油の供給方法や油量の最適化が必要となる。

 同社は、軸受の発熱と潤滑条件による抜熱の熱収支バランスを最適化する供給油量の計算手法を確立した。さらに、遠心力による変形を抑制するため保持器の形状を見直すとともに、転動体および各軌道輪の回転精度の確保など内部諸元を最適化することで、深溝玉軸受でdmn値220万の高速回転を達成したもの。開発品は標準軸受と同一の取り付け寸法のため、標準軸受からの置き換えが可能。

 これら発熱と抜熱を適切に管理する手法を確立したことで、EV・HEVの開発・普及が進む中、各社車両のニーズに対して最適な高速回転性能を有する軸受仕様の提案が可能となる。

 今後、自動車市場においては、EV・HEVの普及に伴い高速回転に対応した軸受の需要がさらに拡大することが見込まれており、同社では引き続き、高速深溝玉軸受の市場展開をさらに進め、自動車の電動化および省電費・省燃費化に貢献していく考えだ。

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ジェイテクト、トップスケートボーダー3名の活動を支援

2年 ago
ジェイテクト、トップスケートボーダー3名の活動を支援kat 2022年04日20日(水) in

 ジェイテクトは、自社製品をOEM供給しているスケート用ベアリングブランド「NINJA」とコラボレーションし、NINJAベアリングユーザーで、X GAMESなどにも出場予定の小川希花、赤間凛音、田中 陽のトップスケートボーダー3名を「NINJA×JTEKTライダー」として活動支援していく。

 ベアリングは自動車をはじめ建設機械、鉄道、医療機器などあらゆる機械の回転を支えており、その領域は産業機械に留まらず、スケートボードの車輪でも使用されている。スケートボード用のベアリングで国内シェアNo.1ブランドのNINJAはすべてジェイテクト製のベアリングを採用し、その優れた低トルク性能からトップスケーターをはじめ多くのスケートボーダーに愛用されている。

 今回、No.1&Only Oneに挑戦するジェイテクトとNINJAブランドがコラボレーションし、No.1&Only Oneを目指すトップスケートボーダーをNINJA×JTEKTライダーとしてその活動を支援するために、それぞれの選手に適したNINJAベアリングを供給していくことで合意したもの。

 NINJA×JTEKTライダーは今後、オリジナルのステッカーをデッキに貼って大会などに出場する予定。

NINJA×JTEKTオリジナルステッカーデザイン


 NINJAベアリングはJMがブランディングするベアリングブランド。1995年の創立から現在までジェイテクト製のベアリングを採用し、多くのスケーター達を魅了。ムラサキスポーツをはじめ、全国のプロショップ、スポーツショップで購入が可能。

NINJAベアリング

 

NINJA×JTEKTライダー
 

小川希花(オガワ キハナ)
生年月日:2001年2月17日
2019年 X GAMES ROAD TO BOISE 3位
2021年 TONY HAWKS VERT ALERT 3位
2021年日本選手権 パークスタイル2位
2022年日本OPENパークスタイル2位
2022年 X GAMES CHIBA 2022出場

 

赤間凛音(アカマ リズ)

生年月日:2009年1月8日(スケート歴:5年)

2018年 全日本アマチュア選手権レディース1位
2019年 日本選手権ストリートスタイル2位

2021年 日本選手権ストリートスタイル1位
2022年 WSJ強化指定選手
2022年 X Games Chiba 2022出場予定

 

田中 陽(タナカ アキラ)
生年月日:2000年5月25日(スケート歴:10年)
2014年 AJSA全日本アマチュア選手権8位
2015年 Element Make It Count 優勝
2015年 AJSA プロツアーKorean Open 5位
2018年 AJSA プロツアーAdvance Cup 優勝
 

 

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イグス、軽量・省エネの全ポリマー製リニアベアリングを開発

2年 ago
イグス、軽量・省エネの全ポリマー製リニアベアリングを開発kat 2022年04日20日(水) in

 イグスは、初めて高機能ポリマーのみを使用したリニアベアリング「ドライリンWJBMP」を開発した。高機能ポリマーであるイグリデュール材質「イグリデュールJB」を使用し、スライド部とハウジングを射出成形によって1パーツに一体型設計しているため、保管から設置までの取り扱いも容易で費用対効果に優れ、簡単・迅速な取り付けが可能。また、優れた減振性を備え、無潤滑で動かせる。さらに、最適化された軽量設計によって持ち運び可能なアプリケーションに適し、リニアシステムの駆動に必要なエネルギーを削減する。

