THK、製造業向けIoTサービスに安心担保の二大特典を追加
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2021年07日20日(火)
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THKは、製造現場での機械要素部品の状態基準保全(CBM)の導入を加速させるため、製造業向けIoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」の新たな特典として、「製造ゼロ待ちチケット」および「IoTリスク補償」の提供を本年9月1日から開始する。同社では新サービス開始に先駆けて7月19日、オンライン記者会見を開催、寺町崇史 取締役専務執行役員 産業機器統括本部長が、OMNIedgeの展開の状況と新特典について説明した。
新特典について説明する寺町専務
国内製造業では高齢化による労働力不足を補うために機械やロボットによる自動化の推進が急務となっている一方で、製造装置の保守点検作業に関しては熟練作業員の感覚に依存している現況がある。そこで人手によらず、定量的に部品の状態を常に把握し、適切なタイミングで保全を実施できるCBMの導入が必要であることを説明。時間基準保全(TBM)は定期的に一律に部品交換を行うため部品代と人件費がかさむ傾向があるのに対し、CBMは機械・設備の稼働状況、個々の構成部品の状態をモニタリングして劣化や異常の度合いに合わせて保全を行う手法で、突然壊れるリスクを低減できるほか、過剰なメンテナンスを抑制できるため部品代や人件費を抑えることができる。
THKではCBMの普及を目的の一つとして、「簡単・安全・初期コストゼロ」をコンセプトに、IoTを利用して機械要素部品の状態判断や予兆検知を実現する製造業向けIoTサービスOMNIedgeを開発、2020年1月からサービスを開始している。
OMNIedgeは「THK SENSING SYSTEM」を活用してLMガイド、ボールねじ、アクチュエータなど機械要素部品の状態を数値化し、解析することで予兆検知ができるシステムで、初期投資費用を抑えられるよう1装置 月8000円~の料金体系となっており、かつセンサ、アンプ、通信機器、SIMカードをワンストップで提供し、簡単に導入ができるパッケージ型サービス。
現在設置済みのユーザー拠点は200拠点に上り、少なくとも年内には600設備に設置予定となっている。また、THKの国内工場では700設備に導入している。加えて製造業向けオープンプラットフォーム「FIELD system」との連携、グローバルSIMに対応した新サービス、中国での正式サービス開始と、全方位体制での展開が進んでいる。
OMNIedgeの導入が進む中で同社では、製造現場で部品のCBMを導入する際の課題は、部品故障の予兆が把握できるだけでは解決しないことも分かってきた。機械が故障した際、迅速に修理して正常な状態に戻すために必要な部品の入手可能性や、万一、センサが反応せず故障が起きた場合、修理にかかる金銭的負担に対する不安が生じる。そこで同社は、ユーザーの不安を解消しCBMの普及を加速するためのOMNIedgeの新たなサービスとして、「製造ゼロ待ちチケット」と、東京海上日動との連携によって実現した「IoTリスク補償」を提供することを決めたもの。これらはOMNIedgeの特典として契約時に自動付帯されるため、特別な手続きは不要となっている。
今回追加した二つのサービスの内容は、以下のとおり。
1.製造ゼロ待ちチケット
OMNIedgeを利用しているユーザーの機械・装置において、センサを取り付けたLMガイドやボールねじ、アクチュエータなどの機械要素部品の不調・異変により交換を迫られた際、優先的に‟待ち時間ゼロ”でTHK工場に交換部品の製造を手配できる特典。OMNIedge搭載の装置であれば、注文の際に「製造ゼロ待ちチケット」をTHKに提示することで即座に生産に入るシステムとなっている。購入から出荷までのリードタイムが短くなるわけではないが、商品の特性上不可避だった購入時の待ち時間をゼロにする。できるだけ速やかに納入することで、ユーザーの交換部品の入手可能性に関する不安を解消していく。
2.IoTリスク補償
適切な運用がなされているにもかかわらずOMNIedgeの予兆検知機能が働かず、センサを取り付けていた機械要素部品(LMガイド、ボールねじ、アクチュエータ)に損壊が発生した場合に限り、原因箇所の機械要素部品の費用と交換にかかる作業費が東京海上日動の保険によって補償される。OMNIedge適切に設置して閾値も設定し、データ取得を定期的に行っていることが条件で、保証金額は最大100万円。OMNIedge契約時に自動的に付加されるため、特別な手続きは不要となっている。
「簡単・安全・初期コストゼロ」に「安心」を追加したOMNIedge
新特典の説明を終えた寺町専務は、「今回のサービス拡充を通して「簡単・安全・初期コストゼロ」に「安心」を加えることができた。新しいOMNIedgeが機械要素部品のCBMの普及促進の契機となることを願っている。THKでは、今後もユーザーにとって最適なソリューションの開発を進め、製造現場の持続的な生産性向上に向けて、ユーザーに寄り添い、伴走していきたい」と語った。
また、挨拶に立った梅田恒樹 東京海上日動火災保険 常務執行役員は、「当社は保険商品のサービスを通じて、顧客や社会の課題を解決することを使命あるいは存在意義と考えている。その実現には、変化する課題を適確に察知し、柔軟かつスピーディーに行動し、安心を顧客にしっかりと提供すること、換言すれば、顧客や社会の課題を解決するために保険の力を高めて、安心を日本の隅々まで届けることが必要と考えている。今回THKと協業により生まれた当社のIoTリスク補償が、OMNIedgeの利用者に対して万が一の際の安心と安全を提供でき、また、OMNIedgeという製造業向けIoTサービスが世の中にさらに普及すること、それによりCBMの考え方が製造現場に根付くことにつながるよう祈念している」と述べた。