INCHEM TOKYO 2021が開催
「第34回 プラントショー」や「第11回 産業向け水処理対策展(水イノベーション)」、「第11回 機能性材料展(イノベーション・プロダクツ)」などからなる「INCHEM TOKYO 2021」(主催:化学工学会、日本能率協会)が11月17日~19日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。
同展は化学プラントショーとして1966年に初開催され、今回で第34回を迎える。今回は、統一テーマを「DXと低炭素技術が拓くイノベーション」と定め、プラント/エンジニアリング分野における技術革新と、持続可能な開発目標(SDGs)を見据えた、化学をはじめとするプロセス産業の将来像についての情報発信がなされた。
ベアリング&モーション技術関連では、以下のような出展があった。
CKDは、最低使用温度-20℃から使用可能、防塵・防水(IP65)、外部材質オールメタル化など過酷な環境下の屋外設備(圧縮空気ライン、液体ライン、蒸気ライン)向け空気圧機器商品群「WPシリーズ」を披露した。促進耐候性試験や複合サイクル試験、オゾン暴露試験など各種の耐久性実証試験をクリアしており、全商品に最大3年間保証を設定している。また、メンテナンスをなくし高い生産性を実現しカーボンニュートラルに寄与する長寿命シリンダ・リニアスライドハンドなどの空気圧機器商品群「HPシリーズ」のうち、今回は特に、強力スクレーパや繊維集合体(ルブキーパ)の装備で耐環境性を向上し粉塵環境でも壊れない高耐久シリンダ「G-HP1シリーズ」を展示した。チョコ停の大幅削減や交換回数の大幅削減、耐久回数500万回以上を実現できることをアピールした。
屋外向け商品WPシリーズ
新明和工業は、空気軸受(エアフォイルベアリング)と高効率インペラ・高効率モータ(PMSM)の技術を融合し省エネ・省メンテナンス・低騒音・省スペースを実現した排水処理/ばっ気用ブロワ「ターボブロワTurboMAX」を展示した。搭載した空気軸受は、潤滑油を使用しないシンプル設計で、非接触型のためメンテナンス不要で寿命は半永久的。ベアリングの振動がなく低騒音、バンプ型軸受(バネの役割を果たすバンプフォイルを有する軸受)のため「高負荷容量かつ優れた耐久性を持つ。また、ターボブロワの安定運転をサポートし省人化を実現する「ターボブロワ IoT遠隔監視サービス」を紹介、IoTtoAI・機械学習を融合した予知保全と省エネルギーの提案を行った。運転データの見える化によるシステムの最適化をサポートするほか、エラー発生時にメールで通知、異常の早期発見によるブロワのダウンタイムの短縮などを実現する。
ターボブロワTurboMAX
Preferred Computational Chemistry(PFCC)は、原子スケールで材料の挙動を再現して大規模な材料探索を行うことのできる汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis」を紹介した。従来の物理シミュレータに深層学習モデルを組み込むことで、計算スピードを従来の数万倍に高速化、高性能なコンピュータを用いて数時間~数カ月かかった原子レベルの物理シミュレーションを、数秒単位で行える。また、未知の材料を含む、分子や結晶などの任意の原子の組み合わせにおいてシミュレーションが可能。さらに学習済み深層学習モデル・物性計算ライブラリ・高性能な計算環境をパッケージにすることで、ハードウェアの準備や環境構築をすることなく、シミュレーションによる材料探索が可能なほか、従来の機械学習ポテンシャルとは異なり、ユーザーによるデータ収集や学習が不要。大規模シミュレーションを実現可能にし、研究開発部門のデジタル化/DXの推進に貢献できるとした。計算事例として、逆非平衡分子動力学シミュレーションによる潤滑油粘度の予測について紹介した。
Matlantisに関するプレゼンテーションのようす
兵神装備はすり身やチーズなど流動性の乏しい食品や液体の移送用に、モーノポンプに接続して使える押込装置「ヘイシン サクションブースター」を展示した。従来の押込装置に比べて、設置や移動が簡単で、使用中のモーノポンプに接続しての使用が可能。駆動機をホッパー下部に設置することで移送液の投入口を広くし、安全装置・専用コントローラーも標準装備している。軸封レス構造を採用しており、接液部品の少ないフレキシブルロッド仕様のモーノポンプと組み合わせることで、毎日の洗浄や液替えにかかる時間を削減できる。セルロースナノファイバーやグリース、モルタル、ポテトサラダなど流動性の乏しい液体の効率的な移送を実現できる。
ヘイシン サクションブースター
三菱化工機は、回転式セラミック膜ろ過機「三菱ダイナフィルター」のシミュレータ用テスト機「DyF152/S型」を展示した。セラミック膜ディスクを回転させ、ディスク上にろ過障害となるケーキ層の形成を抑制することにより、高い処理能力を維持。ナノサイズの微細粒子スラリーを精密分離して、高濃度な濃縮液と清澄ろ液の回収を実現するほか、濃縮スラリーを洗浄(不純物除去)、溶媒置換することが可能。有機溶媒を用いたスラリーにも防爆仕様で対応できる。業界最小で少量サンプルに対応、難ろ過性スラリーを高効率にろ過、高濃度に濃縮・高効率な粒子洗浄・溶媒置換、ろ過メディアが繰返し利用可能、などの特徴を有する。
三菱ダイナフィルターシミュレータ用テスト機DyF152/S型