 

 本ポリマー製リニアベアリングは、従来の金属製ハウジングのリニアベアリングと比較して、最大で84%軽量化が図れるため、駆動力やモーター出力、消費電力が削減できる。取付けサイズ10の場合、重さはわずか10gで、卓上デバイス、カメラ、センサー、モニターなどシンプルなリニアガイドを必要とする用途に最適。

 また、トライボロジー特性が最適化されたイグリデュールJBを使用しているため、潤滑剤やメンテナンスが不要で、耐久性、耐粉塵性、耐汚性に優れる。ドライ運転時の摩擦係数が非常に低く、スティックスリップ現象が発生しにくいほか、耐衝撃性と堅牢性を持ちながら、弾性と減振性も備えているため、振動を吸収して分散させることが可能。イグス本社の試験施設での試験において、25Nまでの荷重に耐えられることが実証されている。

 ドライリンWJBMPは、ドライリンWのシングルレールまたはダブルレールに簡単に取り付けることができる。費用対効果の高いリニアガイドとしては、白アルマイト処理アルミニウム製のドライリンW WS-CAレールを推奨。シルバーのレールと黒色のベアリングを組み合わせることで、シンプルなデザインのリニアシステムとして利用できる。

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THK、クロスローラーリングに高剛性シリーズを追加

2年 ago
THK、クロスローラーリングに高剛性シリーズを追加kat 2022年04日11日(月) in

 THKは、クロスローラーリングに既存製品との寸法互換性を持たせた高剛性シリーズ「RB-H/RE-H/RU-H形」を新たなラインナップとして追加する。高剛性化を実現することで、産業用ロボットの関節部や旋回部、マシニングセンタの旋回テーブルなどの高性能化に貢献していく。

クロスローラーリングの高剛性シリーズ

 

 クロスローラーリングは、内外輪の間に円筒ころ(ローラー)がスペーサリテーナを介して交互に直交配列されているため、あらゆる方向の荷重(ラジアル荷重、アキシアル荷重、モーメント荷重)を負荷することができるとともに、高い回転精度が得られる。そうした特徴を生かしたクロスローラーリングは、工作機械、産業用ロボットをはじめ、高剛性、高精度な回転運動を必要とする装置の旋回軸受として広く採用されている。

 近年の産業機械市場において装置の高剛性化が一層の高まりを見せていることから、同社では旋回軸受の高剛性ニーズに対応し、内部構造を高剛性化に適した設計にすることで既存製品と寸法互換性を持たせた、クロスローラーリングの高剛性シリーズRB-H/RE-H/RU-H形を新たに追加するもの。

 製品ラインナップは、RB-H形が軸径φ50~700の42形番、RE-H形が軸径φ50~600の41形番、RU-H形が軸径φ35~350の8形番と、多様なニーズに対応すべく全91形番を展開する。

 同社では、一般産業機械から精密機械、大型の高精度な工作機械まで、幅広い装置の高速化とコンパクト化、高剛性化に貢献していく。

 クロスローラーリング高剛性シリーズの特徴は、以下のとおり。

・高負荷・高剛性 内外輪の間に円筒ころ(ローラー)がスペーサリテーナを介して交互に直交配列されているため、1個のクロスローラーリングでラジアル荷重、アキシアル荷重およびモーメント荷重などのあらゆる方向の荷重を負荷できる。また、内部構造の再設計によって高剛性化を実現したことで、産業用ロボットの関節部や旋回部、マシニングセンタの旋回テーブルなどの高性能化に貢献する

クロスローラーリングの構造


・既存製品との寸法互換 既存製品と同寸法を採用し、取付インターフェースを変えずに装置の高剛性化が実現できる

 

・全91形番の豊富なラインナップ

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NTN、軸受診断アプリの無料体験版の提供期間を2023年3月末まで延長

2年 ago
NTN、軸受診断アプリの無料体験版の提供期間を2023年3月末まで延長kat 2022年04日11日(月) in

 NTNは、産業用IoTプラットフォーム「Edgecross®(Edgecrossコンソーシアム(ECC)が運営)対応の軸受診断アプリケーションの無料体験版の提供期間を2023年3月末まで延長する。


 軸受診断アプリケーションは、軸受近傍に設置された振動センサのデータを収集し、軸受の異常を診断する「Edgecross®」認定製品で、簡単・迅速に診断ができ、軸受情報や運転情報などの設定が不要で、同社製以外の軸受の診断も可能。設備や稼働状況を監視し、生産現場でデータをリアルタイムに収集・分析することで、設備の不具合や故障をいち早く知り、メンテナンス性や生産性の向上に貢献する。

軸受診断アプリケーションの主な特徴は以下のとおり。

1. 軸受のリアルタイム診断:軸受の診断結果を3秒~10秒ごとに更新、僅かな時間に現れる変化も捉えることが可能

2. 診断対象の軸受情報や運転状況の設定が不要で、NTN製以外の軸受の診断も可能

3.シンプルな出力:診断開始時点を基準に状態レベルを4段階で出力、センサからの診断結果を最大16ヵ所まで同時に確認することが可能

4. 導入・運用にあたりインターネット接続は不要で、データを外部に出したくない場合やネットワーク環境が整っていない場合でも利用が可能

 本アプリは2021年夏に無料体験版の提供を開始して以来、すでに多数のユーザーが利用しており、ユーザーからは、複雑な設定を行うことなく簡単に軸受診断が行える、既存のシステムとの連携が行いやすい、などの評価を得ている。

 本年1月からは、ECCと共同で必要な機器類を一定期間無償で貸し出しするサービスも開始し、また本年3月にはECCが開催した「第3回 Edgecrossアワード」で同プラットフォームのアプリとして初めて軸受の異常診断を実現したことや、予兆保全に向けたソリューションの強化に寄与した点などが評価され、「優秀認定・登録製品賞」を受賞した。

 本アプリの無料体験版を提供する中で、ユーザーから無料体験版の提供延長を希望する声が多数寄せられたことを受け、同社では提供期間を当初の予定より1年間延長し、2023年3月末までとしたもの。同社では本アプリについて、無料提供版を使用したユーザーからの要望や意見を取り入れて2023年の商品化を目指す。

 同社は、IoTやAIを活用した本アプリの開発・提供を通じてユーザーのスマートファクトリー化に貢献するとともに、新たな事業の一つとして注力するサービス・ソリューション事業のさらなる拡大を進めていく。

軸受診断アプリケーションの構成例

 

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空スペース、自律分散式転がり軸受の製販会社と通常実施権契約を締結

2年 ago
空スペース、自律分散式転がり軸受の製販会社と通常実施権契約を締結kat 2022年04日10日(日) in

 空スペース(http://coo-space.com/)は、スケートボードなどに使用される小径玉軸受について、保持器を使用せずに転動体(ボール)同士を非接触にする技術ADB(Autonomous Decentralized Bearing/自律分散式転がり軸受)の製造販売会社として先ごろ設立されたブレイブラ(https://breybra.com)と通常実施権契約(特許概要:特許3964926、6476377、7004396など米国・中国特許含む8件、通常実施権概要:日本、米国、中国において本特許製品を製造販売する権利)を締結した。空スペースでは今後、技術支援などによりブレイブラをはじめ契約先企業の発展をサポートしていく。

空スペースの通常実施権設定により、ブレイブラが製造販売を開始するスケートボード用ADB

 

 ブレイブラはADBの製造販売会社として発足、空スペースの協力のもとで初めて量産に成功し、このほど、ADBに関する通常実施権契約を空スペースと締結した。第一弾としてスケートボードなどで使用される608型(外径22mm、内径8mm、幅7mm)ADBの販売を開始する。メインターゲットとしてスケートボードユーザー向けに8個入りパッケージの製造・販売を開始するほか、個別ニーズにも対応していく。

 スケートボード用ADBはボールの自律分散機構により保持器なしでボール同士が回転中に非接触となり、また従来の標準品で7個のボールに対し保持器がないことで11個のボールが搭載可能となり、さらにボールの材質にセラミックを採用した。これにより、これまでにない低摩擦性能と耐荷重性能を有しており、国内大会で常にトップ10入りを果たしているスケートボード選手である阿部海璃選手が試用し、「音も静かでこれまでのベアリングと比べて加速が早くスピードが安定して維持できるため、技の完成度が高まった。全日本の大会で使用したが、ほかの選手も認めるトップクラスの速さを誇るベアリングだと思う」とコメントしている。

 ブレイブラでは、「引続き空スペースと協業・提携体制の下で広くADBの普及を進めるべく事業展開を行っていく」としている。

 空スペースではまた、今回の通常実施権契約締結を機に、ADBの技術による持続可能な社会への転換を促進すべく、ユーザーのあらゆる要望に応えるべく、通常実施権契約のほか専用実施権契約や譲渡契約を含む技術販売に力を入れていく考えだ。

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ドイツメッセ日本代表部、ハノーバーメッセ2022で日本企業向けオンラインツアーを実施、BMW・Volkswagenへのインタビューも予定

2年 ago
ドイツメッセ日本代表部、ハノーバーメッセ2022で日本企業向けオンラインツアーを実施、BMW・Volkswagenへのインタビューも予定kat 2022年04日08日(金) in

 ドイツメッセ日本代表部は、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ(RRI)と共同で、世界最大級の産業見本市ハノーバーメッセ会期(5月30日~6月2日)中の6月2日日本時間15:00~18:30ごろに、日本企業向けにオンラインツアーを実施する。詳細および申込みは https://intl-linkage.co.jp/dm/hannover-messe-2022-onlinetour/まで。

 

 ハノーバーメッセのリアル開催は3年ぶりとなるが、この 3 年間にドイツ企業のインダストリー4.0やDX、カーボンニュートラルに向けた技術やソリューションは確実に進んできており、3年ぶりのハノーバーメッセでは、それらが大々的に披露される。一方で、今年はハノーバーメッセに訪問できない日本企業も多いと予想されている。そこで、ドイツメッセ日本代表部とRRIでは、リアル参加が難しい日本企業向けに、日本語通訳付きの「ハノーバーメッセ2022オンラインツアー」を実施することを決めたもの。

 ハノーバーメッセ2022へ実際に出展しているBMWやVolkswagen、Siemens、Bosch Rexroth、WS、Beckhoff、CatenaX、Festo、SCSNといったドイツ企業や団体10社(予定)に展示ブースにおいてインタビューを実施し、各ドイツ企業の最新の技術やソリューションを紹介する。

 さらに、ハノーバーメッセの重要なテーマであるインダストリー4.0をツアー参加者がより深く理解できるよう、インダストリー4.0の推進団体であるPlatform Industrie4.0により 本ツアー用の講演(Q&Aあり・日本語字幕付き)も行われる予定。

 ハノーバーメッセ2022オンラインツアーの概要は以下のとおり。

・開催日時: 2022年6月2日(木)日本時間15:00~18:30ごろ

・参加方式:Webexでの視聴(予定)

・言語:日本語(日英逐次通訳または日本語字幕付き)

・募集人数:200 名

・聴講料(一人あたり):一般価格40,000円(税別)、RRI会員価格30,000円(税別)

・詳細および申込み: https://intl-linkage.co.jp/dm/hannover-messe-2022-onlinetour/

・その他:アーカイブ版を 1ヵ月視聴可能

【本件に関する問い合わせ先】
・ドイツメッセ日本代表部
(合同会社 International Linkage内)
担当:竹生(たけお)
TEL 03-6403-5817
E-mail : masahito.takeo@intl-linkage.co.jp

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NTN、『転がり軸受 理論・実践ガイドブック』を発行

2年 ago
NTN、『転がり軸受 理論・実践ガイドブック』を発行kat 2022年03日31日(木) in

 NTNは、軸受に関する基礎理論とそれに基づく実践的な技術計算などをまとめた『転がり軸受 理論・実践ガイドブック』を発行した。

『転がり軸受 理論・実践ガイドブック』

 

 同社は転がり軸受のユーザーをサポートするツールとして、転がり軸受の基礎を学ぶために最適な『転がり軸受入門ハンドブック』や、同社の商品ラインアップと技術解説を掲載した『転がり軸受総合カタログ』などを発行しているが、今回、機械設計に携わるユーザーや学生から、最適な機械設計を行うために軸受をより理論的に理解し活用するためのツールについての要望が同社に寄せられ、軸受の基礎理論と、それを用いた実践的な計算方法などを新たにまとめたガイドブックを発行するに至ったもの。

 本ガイドブックでは、軸受の寿命計算をはじめとした各種基礎理論の解説や、基礎理論を実際の軸受の設計や選定に応用する事例などを多数紹介しているほか、基礎理論だけでは解決が困難な技術課題に対するCAEを用いた計算事例も紹介している。これらは、同社が長年ユーザーへの提案の中で培った経験を生かした“NTNの知”であり、軸受の基礎理論や、それを生かした活用事例を学びたい層にとって非常に有用な情報となっている。

軸受の各種特性を軸受形式やサイズごとに表やグラフで掲載


 『転がり軸受 理論・実践ガイドブック』(PDF版)は同社ホームページの下記ページからダウンロードが可能。
 https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/ja/9600/index.html

 また、冊子(A5縦サイズ)を希望する場合には、下記リンクからの申し込みを経て、無償で郵送される。
 https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/search.php?categoryId=140

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ジェイテクト、JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載EPSと駆動モーター冷却・潤滑用電動オイルポンプが日産EVアリアに採用

2年 ago
ジェイテクト、JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載EPSと駆動モーター冷却・潤滑用電動オイルポンプが日産EVアリアに採用kat 2022年03日29日(火) in in

 ジェイテクトの「JFOPS (JTEKT Fail-OPerational System)4採用第2世代内製MCU (Motor Control Unit)搭載 電動パワーステアリング(EPS)」と「電気自動車(EV)駆動モーター冷却・潤滑用 電動オイルポンプ(EOP)」が、日産自動車の「新型EVアリア」に採用された。 今回新型EVアリアに採用されたEPSは、第2世代内製MCUに、同社が先進運転支援システム(ADAS)レベルに応じた安全性を備えるEPSを提供すべく設定した安全コンセプト(Level 0~4を定義)の最上位である「JFOPS4」を採用したもので、MCUを自社開発することで自動車メーカーのニーズにスピーディーでフレキシブルな対応が可能であることに加え、「JFOPS4」によってこれまで以上に高い安全性を確保している。

 操舵感向上のためトルクフィードバック機能を取り入れた新世代のEPS制御「JWill」により、緻密なチューニングで幅広いユーザーの操舵感へのこだわりに応えることが可能なほか、JFOPS4の採用により万一ステアリングMCUに故障が発生した場合でもアシスト継続が可能で、高い安全性を確保する。

JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載EPSのイメージ

 

 一方、EVの電費向上に直結する駆動モーターの小型・高出力化が進む中、高出力のモーターは発熱量が大きくなるため、さらなる冷却効率向上が必要不可欠とされていることから、同社では、駆動モーターを直接冷却するとともに、駆動モーターの回転軸に使用される軸受の潤滑を担う油冷方式のEOPを開発した。

 モーターの冷却方式は一般的に使用する冷媒の種類によって空冷、水冷、油冷に分類されるが、EVでは駆動力の供給源が駆動モーターのみであることから、駆動モーターに連続作動が必要とされるため、効率的な発熱の抑制と高い放熱性が課題となっていた。今回採用した油冷方式は、水冷と異なり、駆動モーターの発熱部位に直接通油して冷却できるため、効率良く高い冷却効果が得られる。

 EOPの構造には、ECU(Electronic Control Unit)・モーター・ポンプが一体のものと、ECUが別体のものがあるが、今回、三位一体構造を採用したことで、ECU別体と比較して小型化・省スペース化による車両への搭載性の向上及び部品点数削減によるコストダウン、軽量化を実現できる。

 また、車両駆動モーターの高温時には主に冷却用途として多くのオイル供給が必要となるが、気温が低くなる極寒冷地では駆動モーターの軸受潤滑用途として使用される。この幅広い温度範囲においてはオイルの特性は低粘度から高粘度まで大きく変化する性質を持つため、あらゆる温度状態でも安定したオイル供給を可能とする技術が必要とされる。

 今回新型EVアリアに採用となったEOPでは車両の油温情報からEOP内部の制御パラメータを変化させ、EOPのモーター回転数を適切にコントロールすることで、消費電力を抑えながらオイルをポンプで汲み上げる最適制御を実現した。

 さらに、開発したEOPは駆動モーターの冷却だけでなく、軸受の潤滑も担う。駆動モーターの冷却回路と潤滑回路の両方にオイルを供給することで軸受の摩耗を低減し、駆動モーターの高回転を支える。

電気自動車駆動モーター冷却・潤滑用EOP

 

 ジェイテクトでは、「自動運転の急速な普及を見据え、JFOPS4採用第2世代内製MCU搭載EPSなど、ステアリングシステムの安全性・信頼性をさらに高めたEPSを世界各国のユーザーに提供していく。また、EOPを通じて、極寒冷地を含むグローバル市場で、駆動モーターの小型・高出力化による電費の向上と航続距離の延長に貢献していく」とコメントしている。

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日本滑り軸受標準化協議会、第34回総会を開催

2年 ago
日本滑り軸受標準化協議会、第34回総会を開催kat 2022年03日28日(月) in

 日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は3月17日、「2021年度 第2回総会(通算 第34回総会)を開催した。

 当日はまず、開会挨拶に立った林 洋一郎会長(オイレス工業)が、以下のとおり述べた。「私が笠原又一PBSAアドバイザーからPBSA会長職を引き継いだのが2018年6月末で、本年6月末で4年間が過ぎようとしている。この間2020年2月にコロナウィルスの感染が拡大し、同年2月13 日のISO/TC123委員会の国内委員会が対面型の会議としては最後となり、以降は電子メールによる開催、ウェブ開催へと変化してきた。これまでの4年間のうち1年8ヵ月は対面だったが、2年間の非対面が経過したことになる。総会も書面総会が3回続いたため講演の機会もなく、会員各位には情報提供もできず申し訳なく感じている。今回がウェブ方式での開催の第1回目となり慣れない部分もあるが、本日はよろしくお願いしたい。ここで2020年3月以降の簡単なレビューをすると、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に着いたのが2月3日でその後の感染拡大は周知のとおりだが、日本機械学会からは数回にわたり指針が示され、本年4月からはウェブと対面を同時に行うハイブリッド方式での会議開催も認められた。また国際会議は2019年秋に中国杭州で開催された後、フランス、東京で予定されたがいずれもウェブ方式で行われた。予算と実績という意味では国際会議への出張、開催がなくなったことから予算は組んだものの実績は計上されず、繰越金が増えた状況にあり、これを背景に理事会の承認を受けて暫定的に会費の削減を行い、次年度会費の削減も幹事会の承認済みとなっている。2020年10月に田中 正 ISO/TC123 国内委員会 前委員長が産業標準化事業表彰経済産業大臣表彰を受けた。2021年4月に国内委員長の交替があり、横浜国立大学名誉教授の森下 信氏に新委員長に就任していただいた。また、日本滑り軸受標準化協議会とISO/TC123国内委員会の体制をおさらいすると、標準化活動は日本機械学会の傘下で行う体制になっている。以前は経済産業省の支援範囲の中で活動を行っていたが、染谷常雄PBSA顧問の尽力や軸受各社の参画により、PBSA設立後は経済産業省の支援だけでなくPBSAからも様々な支援を行うようにしてきた。以上、2年分のレビューをもって挨拶に代えたい」。

林 洋一郎PBSA会長

 

 続いて前回の総会(第33回総会)総会の議事録が確認され、2021年度事業の経過報告が以下のとおり行われた。

・2021年6月1日、第1回総会を電子メールによる書面総会にて開催

・2021年10月に日本でISO/TC123国際会議が行われる予定だったが、COVID-19の影響で2022年2月15日・16日・17日・21日・22 日(計5 日間)のウェブ開催に変更された。国際会議への参加にあたり会議室等の費用を支援

・ISO/TC123平軸受国内委員会(本委員会及び小委員会)に担当会員が出席し、審議に参加

・2021年度に発刊された滑り軸受に関するISO規格や規格開発の際に使用するISO規格(21点)を購入し、ISO規格開発に関する支援を実施

・日本規格協会の国際標準化会員を継続

・『ベアリング新聞』2022年1月5日号へ年頭挨拶を寄稿

・監事および会員の交代を説明

 また、2021年度会計経過報告がなされた後、2021年度の途中から、大豊工業 畑中雅憲委員から同社 加藤慎一委員への交代があった旨が報告された。

 さらに、ISO/TC123平軸受国内委員会の2021年度の活動状況について、花橋 実 国内幹事(大同メタル工業)から、ウェブ形式での開催となった国際会議の内容や現在開発中の規格についての報告がなされた。近年、中国が規格開発のプロジェクトリーダーを引き受けているほか、規格の新規提案を積極的に進めており、その動向を注視していく必要があると述べた。

 今回の総会では、日本機械学会ISO/TC123 平軸受国内委員会 森下 信会長(横浜国立大学 名誉教授)が、「グリースの流動可視化実験」と題して、偏光顕微鏡を利用してグリースの流動を可視化した実験について講演を行った。

 次回総会(通算 第35回総会)は、ハイブリッド形式(集合&ウェブ配信)にて東京駅近辺で6月16日に開催する予定(COVID-19の感染状況次第でウェブ形式のみでの開催に変更される可能性あり)。

kat
Checked
23 分 10 秒 ago
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